アレルギー
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原著
分娩時の適正な抗菌薬使用と手術部位感染予防のための妊娠中における抗菌薬アレルギー評価
平井 聖子山本 貴和子樺島 重憲福家 辰樹庄司 健介小澤 克典左合 治彦大矢 幸弘
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2023 年 72 巻 10 号 p. 1223-1229

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抄録

【背景】抗菌薬アレルギー(Antimicrobial allergy:AA)の申告の多くは,真のアレルギーでないといわれている.近年,妊婦においても,AA評価は安全に実施できるという報告が増えている.

【目的】AA疑いの妊婦に対する分娩前のAA評価の有用性について,検討することを目的とした.

【方法】対象は,AAを申告しアレルギーセンターに紹介された妊婦とした.問診・皮膚テストを行い,分娩時に使用できる薬剤を選定した.

【結果】合計25症例(のべ24妊婦)が対象となり,最多の被疑薬はセフェム系で13例(52.0%),次いでペニシリン系で9例(36.0%)であった.問診のみでAAを否定された妊婦は5例で,即時型10例,非即時型6例,不明4例であった.分娩時に抗菌薬が必要と判断された21名全員が当センターが定める第一選択薬(βラクタム系)を使用し,手術部位感染を認めなかった.抗菌薬使用によるアレルギー反応は,認めなかった.

【結論】AAを申告した妊婦に対して,分娩前にAA評価を行い,分娩時に安全に第一選択抗菌薬を使用できた.

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© 2023 日本アレルギー学会
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