アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
乳成分が非意図的に混入した学校給食パンによる乳アレルギー発症事例における混入経路の検証
清田 恭平藤原 有佳足立 和人亀田 誠阿久津 和彦梶村 計志
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 6 号 p. 787-793

詳細
抄録

【背景・目的】2012年5月,大阪府内において特定原材料「乳」を原材料として使用していないはずの学校給食揚げパンを喫食した児童のうち,乳アレルギーを有する2名がアレルギー症状を呈した.当該パンの製造工程において乳成分が混入した可能性が疑われ,その混入経路を検証することとした.【方法】乳を含むパンを製造し,生地分割機を除く製造ラインを改訂した手順に従い清掃後,乳を含まないパン生地を投入してパンを製造し,事例当時のパン製造を再現した.乳の主要アレルゲンであるカゼインを指標に製造ロットごとに濃度を測定した.【結果】初期の製造ロットのパンには1000ppm以上のカゼインが含まれていた.その後ロット数増加に伴い徐々にカゼイン含有量は減少した.また,揚げ調理によってカゼイン含有量がより低下する傾向が見られた.【結語】初期の製造ロットのパンに多量のカゼインが含まれ,次第に含有量が減少したことから,前に製造した乳成分を含むパン生地が製造機器中に残存し,後に製造した乳成分を含まないパン生地に混入したことが示唆された.

著者関連情報
© 2014 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top