アレルギー
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原著
小児スギ花粉症の症状と生活障害についての患児と保護者による認識の比較
増田 佐和子臼井 智子
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2015 年 64 巻 7 号 p. 942-951

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抄録

【背景・目的】スギ花粉症の患児が自ら感じている症状やQuality of Life(QOL)障害の程度を把握することは必ずしも容易ではない.また子どもの花粉症が保護者のQOLに及ぼす影響についてもわかっていない.花粉症による症状や支障について,患児と保護者それぞれの認識を検討することを目的とした.【方法】小中学生のスギ花粉症患児とその保護者26組52名に対し,独自に作成した自記式のアンケート調査を行って関連を検討した.【結果】症状の程度について,患児と保護者の認識はよく一致していた.花粉症による問題として最も多かったのは,患児も保護者も「鼻や目をこすること」であった.患児では実際的なことを,保護者では患児の情緒や生活面での支障を気にする傾向にあった.半数以上の保護者が子どもの健康状態に不安を感じており,不安がある保護者の子どもは鼻症状が強かった.【結語】小中学生の患児は症状を適切に示すことができ,患児と保護者では支障を感じる点に差がある.それぞれのQOLを考慮した治療管理が必要であり,患児と保護者用の適切な調査票の開発が必要であると考えられた.

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© 2015 日本アレルギー学会
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