アレルギー
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出生コホートによる乳児期早期の湿疹と感作およびアレルギー疾患発症についての検討
渋谷 紀子斉藤 恵美子柄澤 千登世
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2013 年 62 巻 12 号 p. 1598-1610

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抄録

【背景・目的】近年,経皮感作の重要性が注目されているが,乳児期の感作について詳細に検討した報告は少ない.【方法】317名の乳児に対し,1歳まで3カ月ごとにプリックテスト(SPT)とアンケート調査を実施し,感作およびアレルギー疾患発症のリスク因子について検討した.【結果】42%の乳児が一度はSPT陽性を示し,早期の感作は1歳までのアレルギー疾患発症と強く相関していた.生後早期の湿疹は感作(aOR, 3.0;95%CI,1.8-5.0),アトピー性皮膚炎(AD) (aOR, 13.0;95%CI, 4.5-37.3),食物アレルギー(FA) (aOR, 28.4;95%CI, 3.3-240.6)発症と有意な相関を認めた.乳児期の感作頻度の推移は湿疹経過と平行しており,FA児のほぼ全例が生後早期に湿疹を認めていた.母乳は湿疹のある児にとって感作とFAのリスクであり,早期に湿疹のない児はほとんどAD, FAを発症しなかった.【結語】生後早期の湿疹は乳児期の感作およびアレルギー疾患発症のリスク因子である.

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© 2013 日本アレルギー学会
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