アレルギー
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β_2アドレナリン受容体遺伝子(Arg16Gly)多型が気管支喘息患者のβ_2刺激薬長期連用に与える影響
伊佐田 朗檜澤 伸之清水 健一清水 薫子高橋 歩服部 健史前田 由起子高橋 大輔今野 哲西村 正治
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2008 年 57 巻 6 号 p. 713-721

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抄録

【背景】β_2アドレナリン受容体(ADRB2)遺伝子の16番アミノ酸におけるグリシン(Gly)からアルギニン(Arg)への変化は受容体の機能的変化をもたらす.長期間のβ_2刺激薬投与により,特にArg/Arg患者では呼吸機能の悪化が報告されている.本研究では日本人喘息患者を対象にArg16Gly多型のβ_2刺激薬長期連用による呼吸機能への影響を検討した.【方法】対象は気管支喘息患者128人(Arg/Arg群64人,Gly/Gly群64人).β_2刺激薬を少なくとも6ヵ月間以上使用した長期連用群と非連用群に分類し,各遺伝子型群におけるβ_2刺激薬連用の有無による1秒量の変化を比較検討した.【結果】Gly/Gly群ではβ_2刺激薬連用によって,より大きな1秒量の改善が認められた(p=0.027-0.041).Arg/Arg群では連用群と非連用群との間に1秒量の改善に差はなかった.【結論】Arg/Arg型の日本人喘息患者においてβ_2刺激薬連用の有用性が小さく,ADRB2遺伝子が治療効果に影響を与えていると考えられた.

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© 2008 日本アレルギー学会
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