アレルギー
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原著
厚生労働省「平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」保育所入所児童のアレルギー疾患罹患状況と保育所におけるアレルギー対策に関する実態調査結果報告
柳田 紀之海老澤 元宏勝沼 俊雄吉澤 穣治
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2018 年 67 巻 3 号 p. 202-210

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抄録

【背景】保育所における食物アレルギー(以下FA)の有症率,受け入れ状況および誤食の発生率などを全国的に調査した報告はない.

【目的】保育所におけるFAに関する現状を明らかにする.

【方法】調査対象施設は全国の保育関係施設とし,Web page上で入力または調査依頼書に記入し郵送する方法で調査を依頼した.

【結果】実際に調査依頼書が送付できた32210施設中15722の施設から回答が得られた(回答率は48.8%).全体の有症率は4.0%で,0歳が6.4%,1歳7.1%,2歳5.1%,3歳3.6%,4歳2.8%,5歳2.3%,6歳0.8%であった.93.4%の施設がFA児を預かると回答し,3.3%の施設が預からないと回答した.給食対応の内容は52.4%が除去食,39.5%が代替食,3.3%が弁当持参であった.約11カ月間の調査期間中に7.6%の児が保育所でFA症状を1回以上認めた.

【結語】多くの保育所がFA児を受け入れており,除去食や代替食により給食も対応していた.一方,FAの誘発症状を経験する児も少なくなく,誤食の可能性を減らすための各部門で継続的な努力や,緊急時に確実に対応できる体制の確立が必要である.

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© 2018 日本アレルギー学会
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