農林業問題研究
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研究論文
担い手減少下の地域農業における国産濃厚飼料イアコーン導入と農地管理の可能性
―北海道の畑作経営を事例として―
竹内 重吉久保田 哲史
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2017 年 53 巻 2 号 p. 60-71

詳細

1. はじめに

日本の畜産経営においては飼料自給率,特に濃厚飼料の自給率向上が課題となっている.農林水産省(2016)によると,2014年度の飼料供給割合は粗飼料が21%であるのに対し濃厚飼料が79%を占めている.

しかし,飼料自給率を見ると粗飼料自給率は78%であるのに対し,濃厚飼料自給率は14%と低い.このように輸入飼料依存型経営のため,近年の穀物価格の高騰が経営を圧迫している.このような中,輸入濃厚飼料の代替としてイアコーンサイレージなどの国産濃厚飼料原料の増産が検討されている1農林水産省,2015).特に飼料作物作付面積,乳用牛及び肉用牛の飼養頭数が全国第1位(2015年)の北海道では2,国産濃厚飼料イアコーンが注目されており,乳牛向け濃厚飼料の国産化を目指したイアコーンの生産と利用に関する取組みが進められている(久保田,2016).

イアコーンの利用普及に向けた経営的評価では,導入のための収益性が課題となっている.例えば樋口他(2010)は,酪農経営と畑作経営の連携を前提とし,イアコーンサイレージの経営的評価を行っている.その結果,酪農経営の評価は生産コストをはるかに下回るため,コスト削減が最大課題となることを明らかにしている.また藤田他(2012)は,イアコーンサイレージの生産コストや導入条件について考察している.そして,導入には価格が最も重要な条件であり,圧ぺんとうもろこしとの価格比較と,飼料設計を踏まえた1日1頭当たりの飼料価格を示すことが重要としている.また,導入においては新たな機械への投資も課題となる3.藤田・久保田(2016)は,イアコーンサイレージの導入にあたって必要となる機械への投資額と,投資の回収に必要な金額,回収額を得るために必要な経産牛頭数を明らかにしている.

北海道のイアコーン生産の事例としては,複数の酪農経営で組織されるTMRセンターによる生産事例や,畑作経営と酪農経営の耕畜連携による生産事例がみられ,久保田(2016)によってイアコーンの普及定着のための条件が考察されている.このうち耕畜連携の取組みにおいては,飼料を畑作経営が生産することによって,酪農経営としては飼料生産への労働投入を軽減することができる.一方,畑作経営において,省力作物であるとうもろこし生産は,農地管理を可能とする作物として期待されている.近年の全国的な人・農地プラン作成の取組みにも見られるように,全国的に農家の高齢化,担い手不足により将来の農地資源の維持管理が危惧されており,北海道も例外ではない4.地域の畑作経営では今後,担い手の減少が危惧される中で,いかに地域の農地を管理していくかが課題となっている.また,小麦等の基幹作物の収益性の低下が懸念される中で,イアコーンはこれらに代わる作物として注目されている5

このことから,地域で耕畜連携によるイアコーン生産の取組みを推進することは,酪農経営における国産濃厚飼料の利用促進という側面だけではなく,畑作経営においても将来の担い手減少下における農地管理の有効な方策となり得る可能性がある.しかし,イアコーン生産の導入が担い手減少下の地域農業においてどのような影響があるのか,考察した研究は少ない.

そこで本稿では,北海道安平町を対象地域とし,耕畜連携によるイアコーン生産の導入が地域農業へ及ぼす影響を,担い手減少下の畑作経営における農地管理の視点から検討する.分析の方法は次の通りである.第1に対象地域における担い手人口の将来推計を行い,地域の担い手構造が今後どのように変化するのかを明らかにする.そのうえで,担い手の減少に伴って発生する新たに管理が必要となる農地面積を推計する.第2に線形計画法によってイアコーン生産を導入した畑作経営モデルを構築し,与件変化線形計画法を適用することによりイアコーン導入の条件を明らかにする.加えて,労働粗放的なイアコーンの導入によってどれだけ作付面積の拡大が可能かを計測する.なお,線形計画モデルの分析結果をもとに地域全体への影響に関する分析を行うため,対象地域の代表的な経営モデルとして経営規模が異なる3つのモデルを構築し分析を行う.第3にイアコーン導入による作付面積の拡大効果と担い手の減少に伴って新たに管理が必要となる農地面積とを比較する.これによって,地域全体を対象としてイアコーン導入による作付面積の拡大が行われた場合,将来的な担い手減少によって発生する農地をどれだけ維持管理できる可能性があるか,イアコーン導入による農地管理の可能性を考察する.

