2017 年 66 巻 6 号 p. 809-812
症例は14歳男児.クラゲ刺傷の既往はなく,これまで半年に1回の頻度でクラゲを摂取していた.市販のタコクラゲ(約100g)を摂取して5分後に嘔気,喘鳴,紅斑が出現し,当院を受診した.アナフィラキシーと判断して,アドレナリンの筋肉注射,気管支拡張薬の吸入等の処置を行った.後日施行したタコクラゲの経口負荷試験によって,紅斑,喘鳴,嘔気,腹痛が出現し,クラゲによるアナフィラキシーと診断した.クラゲの経口摂取によるアナフィラキシー症例の報告は稀で,アレルゲンもほとんど解析されていない.本症例ではクラゲ刺傷の既往がなく,ポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)のプリックテストも陰性であった.そのためクラゲアレルギーの発症機序は,クラゲ刺傷によりPGAに感作されて発症する納豆による遅発性アナフィラキシーとは異なると考えられた.また,数種類の食用クラゲを用いたprick to prick testの結果,クラゲの種類によりアレルゲン性が異なることが示唆された.