アレルギー
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フルタイド^<TM>とキュバール^<TM>の吸入ステロイド併用療法の有用性
金子 教宏大国 義弘田辺 裕子長谷川 景子井上 恵一安井 大策綾部 悦里好佐藤 智恵子光石 陽一郎中下 珠緒本島 新司
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2008 年 57 巻 6 号 p. 706-712

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抄録

目的:我々はFP-DPI 800μg/日とBDP-HFA 400μg/日を併用することにより自覚症状と肺機能検査の著明な改善を認めた症例を報告した.そこで,今回我々は不安定な重症気管支喘息7例を対象にBDP-HFA 400μg/日の上乗せ効果を検討した.結果:PEFは改善し,日内変動も安定化した.肺機能検査では,FVC,FEV_<1.0>有意な改善は示さなかったがV 25/heightは有意な改善を示した.改善の程度は,末梢気道ほどその改善率は高かった.臨床的には,追加する前は年間1人当たり4.6回の予定外通院を認めたが,追加後は2.1回と減少し,経口ステロイド剤を服用していた3例は全例中止が可能で,7例中6例で抗喘息薬を減量することができた.結論:吸入ステロイドは吸入機器の違いにより到達部位が異なる可能性があり,今後は通常の喘息治療薬を試みても不安定な治療抵抗性喘息患者に対して,それぞれの特長を生かした吸入ステロイドの併用療法も治療の選択肢の一つではないと考える.

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© 2008 日本アレルギー学会
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