抄録
ネパールの農業発展には効果的な米流通システムの確立が必要不可欠であるが,その整備は立ち後れている.そのため,農家は市場情報,信用供与,貯蔵輸送条件,価格等の面において多くの制約に直面し,改善が求められている.本研究では,チトワン地区を対象に200の農家と50の仲買人に対して現地調査し,米流通システムの現状,問題点,および仲買人の役割について分析した.
米の流通において仲買人が極めて大きな役割を果たしていることが本研究によって明らかになった.小規模農家は経済力が弱く換金を急ぐため,収穫シーズンの直後に米を仲買人に売り渡さざるを得ず,買い叩かれる現象が頻発する.多数の仲買人によって吊り上げられた高い消費者米価を招く要因にもなっている.仲買人と比較して農業協同組合の流通マージンは低率で,価格決定や仲買人の過度な参入の排除等においても零細農家の手助けになっている.農業協同組合の発展は効果的な米流通システムの構築に結び付くと考える.なお,30%以上の農家は仲買人の高利息の融資に依存している現実を考えると,効率的な米市場の構築や農家のマーケテイング改善のみならず,経済発展のためにも公的融資制度の整備が求められる.