アレルギー
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症例報告
琵琶湖のコアユによるアナフィラキシーの1例
林 綾乃深井 和吉小林 征洋
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2020 年 69 巻 3 号 p. 209-212

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抄録

症例は28歳男性,製造業.昼食時琵琶湖の小鮎あめ煮®を2尾摂取直後に胃痛が出現し,胃薬を内服した.1時間後に顔面に瘙痒伴う発赤が出現し,呼吸困難となり救急搬送された.食材について皮膚テスト,血清検査による原因検索を行った.皮膚プリックテストでは琵琶湖のコアユ・エビ・カニ・イカに陽性を示し,一般的なアユや他の魚類は陰性であった.抗原特異的IgEではエビ・カニ・ダニ・ガ・ユスリカ・ゴキブリに陽性を示したが,rGad c 1(タラパルブアルブミン),rPen a 1(エビトロポミオシン)の各アレルゲンコンポーネントは陰性であった.またELISAではコアユ・アユ・マサバの抽出液およびマサバパルブアルブミン・マサバコラーゲンの反応はみられなかった.以上より琵琶湖のコアユによるアナフィラキシーと診断した.琵琶湖のコアユによるアレルギーは本症例が初めての報告である.コアユ特有の原因抗原が存在する可能性が考えられた.

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© 2020 日本アレルギー学会
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