2023 年 72 巻 1 号 p. 26-36
【背景・目的】宮城県におけるアレルギー医療体制の地域間格差を明らかにする.
【方法】宮城県内1512の医療機関を対象としてwebでのアンケート調査を行った.回答は,仙台市,その他地域(非仙台圏)の2群間で比較した.
【結果】175施設(内科72,小児科34,皮膚科17,耳鼻咽喉科15,眼科12,その他25)から回答を得た.管理に難渋する疾患として食物アレルギー,アトピー性皮膚炎が両群ともに多く選ばれたが,さらに非仙台圏では気管支喘息や慢性蕁麻疹の回答が多かった.治療や検査方法が充足していないこと,救急症例への対応を問題点としてあげた.アナフィラキシー診療において,救急搬送先が見つからずに苦慮した経験がある施設の割合は,仙台市29%と有意に高かった(非仙台圏11%).生物学的製剤の使用割合は非仙台圏11%で低い傾向にあり,適応の判別に苦慮している施設の割合が有意に高かった.診療の向上のため紹介機関リスト作成や診療ネットワーク構築の期待が高かった.
【結論】地域毎に特有の課題が明らかにされた.