2. 対象地域の概要

本稿では近年,耕畜連携によるイアコーン生産の取組みが進められている北海道の安平町を対象地域としている.表1は対象地域の畑作経営の主要作物とその構成を示したものである.2009年の対象地域の畑作経営の作付面積は2,587 haであり,小麦や豆類が主要な作物となっている.畑作経営の作付体系もこの構成割合が一般的となっている.経営規模について,表2は年代別のおおよその経営規模を示したものである.40代をピークに規模拡大し,それ以降は加齢とともに規模を縮小する傾向がある.担い手の高齢化が進んでおり,対象地域の農業就業人口を見ると60歳以上の割合が52%となっており,将来の担い手減少が危惧されている6

表1. 対象地域における畑作経営の主要作物と構成
作物 小麦 豆類 てんさい スイートコーン かぼちゃ 合計
2009年作付面積(ha) 801 947 524 236 79 2,587
構成割合(%) 31 37 20 9 3 100

資料:北海道安平町(2010)より作成.

表2. 年代別の経営規模
年代 30代 40代 50代 60代以上 30代と60代の2世代
経営規模(ha) 40 50–70 30 10 100

資料:現地聞き取り調査より作成.

安平町では2013年から畑作経営と酪農経営との耕畜連携によるイアコーン生産が実施された.イアコーンの収穫までの生産管理行程はWPCSの生産と同じであり,対象地域の収穫は10月中旬から下旬にかけて行われる.収穫前までの作業と残渣すき込みは畑作経営が行い,収穫作業は町外のコントラクターへ委託している.なお,対象地域における酪農経営との耕畜連携は2010年から行われており2011年,2012年はWPCSの生産を行っており,WPCS生産の収穫作業は酪農経営が行う.畑作経営はイアコーンについて10 a当たり2万円以上の利益を希望している.一方,酪農経営は原物35円/kg以下の購入を希望しており,30円程度を理想と考えている.なお,安平町では耕畜連携の取組みに対して8,000円/10 aの助成事業がある7

酪農経営においてイアコーンは輸入の圧ぺんとうもろこしとの代替を想定しており,その嗜好性も評価されている(久保田,2016).また藤田他(2012)では酪農経営におけるイアコーンサイレージの評価や導入意向を明らかにしており,その嗜好性は良好で,導入条件については飼料費の低下が実現でき,圧ぺんとうもろこし価格より安価であることとしている.

対象地域におけるイアコーン導入の意義を現地の畑作経営や普及センターへの現地調査から整理すると8,担い手減少下の省力作物としての農地管理,小麦等の基幹作物に替わる新たな所得確保,が期待されている.地域では粗飼料としてのWPCSは供給が足りているため,イアコーンのニーズがある.つまり,畑作経営において省力作物という点ではイアコーンとWPCSとで大きな差はないが,地域の酪農経営のニーズや国産濃厚飼料の増産,普及推進という点にイアコーン導入の意義がある.

3. 対象地域の担い手人口と農地管理に関する将来予測

次に対象地域において,今後,担い手人口がどのように推移するのかを明らかにするため,農林業センサスデータの農業就業人口をもとにコウホート変化率法によって推計を行った.推計方法を(1)式に示す.Nを人口としtを年次とすると,(t+1)年の人口N(t+1)を推計する時,基準人口となるt年の人口Ntに,(t−1)年からt年への変化をとったコウホート変化率Nt/N(t−1)を乗じて求める.

  

N(t+1)=Nt(Nt/N(t-1))(1)

2015年の推計人口は農林業センサスにおける2010年を基準人口とし,2005年から2010年の変化率をもとに推計した.また,2020年の推計人口は2010年を基準人口とし,2000年から2010年の変化率をもとに推計した.

結果は表3の通りである.対象地域の農業就業人口は2000年から2010年にかけて減少傾向にある.推計結果から2020年には512人となり2000年の750人から約32%減少することが予想される.また,年代構成を見ると,60歳以下の年代は減少する一方で75歳以上の割合は2000年の8.8%から2020年には30.8%へと増加することが予想される.対象地域の現状として75歳で離農する傾向を想定すると,今後,担い手人口の減少や高齢化による離農によって,農地の維持管理が必要になると考えられる.

表3. 担い手人口の推計結果
単位 15–19歳 20–24歳 25–29歳 30–34歳 35–39歳 40–44歳 45–49歳 50–54歳 55–59歳 60–64歳 65–69歳 70–74歳 75歳以上 合計
センサス 2000 (人) 25 6 36 41 48 54 68 69 75 91 96 75 66 750
(%) 20.8 16.3 19.2 34.9 8.8 100
2005 (人) 8 14 16 48 41 40 45 65 67 67 77 80 86 654
(%) 19.4 13.0 20.2 34.3 13.2 100
2010 (人) 12 4 11 15 48 38 47 44 59 67 61 71 102 579
(%) 15.5 14.7 17.8 34.4 17.6 100
推計 2015 (人) 18 1 8 5 56 36 49 30 52 67 48 63 121 554
(%) 15.8 15.4 14.8 32.1 21.8 100
2020 (人) 6 3 3 5 48 27 32 28 46 49 39 67 158 512
(%) 12.8 11.6 14.6 30.3 30.8 100

資料:農林業センサスと推計結果をもとに作成.

