2021 年 70 巻 2 号 p. 127-131
症例は52歳女性.X年7月頃より倦怠感,労作時呼吸困難を自覚し,徐々に症状が増悪した.8月下旬に近医で対症療法を行うも症状の改善なく,9月下旬に当院を受診した.胸部単純X線写真で両全肺野にびまん性粒状影,胸部CTで両側びまん性の小葉中心性粒状影を認めた.問診で15年前から自宅でインコを室内で放し飼いしていることが判明し,鳥関連過敏性肺炎を疑った.自宅環境調査ではインコが一室の飼育部屋に40羽放し飼いされており,床にはインコの排泄物,羽が大量に付着していた.血清抗PDE IgG,IgA抗体及び環境誘発試験が陽性であり,気管支鏡検査で気管支肺胞洗浄液中のリンパ球増多とCD4/8比の低下を認めた.さらに経気管支肺生検で肺胞壁から小葉間結合織,胸膜下に強いリンパ球浸潤を認め,急性鳥関連過敏性肺炎と診断し,抗原回避で改善した.
鳥関連過敏性肺炎は慢性過敏性肺炎の潜在発症型をとる場合が多く,本症例もインコ飼育歴から慢性発症が予想されたが,急性発症型の診断となった.掃除換気不足で曝露される抗原量が増加し,急性発症型として発症したと考えられた.