アレルギー
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わが国の喘息死の動向
中澤 次夫
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2004 年 53 巻 11 号 p. 1112-1118

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抄録
喘息死は世界各国で1990年後半から増加の停滞あるいは減少傾向が報じられている. わが国の喘息死亡率は厚生労働省報告によれば1980年ころから約20年間は人口10万人あたり5人前後を保ち1995年に一過性に急増したもののそれ以降は4人台となり, 近年は3人台と急激な減少を見せている. しかし現実に年間約4000人が喘息で死亡しておりその実態分析を基盤とした予防対策は重要な課題である. 今回はわが国の近年の成人喘息死の疫学, 動態について厚生労働省の報告を, 喘息死の実態, 特性面では喘息死調査研究班が全国レベルで実施した過去9年間の調査結果と日本アレルギー学会喘息死特別委員会の過去6年間の調査結果3)を基に概説する. I. 疫学調査成績 人口10万あたりの死亡率の変遷をみると1970年の8.8人から1975年は6.2人, 1980年は5.5人となり, 以後, 1982年から1987年までは5人前後を保ち, 1989年から1994年までは4.7-4.8人と漸減している. 1995年に5.8人と一過性に増加したものの翌年より再び減少しはじめ, 1996年は4.9人, 1997年は4.5人, 1998年は4.1人, 1999年は4.3人と1996-1999年は4人台となり, 更に2000年は3.6人, 2001年は3.2人, 2002年は3.0人と減少しており近年の喘息死は著明に減少している.
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© 2004 日本アレルギー学会
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