そこで次に,担い手の減少に伴って新たに維持管理が必要となる農地面積を推計した.推計にあたっては2010年から2020年への変化を想定した.まず,前述の表2の年代別の経営規模を前提とすると,対象地域全体の畑作面積A0(2,587 ha)に表4の経営耕地面積規模別の割合sを乗じたものを各経営世代の総経営耕地面積A1とする〔(2)式〕.

表4. 経営耕地面積規模別にみた面積の割合
経営規模 10 ha以下 10–30 ha 30–50 ha 50–100 ha 100 ha以上
経営耕地面積規模別面積の割合:s(%) 5.7 22.95 22.66 29.3 19.36

資料:2010年世界農林業センサスより作成.

  

A1=A0s (2)

そして,表3の担い手人口の将来推計をもとに,各世代における農業就業人口の2010年から2020年の増減割合をuとすると,2020年の担い手によって作付けされる農地面積A2は,各経営世代の総経営耕地面積A1に(1-u)を乗じたものとする〔(3)式〕.

  

A2=A1(1-u) (3)

A1からA2を差し引いた面積を2020年に新たに管理が必要となる農地面積A3とすると,将来的な担い手の減少によって新たに管理が必要となる農地面積は712 haであり,地域全体の28%に及ぶ農地の維持管理が必要となる(表5).

表5. 担い手の減少によって新たに管理が必要となる農地面積の推計結果
経営規模 10 ha以下 10–30 ha 30–50 ha 50–100 ha 100 ha以上
世代 60代以上(75歳未満) 50代 30代 40代 2世代(30代と60代)
各経営世代の総経営耕地面積:A1 148 ha 594 ha 586 ha 758 ha 501 ha
2010年農業就業人口(センサス) 199人 103人 90人 85人 289人(90+199人)
2020年農業就業人口(推計) 155人 75人 65人 59人 220人(65+155人)
2010–2020の増減割合:u 22%減 27%減 28%減 31%減 24%減
2020年の担い手によって
作付けされる農地面積:A2
115 ha 434 ha 422 ha 523 ha 381 ha
1,875 ha
2020年に新たに管理が必要となる
農地面積:A3
33 ha 160 ha 164 ha 235 ha 120 ha
712 ha

資料:筆者作成.

1)値は小数点以下を四捨五入したものである.

以下では,これらの農地を維持管理する対策としてイアコーン生産導入の有効性を検討する.

4. 畑作経営モデルの分析

前節の分析結果より対象地域では今後,担い手が減少し,それによって維持管理が必要となる農地が発生するため,担い手減少下で農地の維持管理を行う対策が必要となる.本稿ではこの対策として労働粗放的なイアコーンの導入によってどれだけ作付面積の拡大が可能かを検討する.そこで,本節では線形計画法を用いてイアコーン生産の畑作経営モデルを構築し,イアコーン導入による作付面積の拡大効果を計測した.以下では経営モデルの概要を説明したうえで,モデル分析の結果にもとづいて,イアコーン生産の導入条件と,イアコーン導入による作付面積の拡大効果を考察する.

(1) 経営モデルの概要

本稿では線形計画法を用いた畑作経営モデルの分析結果をもとに地域全体の畑作生産への影響を考察するため,経営規模ごとに異なる3つの経営モデルを分析対象とし,前述の表2に示した年代別の経営規模にもとづいて地域の代表的な経営モデルを構築した.経営モデルⅠは40代で60 ha規模の経営を想定した中堅農家モデルである.これは現地でイアコーン生産に取り組んでいる畑作経営(以下,B経営)を想定しており,2013年の作付体系は小麦20 ha,てんさい10 ha,小豆10 ha,スイートコーン20 ha,イアコーン2.5 haの合計62.5 haである.経営モデルⅡは30代で40 ha規模の経営を想定した若手農家モデルである.そして経営モデルⅢは,60代以上で10 ha規模の高齢農家モデルである.

まず,モデルの目的関数は所得の最大化であり,以下の(4)式で表すことができる.Iは経営全体の農業所得9,Dは各作物における農業所得/10 a,Aは作付面積/10 aである.iは作付作物を表す添字である(1:小麦,2:てんさい,3:小豆,4:大豆,5:スイートコーン,6:イアコーン,7:WPCS).なお,各経営モデルにおいて選択可能な作物iは後述する.

