農林業問題研究
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研究論文
農産物ブランドに対する購買行動の規定要因
―『地域ブランド戦略サーベイ2013(名産品編)』の分析―
八木 浩平菊島 良介
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2017 年 53 巻 3 号 p. 119-130

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1. はじめに

近年,農産物輸入の拡大や,人口減に伴う農村地域の活性化の必要性,地域団体商標や地理的表示保護制度といった制度の施行により,農産物の高付加価値化を目指したブランド化へ向けた取組が進展している.こうした農産物のブランド化へ有効な取組に関する理論的・定性的な検討は,多くの文献で行われてきた.そこでは例えば,差別化ポイントの明確化(後久,2007中島,2009湯田,2015),品質管理(中島,2009斎藤,2010),良好なイメージの形成(後久,2007中島,2009)などの重要性が指摘されてきた.こうした研究は,実際に農産物のブランド化を進める上で有用な指針を提示している.しかしその実証は十分に進展しておらず,実務上も,多くの地域における課題となっている(森高他,2014).

農産物のブランド化の成功要因を検証した数少ない計量的な研究としては,以下の研究が挙げられる.まず朴他(2008)は,自然的・文化的・人的要因から構成される「地域イメージ」等が「知覚品質」や「ブランド態度」へ影響を及ぼし,「知覚品質」や「ブランド態度」が購入利用意向へ影響を及ぼすとする仮説を構造方程式モデリングで検証した.そこでは,「地域イメージ」や「知覚品質」が購入利用意向へ有意に正の影響を及ぼす一方で,「ブランド態度」による影響は検出されなかった.また杉田・木南(2012)は,Keller(2001)の提示した顧客ベースのブランド・エクイティピラミッドモデルをもとに,「ブランド認知」を高めることで,消費者の意識の中にブランドの品質やイメージを生み出し,品質やイメージに対する反応を引き出すことや,そこからブランドに対するロイヤルティを構築させることができるとする仮説を検証した.その上で,認知・経験が「知覚品質」や「ブランドイメージ」へ有意に正の影響を及ぼす点や,「知覚品質」がブランド・ロイヤルティへ有意に正の影響を及ぼす点,「ブランドイメージ」から「ブランド・ロイヤルティ」への影響は検出されなかった点を示した.最後に森高他(2014)は,ブランド産品への注意(Attention)が喚起された後,関心(Interest),欲求(Desire)を経て購買(Action)へ至ると仮定するAIDAモデルについて,構造方程式モデリングでその因果関係を検証し,福岡県糸島産の対象品目において,「欲求」から「購買」へのパスが小さく,「注意」や「満足」から「購買」へのパスが有意である低関与型の短絡的な経路が確認されたことを示した.

これらの研究は,「ブランド認知」や「ブランド連想」といった要因が購買行動へ及ぼす影響を検証し,対象産品の購買意思決定過程を明らかにしてきた.ただし実務的な観点からすると,どういった手段が「ブランド認知」や「ブランド連想」を構築し,購買行動へ繋がるのか確認することが,具体的なブランド化戦略の構築に寄与し得る.そこで本研究では,ブランド化へ向けた手段を包含した視点から,農産物ブランドに対する購買行動の規定要因を検証した.その上で,農産物のブランド化へ向けた取組への含意と,農産物ブランドの購買意思決定過程に関する理論的示唆を提示することを目的とする.

2. モデル

本研究は農産物ブランドに対する購買行動の規定要因の検証に当たって,ブランド化の手段を包含しているKeller(2001)の提示した図1のモデルをもとに分析した.このモデルは,「(1)手段と目的」が「(2)知識効果」へ影響を及ぼし,「(2)知識効果」が「(3)ベネフィット」へ影響を及ぼすとするモデルである.以下では,図1のモデルの内容を説明する.

図1.

顧客ベースのブランド・エクイティの構築

資料:Keller (2001).

まず,タイトルにあるブランド・エクイティとは,「ブランド・ネームがない場合に比べて,より多くの販売量やマージンを実現し,競合他社に対して強力で持続的で差別的な優位性をブランドにもたらすような顧客,チャネル・メンバー,そして親会社における連想や行動の集合(Farquhar, 1989)」と定義される.Keller(2001)はこのブランド・エクイティの構築にあたって,消費者がブランドを十分に認知したうえで,強く,好ましく,そしてユニークなブランド連想を育むこと(「(2)知識効果」)が求められるとし,そうした知識構築のプロセスは,「(1)手段と目的」にある三つの要因によって決まると述べる.以下では順番に,図1にある概念を説明する.

