2015 年 64 巻 8 号 p. 1160-1168
【背景・目的】ガイドラインの普及に伴い小児気管支喘息(BA)及びアレルギー性鼻炎(AR)のコントロール状態は改善されてきているが,近年本邦小児の気管支喘息(BA),アレルギー性鼻炎(AR)に対して免疫療法の治療効果を調べた報告は少ない.ハウスダストによるアレルゲン免疫療法開始1年間後の安全性と治療効果を検討する.【方法】BA,ARに罹患している小児35名を対象に急速法(Rush-immunotherapy:RIT)で導入を行い,月1回の頻度で維持療法を施行した.カルテから後方視的に全身反応の頻度,小児気管支喘息治療点数,ARにおける症状・服薬スコアの変化を調べた.【結果】患者毎の全身反応発症率は8.3%,接種毎の全身反応発症率は0.49%であった.RIT開始後小児気管支喘息治療点数は43%(567→325),アレルギー性鼻炎の症状・服薬スコアは43%(5.1→2.9)改善が見られた.【考察】ハウスダストによるRITは日本人小児BA,ARに安全で効果的な治療である事が確認できた.