  

max I= i=1 7 D i A i (4)

プロセスは作物作付プロセスであり,現地調査から各経営モデルにおける選択可能な作物iは次のように設定した.まず,経営モデルⅠの想定する作物は小麦,てんさい,小豆,大豆,スイートコーン,イアコーン,WPCSとした.これはB経営の作目に地域の一般的な作物である大豆を加え,イアコーンとWPCSとの比較も考慮した.作付体系の条件として現地の輪作体系を条件とし,てんさい4年輪作,小豆6年輪作,大豆4年輪作とした.また,現地調査から得られた「小麦は最低でも一定面積(10 ha)以上生産する」,「スイートコーン生産は契約生産であることや輪作の観点からも面積は維持する」10,「4作目以上は作付けを行う」という現状を反映した条件を制約として設定した11

経営モデルⅡは,地域の畑作経営の一般的な作物構成を示した表1にもとづいた作付体系を想定した.ただし,現地調査からかぼちゃは労働集約的でこの規模では導入しない傾向にあることから除いた.そのため作物は小麦,てんさい,小豆,大豆,スイートコーン,イアコーン,WPCSと経営モデルⅠと同様である.作付体系の条件も同様に輪作条件,小麦作付面積,スイートコーン作付面積,4作目以上作付の制約を設定した12

経営モデルⅢは高齢農家による省力的な作付体系として小麦と大豆のみの交互作を想定し,これにイアコーンとWPCSを加えるものとした.

各作物における利益係数や作業時間は表6の単体表に示した通りである.イアコーンについては,利益係数を変化させる与件変化線形計画法を適用して,イアコーン導入の条件を明らかにする.与件変化線形計画法を適用する理由は次の通りである.

表6. 畑作経営モデルの単体表(経営モデルⅠの場合)
単位 制約量 関係 小麦 てんさい 小豆 大豆 スイートコーン WPCS イアコーン 4作目以上作付制約用プロセス
小麦 てんさい 小豆 大豆 スイートコーン WPCS イアコーン
利益係数 千円/10 a 16.8 30 30 22 15 16.7
農地制約 10 a 625 1 1 1 1 1 1 1
労働
制約
4月上旬 時間 72 0.04 0.04 0.12 0.09 0.08 0.08
4月中旬 57.6 0.12 0.04 0.03 0.04 0.04
4月下旬 57.6 0.12
5月上旬 57.6 0.28 0.32 0.04
5月中旬 57.6 0.04 0.12 0.16 0.16
5月下旬 86.4 0.08 0.16 0.2 0.04 0.04 0.04
6月上旬 115.2 0.04 0.04 0.16
6月中旬 72 0.04 0.08 0.04
6月下旬 100.8 0.04 0.04 0.3 0.28
7月上旬 72 0.3 0.08 0.08 0.08 0.08
7月中旬 100.8 0.04 0.34 0.08 0.08
7月下旬 129.6 0.08 0.04
8月上旬 100.8 0.04 0.04 0.04
8月中旬 57.6 0.04 0.04
8月下旬 86.4 0.04 0.12
9月上旬 76.8 0.24
9月中旬 57.6 0.04 0.28
9月下旬 72 0.06 0.28
10月上旬 72
10月中旬 57.6 0.2
10月下旬 57.6 0.32 0.08
輪作
制約
てんさい 10 a 625 4
小豆 625 6
大豆 625 4
小麦作付面積制約 100 1
スイートコーン作付面積制約 119 1
4作目
以上
作付
制約
小麦 0 −1 1
てんさい 0 −1 1
小豆 0 −1 1
大豆 0 −1 1
スイートコーン 0 −1 1
WPCS 0 −1 1
イアコーン 0 −1 1
小麦 1 1
てんさい 1 1
小豆 1 1
大豆 1 1
スイートコーン 1 1
WPCS 1 1
イアコーン 1 1
4作目以上選択 4 1 1 1 1 1 1 1

資料:筆者作成.

1)制約量は経営モデルⅠの場合を示している.

2)各作物の作業時間の単位は時間/10 aである.

3)イアコーンの利益係数については与件変化線形計画法の適用のため「―」で示している.

4)4作目以上作付制約用プロセス(小麦,てんさい,小豆,大豆,スイートコーン,WPCS,イアコーン)の変数は0–1整変数である.このため混合整数計画問題となる.

対象地域のような耕畜連携の取組みでは,飼料価格は関係機関を含めた農家間の交渉によって決定する事例が見られ,連携の成立にはこの取引価格が重要な要因の1つとなる13.加えて,このような取組みには飼料自給率向上や農地の保全といった多面的な便益があることから,補助金による支援が行われることが少なくない14.そのため飼料価格はその補助金の水準にも影響を受ける15.対象地域においても前述(2節)のように酪農経営と畑作経営で希望する価格があり,また,自治体による助成事業がある.以上からイアコーン導入の条件を分析するにあたって,飼料価格を与件とせず,利益係数を変化させる分析を行う16

農地制約は(5)式の通りである.A′は作付可能な農地面積の上限値である.経営モデルⅠはB経営と同様の62.5 ha,経営モデルⅡは40 ha,経営モデルⅢは10 haとした17

  

A′ i=1 7 A i (5)

労働制約は(6)式の通りである.添字のjは作業の時期を表し各月を上旬,中旬,下旬の3つに分け,月ごとに旬別に設定した.なお,現地で作業が行われる4月から10月まで計21設定した.L′は投入可能な労働時間の上限値である.L1は各作物の作業時間であり,L1ijは各作物iにおいてjの時期に必要となる作業時間となる.L1ijの具体的な数値は表6の通りである.