まず「(1)手段と目的」を構成する三つの要因が,「①ブランド要素の選択」,「②マーケティング・プログラムの開発」,「③二次的な連想の活用」である.「①ブランド要素」についてKeller(2001)は,「製品を識別し,製品に違いをもたらすための視覚的情報ないし言語的情報のことである」と定義し,最も一般的なブランド要素として,ネーム,ロゴ,シンボル,キャラクター,パッケージ,スローガンを挙げる.また,「製品やサービスに関して,ネームないしロゴくらいしか思い出せない消費者も少なくないため,ブランド要素がブランド構築に果たす役割は大きいと言えるだろう」と説明する.

次に「②マーケティング・プログラム」は,製品戦略,価格戦略,流通戦略,コミュニケーション戦略から構成されるマーケティングのためのプログラムであり,「強く,好ましく,そしてユニークなブランド連想は,マーケティング・プログラムによる多様な方法から生み出される」と述べる.

最後に「③二次的な連想」についてKeller(2001)は,「独自の連想を有する他のモノとブランド連想が結びつき,二次的なブランド連想が生み出される」と述べる.分かりやすい例で言えば,「牛乳」へ二次的な連想をもたらす「北海道」を足すことで,「北海道牛乳」というより魅力的なブランドができあがる1

次に,「(2)知識効果」について説明する.この「(2)知識効果」は,「④ブランド認知」と「⑤ブランド連想」から構成される.そのうち「④ブランド認知」についてKeller(2001)は,「以前に見聞きしたことのあるブランドを消費者が正しく識別できる状態(ブランド再認)」と,「製品カテゴリー,カテゴリーによって満たされるニーズ,もしくは購買状況や使用状況が手掛かりとして与えられたときに,消費者が当該ブランドを自らの記憶から呼び覚ます能力(ブランド再生)」から構成されると述べる.簡潔に述べると,当該ブランドの思い出しやすさと言えよう.

また「⑤ブランド連想」とは,「ブランド・ノードと結びついた別のノード(Keller, 2001)」と定義される.ここでノードとは,頭の中に蓄えられた情報や概念を指す.例えばKeller(2001)はマクドナルドについて,「確かな品質」,「優れたサービス」,「清潔さの徹底」,「高い価値」,「ロナルド・マクドナルド」,「子供向け」,「手頃」,「粗悪な食べ物」といった「⑤ブランド連想」があり得ることを述べる.その上でこの「⑤ブランド連想」は,強く(思い出しやすく),好ましく(購買行動につながり),ユニーク(差別化ポイントがある)なものが良いとする.

最後に「(3)ベネフィット」とは,「(1)手段と目的」によって構成された「(2)知識効果」から導かれる結果と言え,Keller(2001)は強いロイヤルティや大きなマージンといった例を挙げる.

3. データ,分析方法

(1) 使用したデータ

本研究ではデータとして,日経リサーチ(2013)を活用した.これは,全国の16–69歳の一般男女に対するWeb調査をまとめたものである.全体の対象ブランドは360ブランドであり,1ブランドあたり350–370名に対して調査を実施している.なお日経リサーチ(2013)に掲載されているのは,例えば「ブランドの品質に魅力を感じた人の割合」といった確率データであり,単位は全て%である.そのため本研究では,1ブランドを1サンプルとした品目横断的な分析を行い,農産物ブランドの平均的な傾向を検証した.ただしその際,これまで積極的にブランド化へ取り組んできた認知度の高い産品は,流通到達度や品質評価,テレビ等で接する機会が多く,「⑤ブランド連想」も構築されやすいと考えられることから多重共線性が起こり得る.そのため本研究では,日経リサーチ(2013)に掲載される2010年11月の調査結果と,2012年11月下旬から12月に行われた調査結果の階差を変数として用いた2.サンプルは,2012年と2010年の両年に調査が行われた生鮮品ブランド169品目である.表1に,対象品目のジャンル別の品目数とブランド例を示す.

