アレルギー
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テーラーメイドテラピーの現状
辻本 豪三
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2004 年 53 巻 10 号 p. 1062-1065

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抄録

「生命の設計図」であるヒトゲノムの構造をすべて明らかにする, いわゆるヒトゲノム計画がほぼ完成されつつある. 現在, 世界の研究者の関心は構造(塩基配列)からゲノムに記されている情報(遺伝子の機能)の読解(機能ゲノム科学functional genomics)へと移行しており, 既にポストゲノム(シークエンス)時代へ突入しつつある. 機能ゲノム科学の最も身近な成果として現在期待されているものが, ヒトの病気の原因解明, 診断, 治療といった医療分野である. 多様な分子病態機構が明らかにされ, 各種の分子病態に対応する薬を創るには, 従来の宝探し的なやり方では対応できず, ゲノム情報から薬を理論的に創る『ゲノム創薬』の戦略が多くの製薬企業で導入, 展開され, それにより単一の疾患に対しても多様な治療薬の品揃えが可能となろうとしている. この遺伝子情報に合わせた薬の品揃えにより, 近い将来には"ありふれた病気"に対しても患者の遺伝的体質に合わせた処方, 治療計画がなされる, いわゆるテーラーメイド医療が提供される基盤が出来つつある.

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© 2004 日本アレルギー学会
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