アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
シックハウス症候群と未分類の多種化学物質過敏症の分離の試み : シックハウス症候群の定義および症状
鳥居 新平平山 耕一郎秋山 一男池澤 善郎内尾 英一岡本 美孝小倉 英郎高橋 清西間 三馨
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 55 巻 12 号 p. 1515-1530

詳細
抄録

【目的】シックハウス症候群(SHS)の定義を明らかにする目的で本研究を行った.【方法】SHSの定義は,1.発症のきっかけが住居に関連する.2.症状は住居内で現れる.3.住居から離れると,症状は軽くなるか又は消失する.4.住居に入ると繰り返し症状が現れる.以上をSHSとし,それ以外はMCSと分類した.SHSのみを完全に抽出すれば,MCSは複数の疾患を含むため,MCSの特徴的な症状は検出され難い.この作業仮説に基づき,オッズ比が,1超えがSHSの特徴的な症状となるように,MCSを参照としてlogistic regressionを行った.【結果】オッズ比が2以上のSHSに特徴的な症状は吐き気・嘔吐,何事もおっくうであり,症状が悪化する原因物質として香水,化粧品のにおいであった.各種アレルギー性疾患との比較で,アレルギー疾患に特徴的な症状が夫々検出された.【結語】この結果は,分類方法が適切であることを示し,本定義は,WHOのシックビルディング症候群に関する定義と基本的に変わらず,類似の症状が検出できた.

著者関連情報
© 2006 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top