表1. 分析対象品目の概要
ジャンル 品目数 品目例
農産(果物を除く) 46 十勝小豆,魚沼米,嬬恋高原キャベツなど
果物 39 夕張メロン,岡山白桃,愛媛みかんなど
水産 46 下関ふく,松島牡蠣,明石鯛など
畜産 38 松坂牛,かごしま黒豚,名古屋コーチンなど
169

1)分析対象品目は,上記のジャンルから「加工品」と飛騨アイスクリーム,飛騨ヨーグルトを除いている.

(2) 分析に用いた変数

分析に用いた変数を,表2に示す.以下では,図1で示したモデル図に基づいて各変数を説明する.

表2. 分析モデルと変数の関係
モデルとの関係 変数名 平均値
[標準偏差]
(1)
手段と
目的
①ブランド要素 ブランド名・ロゴマークa) –0.22[2.84]
商品の見た目a) –0.12[0.98]
②マーケティング・プログラム
(製品)
商品の品質a) 0.62[3.18]
商品の効能・成分a) –0.44[1.14]
商品の歴史・伝統a) –0.43[2.20]
②マーケティング・プログラム
(価格)
商品の価格a) –0.20[1.15]
②マーケティング・プログラム
(流通チャネル)
小売店等で商品を見てb) 0.60[3.46]
物産展やフェアでb) –0.04[2.07]
アンテナショップでb) 0.35[1.06]
②マーケティング・プログラム
(コミュニケーション)
自治体の長や職員の発言を聞いてb) 0.07[0.87]
自治体ホームページb) 0.19[0.74]
テレビ番組b) –0.30[5.20]
新聞記事b) –0.36[1.95]
③二次的連想 その地域のイメージ・印象a) 1.47[2.86]
コンテスト等の受賞実績a) 0.15[0.72]
(2)
知識
効果
④ブランド認知 ブランド認知3) –0.32[6.44]
⑤ブランド連想 自分の趣味や好みに合うc) –0.01[2.01]
日常生活にはない刺激が得られるc) 0.93[1.36]
(3)ベネフィット 価格プレミアム4) 1.07[4.35]
愛着度5) –1.58[4.83]
農産物ブランド独自 実際に行ってb) –0.28[1.04]
実際に住んでb) 0.11[0.54]
ジャンル別ダミー 果物ダミー 0.23[0.42]
水産ダミー 0.27[0.45]
畜産ダミー 0.23[0.42]

1)本文に記述の通り,本研究では多重共線性を回避するため,ジャンル別ダミーを除く全ての変数で2010年と2012年の調査結果の階差を変数として用いている.

2)a)は各内容に魅力を感じると回答した比率,b)は過去2年間に接したり,見聞きしたりしている接点(チャネル)として回答した比率,c)はそれぞれの商品・ブランドを購入することから得られる経験として回答した比率である.

3)「④ブランド認知」は,それぞれの商品・ブランドに対する関わり方として,「どんなものか見聞きしたことがある」,「過去に購入したことがある」,「たまに購入している」,「よく購入している」のいずれかに回答した比率である.

4)「価格プレミアム」は,他との価格差について,「かなり高くても購入したい」,「やや高くても購入したい」のいずれかに回答した比率である.

5)「愛着度」は,愛着を「たいへん」「まあ」感じるのいずれかに回答した比率である.

まず「(1)手段と目的」のうち「①ブランド要素」として,「ブランド名・ロゴマーク」および「商品の見た目」に魅力を感じた人の割合を用いた.農産物ブランドであるため,図1にあるシンボルやキャラクター,スローガン等はない場合が多く,どの農産物ブランドでも認められる「ブランドネーム・ロゴマーク」と「商品の見た目」を変数として採用した.

「②マーケティング・プログラム」に関する変数は,以下の通りである.まず製品戦略として「商品の品質」,「商品の効能・成分」および「商品の歴史・伝統」それぞれについて魅力を感じた人の割合を用いた.このうち「商品の品質」と「商品の効能・成分」は,機能的ベネフィットを代表するものとして用いた.また農産物ブランドはその伝統性をアピールする場合が多く,象徴的ベネフィットとして「商品の歴史・伝統」を用いた.価格戦略としては,各商品で標準的な価格帯が異なることから,品目横断的に検証できる「商品の価格」に魅力を感じた人の割合を用いた.流通戦略では,小売店等で商品を見た人の割合を用いることで,流通到達度による影響を検証した.また農産物ブランドの販売促進のためのチャネル戦略として,「物産展やフェアで」および「アンテナショップで」商品に接した人の割合を用いた.最後にコミュニケーション戦略では,自治体からの情報発信として,「自治体の長や職員の発言を聞いて」および「自治体ホームページ」で商品に接した人の割合を用いた.またマスメディアによる影響として,「テレビ番組」と「新聞記事」を採用した.

