2017 年 66 巻 2 号 p. 112-117
気管支喘息大発作の幼児2例に対しヘルメット型マスクを用い非侵襲的陽圧換気法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)を施行した.従来の口鼻マスクでは小児に合うサイズの種類が少ないことや顔面に直接接触する不快感などからNPPVの使用が困難となることが多かったが,今回使用したヘルメット型マスクのフィッティングは首周りのサイズだけで行え,体動によるマスクの密着性が損なわれることがないため本症例のような幼児においても使用可能であった.今回,気管支喘息大発作の幼児においてヘルメット型マスクを用いたNPPVによる治療は有効で気管挿管を回避できた.今後,本症例のように呼吸不全まで至らない状態で呼吸補助筋の疲労や薬物治療に反応不良を示す気管支喘息大発作時には,気管挿管前の治療法の選択肢としてNPPVによる人工呼吸器管理を検討してもよいと考える.