抄録
【背景】東日本大震災発生後において,生活弱者である食物アレルギー患者が困っている状況を各メディアが伝えたが,その詳細は不明のままである.【方法】震災後に食物アレルギー患児の保護者を対象に後方視的なアンケート調査を実施した.自宅の被災状況,情報の収集手段,アレルギー対応食品の不足状況,合併する気管支喘息やアトピー性皮膚炎の悪化の有無などについて回答してもらった.【結果】今回調査対象となった患者の大半は仙台およびその周辺都市に住んでおり,震災による影響としてはライフラインの断絶,通信・交通網の途絶,物資不足によるものが多かったが,中でもアレルギー対応食品の不足が問題となっていた.またアトピー性皮膚炎を合併する児では,入浴が出来なかったことによる湿疹の悪化が目立った.【結語】食物アレルギー患者に対する災害対策として,アレルギー対応食品を迅速に必要な所に届けられる体制や,合併するアトピー性皮膚炎の悪化を防ぐため早期にシャワーを使用できる体制の構築が望まれる.