「③二次的な連想」に関する変数は,以下の通りである.生産面で地理的な制約を有する農産物ブランドについて,「その地域のイメージ・印象」に魅力を感じた人の割合を用い,カントリー・オブ・オリジンの効果を検証した.またKeller(2001)が第三者的な人や組織(賞や評論を通じて)を「二次的な連想」の例として挙げることから,「コンテスト等の受賞実績」に魅力を感じた人の割合も用いた.

「(2)知識効果」のうち「④ブランド認知」については,思い出しやすさの変数として,ブランド名を提示した際に「どんなものか見聞きしたことがある」,「過去に購入したことがある」,「たまに購入している」,「よく購入している」のいずれかに回答した比率を用いた.「⑤ブランド連想」については,連想の内容自体は何でもよいが,Keller(2001)の述べる,ユニーク(差別化ポイントがあり)で,好ましい(購買行動につながる)といった条件を間接的に検証する変数として,各商品・ブランドを購入することから得られる経験で「日常生活にはない刺激が得られる」と「自分の趣味や好みに合う」を選んだ人の比率を用いた.

「(3)ベネフィット」の変数としては,観察の容易な「価格プレミアム」と「愛着度」を選択した.図1に示したベネフィットの例のうち,「大きなマージン」は直接的な観測が困難であるが,「価格プレミアム」からある程度検証できると考えた.また「強いロイヤルティ」や「競争的マーケティング活動やマーケティング危機への強い抵抗力」,「価格下落に対する弾力的な反応」といった内容は,主観的なロイヤルティとしての「愛着度」を感じた人の比率が代理変数となると考えた.

また図1で示したモデル以外に,農産物ブランド独自の変数として「実際に住んで」や「実際に行って」商品へ接した人の比率を追加した.これは地理的制約を有する農産物ブランドは他のブランドと違って,各地域へ住んだり,訪れたことによる効果があり得ると考えたためである.また各品目のジャンルによっても被説明変数の増減に差が出る可能性があると考えて,ジャンルごとのダミー変数を加えた.

(3) 分析方法

1のモデルは,「(1)手段と目的」が「(2)知識効果」へ影響を及ぼし,また,「(2)知識効果」が「(3)ベネフィット」へ影響を及ぼすとする2段階のプロセスを踏んでいる.ここで,農産物ブランドiの「(3)ベネフィット」と「(2)知識効果」それぞれを説明するモデルを,以下のように定式化した.

  

yji=α+k=13βkxki+l=1mβlvli+εi [1]

  

xki=γ+l=1mπlvli+n=1pπnzni+μi [2]

[1]式のうちεiは誤差項,αは定数項,βはパラメータであり,[2]式のうちμiは誤差項,γは定数項,πnはパラメータを表している.また,yjiは「(3)ベネフィット」の2変数,xkiは「(2)知識効果」の3変数,vliは後述するように[1]・[2]式の両方で説明変数とした「(1)手段と目的」の一部の変数,農産物ブランド独自の変数およびジャンル別ダミーであり,znixkiの操作変数であり,[2]式のみで説明変数とした「(1)手段と目的」の一部の変数である.

ここで[1]式のモデルでは,「(2)知識効果」が「(3)ベネフィット」へ影響を及ぼすことを想定しているが,逆の因果関係も十分想定できる.例えば,「(2)知識効果」のうち「④ブランド認知」や差別化されたイメージが「価格プレミアム」へ影響を及ぼすと同時に,「価格プレミアム」が高いため「④ブランド認知」や差別化されたイメージが高まるという現象が起こる可能性がある.他にも,良好なイメージが「愛着度」へ繋がると同時に,「愛着度」が増すと,良好なイメージの喚起に繋がり得る.即ち,[1]式の説明変数のうち「④ブランド認知」と「⑤ブランド連想」の変数に,同時決定性による内生バイアスが発生している可能性がある.こうした同時決定性が存在し,説明変数と誤差項の間に相関関係がある内生性が生じると,通常の最小二乗法で得られた推定値は一致性を持たなくなる.こうした内生性の問題を解決する手段として,連立方程式体系を同時推計する操作変数法で,一致性のある推定量を推計することが求められる.具体的には,[2]式を推計することで得られる内生変数群「(2)知識効果(xki)」の推計値を[1]式の推計で用いることで,内生性バイアスを除去する.

