2019 年 68 巻 1 号 p. 48-53
症例は16歳男性,高校生.昼食後の体育の授業中に突然,全身に膨疹,掻痒感,呼吸困難が出現した.昼食の食材について皮膚テスト,血清検査,誘発テストの順に原因検索をおこなった.プリックプリックテストではブラックタイガー(生及び加熱),バナメイエビ(加熱)に陽性,抗原特異的IgE(ImmunoCAP®)はすべて正常範囲であった.アスピリン内服下エビ(ブラックタイガー,加熱)摂取後運動負荷試験により強いアナフィラキシー症状を呈し,エビの食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:以下,FDEIA)と診断した.さらに抗原解析により,本症例は40kDaタンパク質が原因抗原と考えられ,それをfructose1,6-bisphosphate aldolase(以下,FBA)と同定した.エビのFDEIAの診断において,現時点では病歴の確認と生・加熱双方を用いたプリックプリックテストが有用であり,抗原特異的IgEの精度は低い.今後原因抗原を明らかにし,コンポーネントアレルゲンを用いた抗原特異的IgE検査の開発が望まれる.