  

L′ j i=1 7 L1ij A i (6)

投入可能な労働時間L′について,まず経営モデルⅠの場合,B経営への聞き取り調査にもとづいて労働時間を設定しており,現地の2011年から2013年の3年間のアメダス情報にもとづいた雨天の影響を考慮した各月(上旬・中旬・下旬)の作業可能日数に,労働投入量/日を乗じて求めている18(表6).

経営モデルⅡについては,作業可能日数は経営モデルⅠと同様とし,労働投入量/日はその規模にもとづいて経営モデルⅠの値に40/62.5を乗じて推計した.なお,推計した労働時間L′の妥当性を確認するため,想定する作付体系に必要となる作業時間と比較した.具体的には経営モデルⅡの生産規模である40 haに表1の作物構成割合を乗じて各作物の作付面積を算出し,これに表6の単体表に示した各作物の作業時間を乗じて必要となる作業時間を求めた.その結果,推計した労働時間L′はおおむね妥当な労働時間であることを確認した.なお,5月上旬については推計した労働時間L′が作物生産に必要となる作業時間を若干下回っていたため,必要となる労働時間を設定した.

経営モデルⅢについても同様に,作業可能日数はモデルⅠと同じとし,労働投入量/日は経営モデルⅠの値に10/62.5を乗じて労働時間L′を推計した.これを想定する作付体系に必要となる作業時間と比較したところ,5月上旬と10月中旬については推計した労働時間L′が作物生産に必要となる作業時間を若干下回っていたため,必要となる労働時間を設定した.

(2) イアコーン導入に関する分析結果

分析結果を表7に示す.まず,構築したモデルの現実適合性を確認するため,前述の作物作付プロセスからイアコーン,WPCSを除いた現状の経営条件(以下,現状モデル)において試算を行った結果,いずれの経営モデルも現状の体系とおおむね同じ結果となったことから,本分析モデルが現状を反映していることが確認できた.

表7. 経営モデルの分析結果
イアコーン
利益係数
(円/10 a)
各作物の作付面積(10 a) 総面積
(10 a)
農業所得
(万円)
小麦 てんさい 小豆 大豆 スイート
コーン
イアコーン WPCS
経営
モデル
現状モデル 217 156 104 28 119 625 1,387
イアコーン
導入モデル
16,800 122 156 104 28 119 95 0 625 1,387
18,963 100 151 104 33 119 118 0 625 1,408
24,000 100 139 104 0 119 162 0 625 1,467
30,000 100 119 42 0 119 246 0 625 1,565
経営
モデル
現状モデル 135 100 67 61 37 400 844
イアコーン
導入モデル
16,800 75 100 67 61 37 61 0 400 844
18,963 64 97 67 63 37 72 0 400 857
21,094 64 80 0 78 37 141 0 400 872
24,000 64 69 0 44 37 187 0 400 913
経営
モデル
現状モデル 50 50 100 194
イアコーン
導入モデル
16,800 0 50 50 0 100 194
22,000 0 42 58 0 100 220

資料:筆者作成.

1)値は小数点以下を四捨五入したものである.そのため各作物の作付面積の合計値と総面積に誤差があるケースがある.

2)現状モデルの設定について,経営モデルⅠ・Ⅱは作物が小麦,てんさい,小豆,大豆,スイートコーンであり輪作条件とスイートコーン作付面積の制約を設定した.

イアコーン導入の結果を説明しよう.経営モデルⅠにおいては,イアコーンの利益係数が16,800円/10 aの時,9.5 ha導入される.この時小麦12.2 ha,てんさい15.6 ha,小豆10.4 ha,大豆2.8 ha,スイートコーン11.9 haである.現状と同水準の農業所得を維持し,小麦の面積を減らしてイアコーンを作付けする.次に利益係数が18,963円/10 aの時,小麦10 ha,てんさい15.1 ha,小豆10.4 ha,大豆3.3 ha,スイートコーン11.9 ha,イアコーン11.8 haとなる.なおこの時,小麦作付面積10 ha以上の条件を設定せずに分析を行った場合は小麦0 ha,てんさい12.5 ha,小豆10.4 ha,大豆5.6 ha,スイートコーン11.9 ha,イアコーン22.1 haとなることから,イアコーンは基幹作物の小麦に代わる選択肢になり得ることが示唆される.そして30,000円/10 aの時に最大となり,全体の面積の39%に相当する24.6 haが導入される.