ここで,Keller(2001)のモデルに沿った分析を行う本研究では,「(1)手段と目的」の変数を「(2)知識効果」の3変数xkiへの操作変数として用いることを考える.図1は,「(1)手段と目的」の変数が「(2)知識効果」へ影響する一方,「(3)ベネフィット」へは「(2)知識効果」の形成を経て間接的に影響することを示す.ここではそのモデルに則って,内生変数である「(2)知識効果(xk)」へ影響を及ぼすが,「(3)ベネフィット(yj)」へは直接的な影響を及ぼさない操作変数として「(1)手段と目的」の変数を用いる.

ただし,「(1)手段と目的」の変数の一部を,「(3)ベネフィット」に対する説明変数としたい.これは,「(2)知識効果」のうちの「⑤ブランド連想」が,本研究で検証する2変数以外にも無数に存在することから,「(3)ベネフィット」を被説明変数としたモデルに対して欠落変数バイアスが生じる可能性を考慮したためである.ここでは[1]式で示したように,「(2)知識効果」を形成する「(1)手段と目的」の一部の変数を,多様な「⑤ブランド連想」の代理指標としてモデルに組み込んだ.なお,こうした代理指標の活用は,ブランド化の成功要因について具体的な取組の効果を検証する,本研究の目的にも合致する.具体的な操作変数の組み合わせは,決定係数が最も大きかったものを選択した.また,操作変数の組み合わせによって推定結果が変化することがある.結論部分の頑健性を確認するため,操作変数の組み合わせを変えた推定も行った.

なお,基本的に二段階最小二乗法(以下,2SLS)での推計を検討するが,2SLSにおいても,不均一分散が存在すると推定量の分散は最小化されない.不均一分散の検定を行ったところ,「価格プレミアム」では5%有意水準で,「愛着度」では10%有意水準で分散が均一であるとする帰無仮説が棄却されたため3,本研究では,分散不均一を仮定した一般化積率法(以下,GMM)による分析も行った4.特に5%有意水準で分散の均一性が棄却された「価格プレミアム」では,GMMでのみ推計を行った.また,「愛着度」を被説明変数とした際,5%有意水準で内生性の存在が必ずしも支持されなかった5.そこで「愛着度」を被説明変数とする際,不均一分散の存在のみを考慮した,標準偏差の推定にWhiteの頑健推定量を用いた最小二乗法(以下,R-OLS)でも推定を行った.

4. 推定結果

まず,第一段階の推定結果を表3に示す.第一段階は,どの推定方法でも最小二乗法で推定したことに変わりないため,GMMでの推定結果のみを示す.「④ブランド認知」に対しては,「小売店等で商品を見て」と「テレビ番組」が有意に正の影響を及ぼしていた.小売店等で一般に流通されている商品は,当然「ブランド認知」が高い状況にある.また「テレビ番組」が認知度の向上に有用であることが示された.一方で,「ブランド名・ロゴマーク」と「商品の歴史・伝統」の係数は有意に負の影響を及ぼしていた.ブランド名・ロゴマークが魅力的と評価された産品や歴史ある産品は既に認知が進んでおり,新興産地等と比べてブランド認知の上昇度が低かった可能性がある.

