アレルギー
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SF-8とJRQLQの相関 : スギ花粉症を対象に
藤井 つかさ荻野 敏有本 啓恵入船 盛弘岩田 伸子大川内 一郎菊守 寛瀬尾 律竹田 真理子玉城 晶子馬場 謙治野瀬 道宏
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2007 年 56 巻 2 号 p. 109-117

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抄録

【背景】昨今,花粉症治療において,健康関連QOLが重要なアウトカムとされている.現在わが国においては,疾患特異的な調査票であるJFQLQ,または疾患非特異的な調査票であるSF-36が主に用いられている.【目的】疾患特異的な調査票と疾患非特異的な調査票の相関関係や相違を検討することで,花粉症患者におけるより有益なQOL調査を目的とした.【方法】2005年のスギ花粉飛散ピーク時に,大阪府・兵庫県に診療所においてスギ花粉症で受診した患者に,JRQLQおよびSF-8によるQOLを含むアンケート調査を行い,有効回答が得られた患者の症状およびQOLを検討した.【結果】SF-8とJRQLQの因子分析の結果,JRQLQの「睡眠」の項目がSF-8と同じ因子に分類されたが,その他の因子は両方の質問紙からの項目を含んでいなかった.SF-8とJRQLQの間では,特にSF-8の日常役割機能(精神)とJRQLQの「日常生活」「精神生活」で高い相関が見られた.症状スコアとSF-8の間にはほとんど相関が見られない一方,JRQLQの「日常生活」においては,どの症状とも有意な相関が認められた.【結語】SF-8とJRQLQはQOLの異なる側面を測定しており,2つの質問紙を同時に用いることによって,より有益なQOL調査を行うことができると示唆された.

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© 2007 日本アレルギー学会
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