経営モデルⅡにおいてもイアコーンの利益係数が16,800円/10 aの時,小麦に代わって6.1 ha導入される.農業所得は同水準を維持できる.そして,24,000円/10 aの時に最大18.7 ha導入される.これは全体の47%に相当する面積であり,経営モデルⅠの39%より大きい.その理由として,経営規模に対してスイートコーンの作付面積が経営モデルⅠは経営モデルⅡより大きく,イアコーンとの作業時間が競合することが影響している.

経営モデルⅢについてもイアコーンの利益係数が16,800円/10 aの時,小麦に代わって5 ha導入される.そして22,000円/10 aで最大の5.8 haとなる.

久保田(2016)が示すイアコーンの収量目標である原物1,593 kg/10 a(ロール3個)を想定し,酪農経営への販売価格を算出すると,導入条件の16,800円/10 aの場合では原物33.4円/kgとなる19.これに町の助成8,000円/10 aを含めた場合は28.4円/kgとなる.これらは前述の酪農経営が希望する価格条件の範囲内と言える.なお,畑作経営が希望する20,000円/10 a以上の場合,販売価格は原物35.4円/kg以上,助成を含めた場合は原物30.4円/kg以上となる.

(3) イアコーン導入による作付面積拡大効果の計測

以上の結果からイアコーンの利益係数が16,800円/10 a以上の水準で導入されることが明らかとなった.次に労働粗放的なイアコーンの導入,転換によって,どれだけ作付面積の拡大が可能かを明らかにするため,前述の経営モデルを用いて計測を行った.分析方法はイアコーンの利益係数を16,800円/10 aとし,(5)式の農地制約を設定しないことで,作付可能な農地面積と作物の組合せを分析した.なお,作物作付プロセスからWPCSは除いた20

結果は表8の通りである.まず,経営モデルⅠでは小麦32 ha,てんさい13.2 ha,小豆10.4 ha,大豆4.9 ha,スイートコーン11.9 ha,イアコーン19.1 haとなり,総面積は91.6 haである.

表8. イアコーン導入による作付面積拡大の分析結果
各作物の作付面積(10 a) 総面積
(10 a)
農業所得
(万円)
小麦 てんさい 小豆 大豆 スイートコーン イアコーン
経営モデルⅠ 320 132 104 49 119 191 916 1,856
経営モデルⅡ 205 77 67 81 37 152 618 1,190
経営モデルⅢ 51 50 45 146 260

資料:筆者作成.

1)値は小数点以下を四捨五入したものである.そのため各作物の作付面積の合計値と総面積に誤差があるケースがある.

総面積91.6 haは現状規模62.5 haの1.47倍(以下,現状規模からの作付面積拡大率とする)となる.ここでは(6)式における投入可能な労働時間L′をすべて利用している.一方,現状規模62.5 haの試算においては各労働時期jで投入可能な労働時間をすべて利用しない時期もある.前述(4節(2))の現状モデルにおいても同様に農地制約を設定しない分析を行ったところ,投入可能な労働時間をすべて利用した場合の総面積は72.8 haであった21.この面積と比較すれば,イアコーンの導入による作付面積の拡大効果としては1.26倍(以下,イアコーン導入による作付面積拡大率とする)と考えられる.

次に経営モデルⅡにおいては小麦20.5 ha,てんさい7.7 ha,小豆6.7 ha,大豆8.1 ha,スイートコーン3.7 ha,イアコーン15.2 haとなり,総面積は61.8 haである.経営モデルⅠと同様に作付面積拡大率を算出すると現状規模からの作付面積拡大率は1.55倍である.現状モデルで投入可能な労働時間をすべて利用した場合の総面積は46.9 haのため,イアコーン導入による作付面積拡大率は1.32倍である.経営モデルⅠよりも作付面積拡大率が大きいのは,前述のように,経営規模に対してスイートコーンの作付面積が経営モデルⅠより小さいため,イアコーンの作業時間と競合する労働時間が少ない.このため,イアコーン導入によって作付面積が増加し,経営モデルⅠより作付面積拡大率が大きくなる.

そして,経営モデルⅢにおいては小麦5.1 ha,大豆5 ha,イアコーン4.5 haとなり総面積は14.6 haである.現状規模からの作付面積拡大率は1.46倍,イアコーン導入による作付面積拡大率は1.44倍である.経営モデルⅢにおいては,現状モデルで投入可能な労働時間をすべて利用した場合の総面積(10.1 ha)と現状規模(10 ha)に大きな違いはないため,作付面積拡大率にあまり差はない結果となった.

以上から,イアコーン生産の導入によっていずれの経営モデルも作付面積の拡大が可能となることを明らかにした.

5. イアコーン導入による農地管理の可能性

最後に地域全体を対象としてイアコーン生産導入による作付面積の拡大が行われた場合,3節の推計結果(表5)で明らかにした今後の担い手減少によって発生する新たに管理が必要となる農地712 ha(地域全体の28%)をどれだけ維持管理できる可能性があるかを検討した.推計方法については,前節で算出した作付面積拡大率をrとし,2020年の担い手によって作付けされる農地面積A2に乗じたものをイアコーン導入時の農地面積A4とした〔(7)式〕.