表3. 推計結果(第一段階)
分類 パラメータ (2)知識効果
ブランド認知④ ブランド連想⑤
自分の趣味や
好みに合う
日常生活にはない
刺激が得られる
係数 t値 係数 t値 係数 t値
定数項 –1.26 –1.08 –0.42 –1.40 1.02** 3.88
(1)手段と目的
ブランド名・ロゴマーク –0.34+ –1.77 0.15** 3.00 –0.00 –0.00
商品の見た目 –0.41 –0.81 0.11 0.87 0.03 0.28
商品の品質 0.13 0.67 0.18** 3.63 0.02 0.53
商品の効能・成分 0.35 0.84 0.04 0.33 0.20* 2.13
商品の歴史・伝統 –0.51* –1.99 0.22** 3.38 0.07 1.21
商品の価格 –0.03 –0.06 –0.32** –2.63 0.09 0.87
小売店等で商品を見て 0.73** 4.31 –0.08+ –1.90 –0.06 –1.45
物産展やフェアで 0.43 1.61 0.05 0.65 –0.08 –1.29
アンテナショップで –0.58 –1.07 0.28* 2.02 –0.04 –0.36
自治体の長や職員の発言を聞いて 0.58 0.88 0.04 0.25 –0.13 –0.89
自治体ホームページ –0.78 –1.23 0.23 1.43 –0.05 –0.33
テレビ番組 0.38** 3.72 –0.11** –4.38 0.07** 2.98
新聞記事 –0.49 –1.62 0.02 0.23 –0.07 –0.97
その地域のイメージ・印象 0.25 1.23 0.23** 4.41 0.03 0.54
コンテスト等の受賞実績 –0.47 –0.69 –0.08 –0.47 0.41** 2.67
その他
実際に行って –0.08 –0.16 –0.19 –1.56 0.23* 2.15
実際に住んで 1.25 1.37 0.46+ 1.96 –0.32 –1.56
果物ダミー –2.89+ –1.86 –0.21 –0.52 0.07 0.20
水産ダミー 1.42 0.97 0.50 1.32 0.22 0.65
畜産ダミー 1.48 0.98 –1.09** –2.82 0.08 0.25
サンプルサイズ 169 169 169
Uncentered R2 0.35 0.56 0.49

1)**,*,+はそれぞれ,1%,5%,10%水準で有意であることを示す.なお分類の数字は,図1や表2の数字と対応している.これらは,表4–6でも同様である.

「⑤ブランド連想」のうち「自分の趣味や好みに合う」については,「ブランド名・ロゴマーク」,「商品の品質」,「商品の歴史・伝統」,「アンテナショップで」,「その地域のイメージ・印象」,「実際に住んで」が正の影響を及ぼしていた.高い品質や歴史・伝統性,魅力的なブランド名・ロゴマーク,アンテナショップでの取扱いといった内容が好ましい印象につながることが確認された.またその地域のイメージが好ましい印象につながるカントリー・オブ・オリジンの効果が検出された他,「実際に住んで」いる人も好ましいブランド連想を持つことが示された.一方で,「商品の価格」や「小売店等で商品を見て」,「テレビ番組」の係数は有意に負の影響を及ぼしていた.価格が魅力的であったり,小売店等やテレビ番組でよく知られることでコモディティ化が進み,好ましい印象につながりにくかった可能性がある.

「日常生活にはない刺激が得られる」では,「商品の効能・成分」,「テレビ番組」,「コンテスト等の受賞実績」,「実際に行って」が正の影響を及ぼしていた.効能・成分のアピールやテレビ番組での紹介,コンテスト等での受賞が,非日常的な「⑤ブランド連想」につながり得る.また実際に訪れて当該産品を見聞きした人は,非日常的な印象を受ける傾向にあることが示された.

続いて,第二段階の推定結果として,「価格プレミアム」を被説明変数とした際のGMMの推定結果を表4に示す.表4のうち,一番左側の「GMM」が基本となるモデルであり,(ⅰ),(ⅱ)は基本モデルから操作変数を削除して組み合わせを変えたものである.なお,(ⅰ),(ⅱ)の操作変数の組み合わせは,減らした変数の数それぞれで最も決定係数が大きかったものを選んだ.

