アレルギー
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症例報告
異なる除去指導を行った学童期の果物GRPアレルギーの2例
酒井 秀政本橋 康弘五十嵐 健康
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2024 年 73 巻 4 号 p. 347-352

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抄録

果物のGibberellin-regulated protein(GRP)アレルギーは,加熱・加工品でも全身症状を伴う果物アレルギーである.GRPが広範な植物に含まれることから,原因となる果物は多岐にわたる.症例1は6歳男児,学校給食で缶詰のモモを摂取後に運動してアナフィラキシーショックとなり,諸検査でモモGRPアレルギーが強く疑われた.その半年後に給食のリンゴ,さらに2年半後にも給食の柑橘類で相次いで同様の症状を呈した.症例2は11歳男児.やはり学校給食で缶詰のモモを摂取後に運動してアナフィラキシーとなり,諸検査でモモGRPアレルギーが推察された.その1年半後にイチゴで同様の症状を呈した.症例ごとに異なる果物へのアレルギーを呈することから,除去食指導には個別性が必要であった.特にリンゴや柑橘類は,果肉としてのみならず,調味料の風味付けや隠し味として学校給食に頻回に登場していることに留意し,適切な除去範囲についても症例毎に検討を要すると思われた.

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© 2024 日本アレルギー学会
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