  

A4=A2r (7)

9に示したように,経営規模ごとに面積を算出し,経営規模50–100 haは経営モデルⅠの作付面積拡大率,経営規模30–50 haは経営モデルⅡの作付面積拡大率,経営規模10 ha以下は経営モデルⅢの作付面積拡大率とした.なお,経営規模10–30 haの作付面積拡大率は経営モデルⅡを,経営規模100 ha以上の作面積拡大率は経営モデルⅠを適用した.作付面積拡大率については,現状規模からの作付面積拡大率を用いたケースとイアコーン導入による作付面積拡大率を用いたケースを分析した.

表9. イアコーン導入による農地管理の分析結果
経営規模 10 ha以下 10–30 ha 30–50 ha 50–100 ha 100 ha以上
世代 60代以上(75歳未満) 50代 30代 40代 2世代(30代と60代)
2020年の担い手によって
作付けされる農地面積:A2
115 ha 434 ha 422 ha 523 ha 381 ha
1,875 ha
イアコーン導入による
作付面積拡大率を
用いた場合
作付面積拡大率:r 1.44 1.32 1.32 1.26 1.26
イアコーン導入時の
農地面積:A4
166 ha 573 ha 557 ha 659 ha 480 ha
2,435 ha(うちイアコーン作付面積は566 ha)
増加面積:A4−A2 51 ha 139 ha 135 ha 136 ha 99 ha
560 ha
現状規模からの
作付面積拡大率を
用いた場合
作付面積拡大率:r 1.46 1.55 1.55 1.47 1.47
イアコーン導入時の
農地面積:A4
168 ha 673 ha 654 ha 769 ha 560 ha
2,824 ha(うちイアコーン作付面積は655 ha)
増加面積:A4−A2 53 ha 239 ha 232 ha 246 ha 179 ha
949 ha

資料:筆者作成.

1)農地面積は小数点以下を四捨五入したものである.

2)イアコーン作付面積は,表8に示した各モデルの総面積に占めるイアコーン作付面積の割合を各経営規模の面積A4に乗じて求めた.

その結果,イアコーン導入による作付面積拡大率を用いた場合,地域全体では560 haの作付面積拡大によって2,435 haの生産が可能となる(表9).そのうち566 haがイアコーン作付面積である.つまり,将来的な担い手の減少下においてもイアコーンの導入によって地域全体の畑作面積2,587 haの94%は維持できることになる.さらに,現状規模からの作付面積拡大率を用いた場合は,949 haの作付面積拡大によって地域全体の畑作面積を上回る2,824 haの作付けが可能となることから,地域の農地をすべて維持管理できる結果となった.

以上から,担い手減少下においてもイアコーン生産の導入によって地域の農地を維持管理できる可能性があることを明らかにした.

推計ではイアコーン生産が拡大した場合,地域全体のイアコーン作付面積は566 ha以上となる.このように取組みが拡大した場合,その収穫体系を検討する必要がある.収穫作業の対応として考えられるのは,現行と同様にコントラクターへの作業委託である.収穫圃場の順番などの収穫計画の調整,収穫後の運搬,ロール等の作業体系などは現地で対応を検討する必要がある.また,対象地域で566 ha以上も取組みが拡大すれば,地域でイアコーン生産に必要な機械を購入し,収穫作業を含めてすべて地域内で対応することも考えられる.その場合,収穫作業も含めた調整が必要となるが,町外のコントラクターへ支払う収穫委託料を地域内で活用することができる.

6. おわりに

本稿では国産濃厚飼料として注目されているイアコーンを対象に,北海道安平町を事例として,担い手減少下の畑作経営におけるイアコーン生産の導入と農地管理の可能性を検討した.

耕畜連携の取組みによって地域でイアコーン生産を導入することは,酪農経営における国産濃厚飼料の利用推進という点に加えて,畑作経営においては担い手減少下の省力作物としての農地管理,小麦等の基幹作物に替わる新たな所得確保という意義がある.

分析の結果,今後,対象地域では担い手の減少が進み,2000年から2020年の間に約32%減少する.それによって2020年には対象地域である安平町全体の畑作面積の約28%の維持管理が必要となる.この対策として,労働粗放的なイアコーンの導入による作付面積の拡大効果を検討したところ,地域全体でイアコーン生産導入による作付面積の拡大が行われれば,担い手減少下においても地域の農地管理が可能となることを明らかにした.また,イアコーンは基幹作物の小麦に代わる選択肢になり得ることを示唆した.このことから,地域で耕畜連携によるイアコーン生産の取組みを推進することは,酪農経営だけではなく,畑作経営においても経営の維持と将来の担い手減少下における農地管理の有効な方策として期待できることを明らかにした.