表4. GMMの推計結果(第二段階:価格プレミアム)
分類 パラメータ (3)ベネフィット:価格プレミアム
GMM GMM:(ⅰ) GMM:(ⅱ)
係数 t値 係数 t値 係数 t値
定数項 –3.35** –4.55 –3.40** –4.32 –3.41** –4.22
(2)知識効果
ブランド認知 0.06 0.40 0.08 0.34 0.04 0.16
自分の趣味や好みに合う 0.42+ 1.68 0.54 1.39 0.74+ 1.78
日常生活にはない刺激が得られる 1.05+ 1.91 1.14+ 1.95 1.05+ 1.75
(1)手段と目的
商品の品質 0.34** 2.62 0.30+ 1.84 0.26 1.54
商品の価格 –0.37 –1.35 –0.36 –1.21 –0.31 –1.03
小売店等で商品を見て 0.36** 2.75 0.35* 2.01 0.38* 2.07
自治体の長や職員の発言を聞いて 1.41** 3.64 1.40** 3.32 1.42** 3.27
自治体ホームページ 0.55 1.47 0.52 1.38 0.43 1.10
テレビ番組 –0.12 –1.40 –0.13 –1.32 –0.09 –0.88
新聞記事 –0.27 –1.33 –0.26 –1.17 –0.32 –1.37
その他
果物ダミー 2.66** 3.11 2.80** 2.72 2.90** 2.74
水産ダミー 3.05** 3.49 2.98** 3.03 3.06** 3.03
畜産ダミー 5.24** 5.97 5.26** 5.69 5.53** 5.74
サンプルサイズ 169 169 169
Uncentered R2 0.47 0.45 0.42
Sargan検定 9.09 7.25 4.28
Ssargan検定のp値 0.25 0.12 0.23

1)「(2)知識効果(分類④・⑤)」に該当する変数(内生変数xki)の操作変数zniとして,ただの「GMM」では「ブランド名・ロゴマーク」,「商品の見た目」,「商品の効能・成分」,「商品の歴史・伝統」,「物産展やフェアで」,「アンテナショップで」,「その地域のイメージ・印象」,「コンテスト等の受賞実績」,「実際に行って」,「実際に住んで」を用いた.また,操作変数の組み合わせを変えた(ⅰ)では,上述した操作変数から「商品の見た目」と「物産展やフェアで」,「その地域のイメージ・印象」を削除し,(ⅱ)では更に「ブランド名・ロゴマーク」を削除して推計した.

まず「価格プレミアム」の推定結果について,説明する.表4では「価格プレミアム」に対して,「自分の趣味や好みに合う」,「日常生活にはない刺激が得られる」,「商品の品質」,「小売店等で商品を見て」,「自治体の長や職員の発言を聞いて」,「果物ダミー」,「水産ダミー」,「畜産ダミー」が有意に正の影響を及ぼしていた.また操作変数の組み合わせを変えた(ⅰ)の結果で「自分の趣味や好みに合う」が有意でなくなり,(ⅱ)の結果で「商品の品質」が有意でなくなっている.それ以外の結果については大差なく,頑健であることが示された.

4の結果のうち,ここでは,決定係数の最も大きかった「GMM」の結果について説明する.まず,「日常生活にはない刺激が得られる」や「自分の趣味や好みに合う」といったブランド連想が,「価格プレミアム」へ繋がり得ることが示された.また,高い品質と知覚されることで「価格プレミアム」が上昇する点や,自治体の長や職員の発言がブランド産品のアピールへ有効である点が示された.更に,「小売店等で商品を見て」がプラスに有意であり,流通到達度の高い商品ほど価格プレミアムが高くなることが示唆された.

また,「愛着度」を被説明変数とした際のR-OLS,2SLS,GMMの推計結果を表5に,操作変数の組み合わせを変えた2SLSとGMMの推計結果を表6に示す.なお,表6では2SLSとGMMとも,(ⅰ),(ⅱ)の操作変数の組み合わせは,減らした変数の数それぞれで最も決定係数が大きかったものを選んだ.

表5. 推計結果(第二段階:愛着度)
分類 パラメータ (3)ベネフィット:愛着度
R-OLS 2SLS GMM
係数 t値 係数 t値 係数 t値
定数項 –2.94** –4.77 –3.19** –3.22 –3.19** –3.38
(2)知識効果
ブランド認知 0.20** 4.34 0.30+ 1.81 0.30+ 1.90
自分の趣味や好みに合う 0.68** 4.37 1.26** 3.87 1.26** 4.06
日常生活にはない刺激が得られる –0.24 –1.10 0.22 0.28 0.22 0.30
(1)手段と目的
商品の品質 0.17 1.52 –0.00 –0.01 –0.00 –0.01
商品の価格 0.36 1.25 0.44 1.26 0.44 1.33
小売店等で商品を見て 0.49** 4.69 0.44** 2.94 0.44** 3.09
自治体の長や職員の発言を聞いて 0.96** 2.73 0.86+ 1.90 0.86* 1.99
自治体ホームページ 0.68* 2.07 0.61 1.42 0.61 1.50
テレビ番組 0.09 1.24 0.08 0.76 0.08 0.80
新聞記事 –0.18 –1.04 –0.14 –0.60 –0.14 –0.63
その他
実際に行って 0.12 0.39 0.05 0.14 0.05 0.14
実際に住んで 0.61 0.97 0.14 0.20 0.14 0.21
果物ダミー 2.54** 3.32 3.11** 3.24 3.11** 3.40
水産ダミー 1.57+ 1.90 1.26 1.28 1.26 1.34
畜産ダミー 0.22 0.24 0.30 0.31 0.30 0.32
サンプルサイズ 169 169 169
Uncentered R2 0.54
Sargan検定 3.56 3.56
Ssargan検定のp値 0.61 0.61
R2 0.55 0.49

