(1)1987年〜2000年までの空中花粉調査において, イネ科花粉飛散数の増加傾向はなく, 14年間の平均飛散数は133個であった.また飛散時期については2峰性ないし3峰性であり, 当地域のイネ科花粉症の診断には, 5月下旬, 7月下旬から8月上旬, 9月下旬の花粉症症状が重要と考えられた.(2)1986年〜2000年までに当科アレルギー外来で精査を行った鼻アレルギー患者756例において, イネ科花粉に対する感作率とイネ科花粉症の占める割合の推移を調査したところ, 5年毎の感作率は7.9%, 22.4%, 23.3%, イネ科花粉症の割合は, 4.8%, 10.3%, 12.1%とそれぞれ1990年頃から増加傾向がみられた.イネ科感作例135例のうち, 88.1%はスギとの重複感作例で, 54.8%はスギおよびHD・ダニとの重複感作例であった.イネ科単独感作例は5.9%であった.イネ科感作例中の約半数が発症しており, CAP RAST scoreが高いほど発症率は有意に高かった.
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