そのためには,畑作経営におけるイアコーン導入の条件を整える必要がある.その収益性の確保に向けて,畑作経営においては安定した収量を確保することが求められる.本稿では原物1,593 kg/10 a(ロール3個)を収量目標と想定し導入条件を考察した.一方で,酪農経営への販売にあたってはイアコーンの国産濃厚飼料としての評価を高め,買取価格へ反映されることが求められると同時に,販路の確保が課題となる.今後はこれらの課題解決に向けた研究が必要である.

謝辞

本稿は「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(経営評価研究)畜産部門における革新技術体系に関する経営評価研究」,「科学研究費助成事業(若手研究(B),課題番号24780214)」による研究成果の一部である.

1  粗飼料としてのWPCS(ホールクロップコーンサイレージ)は,とうもろこしの茎葉と雌穂をサイレージにしたものである.イアコーンサイレージは藤田他(2012)によると,茎葉は使わず雌穂の部分(子実,芯,穂皮のみ)を粉砕してサイレージにしたものである.

2  農林水産省(2016),2015年農林業センサスを参照.

3  藤田久保田(2016)によると,収穫作業時の自走式ハーベスタに付設するスナッパーヘッド,サイレージ調製に用いる細断型ロールベーラが必要となる.

4  胆振農業改良普及センター東胆振支所地域第2係(2016)によると,本稿の対象地域でありイアコーン生産の取組みが進められている北海道安平町安平地区では,後継者不足と高齢化により労働力不足による離農が生じており,集落維持に対する危機感が高まっている.

5  イアコーンサイレージの経営的評価を行った樋口他(2010)においても,畑作経営が飼料穀類を作付けする可能性として小麦等の主作物における収益性の低下をあげている.

6  2010年世界農林業センサスを参照.

7  以上の安平町におけるイアコーン生産については久保田(2016)を参照した.

8  本稿における現地聞き取り調査は2015年および2016年に実施した.

9  本稿における農業所得は,償却費差し引き前所得である.

10  なお,スイートコーンの契約面積についてB経営の契約面積20 haは経営面積62.5 haの32%にあたるが,これは対象地域の同規模の経営と比べて比較的大きい.そのため現地調査から他の同規模の経営2戸における契約面積を踏まえて,3戸の平均値である19%(11.9 ha)を経営モデルⅠの契約面積とした.

11  なお,久保田(2016)では同様の経営を分析しているが,本稿のモデルとは大豆とWPCSのプロセス,小麦作付面積と4作目以上作付の制約に関する点が異なる.

12  小麦の面積は経営モデルⅠと同じ割合とし,経営面積の16%以上(6.4 ha)を設定した.スイートコーンの作付面積については,表1のかぼちゃを除いた作物構成割合にもとづいて9.3%(3.7 ha)とした.

13  例えば久保田(2016)では,酪農経営と畑作経営の耕畜連携における有機イアコーン栽培の事例から,耕畜連携を円滑化するための最も重要な課題として,取引条件における適正な取引価格を指摘している.

14  藤本・恒川(2007)は,飼料用稲を基軸とする耕畜連携システムの社会的便益として飼料自給,糞尿循環利用,水田保全をあげ,これらの便益を経済評価している.そして,システムを導入する政策の便益は費用を上回ることを明らかにしている.

15  井上他(2004)は,耕畜連携における飼料用稲生産の事例の中で,栽培側である水田作農家への補助金の水準が低下した場合,水田作農家からの販売価格の引き上げ要請が予想されることから,利用側である酪農家にとっての適正な価格水準と双方の費用負担のあり方が課題となることを指摘している.

16  関連して例えば藤本(2008)では,耕畜連携システムでは耕種側あるいは畜産側の行動によってシステム内で取引される飼料や堆肥の価格,作業受託料金が変化するとして,これらの価格変化を内生化した計量分析モデルを構築している.

17  10 aを単位として分析していることからモデルⅠは625,モデルⅡは400,モデルⅢは100となり,混合整数計画問題となる.

18  労働投入量/日とは,労働時間/日×労働人数である.

19  イアコーン販売価格の算出に用いた生産費は36,394円/10 aであり,イアコーン資材費(肥料費,農薬費,種苗費など),借地料,収穫委託関連経費(収穫作業費,作業機械の輸送費,ロール資材費)から構成される.なお,3つの経営モデルのイアコーン合計面積20.6 haを前提とした.

20  前述の分析(4節(2))ではWPCSとの比較を考慮してイアコーン導入の条件を明らかにするために,WPCSを選択可能なプロセスとしていたが,本分析ではイアコーンの導入を前提に作付面積拡大の効果を計測するためWPCSは選択しないものとした.なお,前述(2節)のように現地においても2010年から2012年まではWPCSを生産していたが,イアコーンを導入した2013年はWPCSの生産は行われていないことから,現地の実態とも整合している.

21  作付体系は小麦32 ha,てんさい15.63 ha,小豆10.42 ha,大豆2.84 ha,スイートコーン11.9 haである.

引用文献
 
© 2017 地域農林経済学会
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