アレルギー
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浸透圧変化によるモルモット気道上皮イオントランスポートの反応性の検討
服部 知洋馬島 徹橋本 修
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2010 年 59 巻 8 号 p. 974-983

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抄録

【背景】運動誘発喘息(Exercise-induced asthma,EIA)の誘因に,過換気に伴う水分喪失による気道液浸透圧の上昇が考えられている.【目的】モルモット気道上皮イオントランスポートの浸透圧変化による反応性を検討した.【方法】高張食塩水及びマンニトール負荷による影響をopen circuit potential differenceを測定することにより検討した.【結果】0.9-10.8%粘膜側高張食塩水負荷で,diphenylamine-2-carboxylate(DPC),amiloride,disodium cromoglycate(DSCG)はpotential difference(PD)の増加を抑制した.1.8%粘膜側高張食塩水単独負荷でPDの増加を認めたが,585mOsm/kgH_2O粘膜側マンニトール単独負荷では増加を認めず,Cl-free溶液でも同様であった.1.8%粘膜側高張食塩水単独負荷後の組織学的検討では,DPCでのみ気道上皮の厚みの減少を有意に抑制していた.【結語】PDの上昇には,気道液中の浸透圧変化だけでなく,Cl^-,Na^+濃度の変化も重要と考えられた.またcyclic-AMP dependent Cl^-チャンネルの関与が推測され,EIAの病態にも同様なことが示唆されると考えられた.

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© 2010 日本アレルギー学会
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