アレルギー
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関東圏における口腔アレルギー症候群の臨床像の検討
小野 恵美子前田 裕二谷本 英則福冨 友馬押方 智也子関谷 潔史粒来 崇博釣木澤 尚実大友 守谷口 正実石井 豊太朝比奈 昭彦宮崎 英士熊本 俊秀秋山 一男
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2007 年 56 巻 6 号 p. 587-592

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抄録

【背景・目的】近年,果物にアレルギー症状を呈する患者が増加している.これらの患者について背景や特徴,重症度の把握を行う.【対象・方法】過去5年間に当院外来を受診し,問診から植物由来食品に何らかのアレルギーが疑われた関東圏在住の患者を対象とし,アンケート調査を行った.【結果】対象は42例,平均年齢36歳,男:女=8 : 34. アレルギー疾患の合併は,鼻アレルギー35例(83%),喘息34例(81%),アトピー性皮膚炎14例(33%).問診上の被疑食品は,バラ科果物31例,非バラ科果物34例,野菜14例,豆・ナッツ類11例,穀物2例.症状は,口腔症状のみ12例,口腔症状以外の全身症状は29例,アナフィラキシーは11例でみられた.鼻アレルギーの先行例が8割と高率であったが,約2割の患者では鼻アレルギーの合併がみられなかった.【結語】関東圏における植物由来食品に対する口腔アレルギー患者の多くは鼻炎症状が先行していた.また,ハンノキ花粉症を伴わない症例が存在することやバラ科以外の果実にも高頻度で症状を認めたことなどから,ハンノキ以外の花粉と植物由来食物との間の広範な交差反応の存在が推測される.

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© 2007 日本アレルギー学会
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