1)「(2)知識効果(分類④・⑤)」に該当する変数(内生変数xki)の操作変数zniとして,「ブランド名・ロゴマーク」,「商品の見た目」,「商品の効能・成分」,「商品の歴史・伝統」,「物産展やフェアで」,「アンテナショップで」,「その地域のイメージ・印象」,「コンテスト等の受賞実績」を用いた.

表6. 操作変数の組み合わせを変えた2SLSとGMMの推計結果(第二段階:愛着度)
分類 パラメータ (3)ベネフィット:愛着度
2SLS:(ⅰ) 2SLS:(ⅱ) GMM:(ⅰ) GMM:(ⅱ)
係数 t値 係数 t値 係数 t値 係数 t値
定数項 –3.13** –2.96 –3.11** –2.90 –3.13** –3.11 –3.11** –3.04
(2)知識効果
ブランド認知 0.37+ 1.66 0.38 1.62 0.37+ 1.75 0.38+ 1.70
自分の趣味や好みに合う 1.44** 3.09 1.43** 2.94 1.44** 3.25 1.43** 3.09
日常生活にはない刺激が得られる 0.30 0.36 0.30 0.35 0.30 0.37 0.30 0.36
(1)手段と目的
商品の品質 –0.06 –0.32 –0.06 –0.31 –0.06 –0.34 –0.06 –0.32
商品の価格 0.49 1.30 0.49 1.30 0.49 1.36 0.49 1.36
小売店等で商品を見て 0.39* 2.15 0.39* 2.07 0.39* 2.26 0.39* 2.17
自治体の長や職員の発言を聞いて 0.77 1.56 0.77 1.54 0.77 1.63 0.77 1.62
自治体ホームページ 0.61 1.33 0.61 1.33 0.61 1.40 0.61 1.39
テレビ番組 0.07 0.58 0.07 0.56 0.07 0.61 0.07 0.59
新聞記事 –0.10 –0.37 –0.09 –0.36 –0.10 –0.39 –0.09 –0.37
その他
実際に行って 0.05 0.14 0.06 0.14 0.05 0.14 0.06 0.15
実際に住んで –0.03 –0.03 –0.02 –0.03 –0.03 –0.04 –0.02 –0.03
果物ダミー 3.37** 3.03 3.38** 3.03 3.37** 3.18 3.38** 3.18
水産ダミー 1.08 0.98 1.07 0.97 1.08 1.03 1.07 1.01
畜産ダミー 0.22 0.21 0.21 0.19 0.22 0.22 0.21 0.20
サンプルサイズ 169 169 169 169
Uncenterd R2 0.49 0.49
Sargan検定 2.82 2.82 2.82 2.82
Ssargan検定のp値 0.42 0.24 0.42 0.24
R2 0.43 0.43

1)2SLSとGMM双方とも,(ⅰ)では,表5で示した操作変数から「アンテナショップで」と「その地域のイメージ・印象」を削除し,(ⅱ)では更に「商品の歴史・伝統」を削除して推計した.

5の2SLSとGMMでは,「愛着度」に対して,「④ブランド認知」,「自分の趣味や好みに合う」,「小売店等で商品を見て」,「自治体の長や職員の発言を聞いて」,「果物ダミー」が有意に正の影響を及ぼしていた.R-OLSではこれらに加えて,「自治体ホームページ」と「水産ダミー」がプラスに有意であった.また操作変数の組み合わせを変えた表6では,2SLSとGMMの(ⅰ)・(ⅱ)とも「自治体の長や職員の発言を聞いて」が有意でなくなり,また2SLSの(ⅱ)でブランド認知が有意でなくなっていた.このうち2SLSの(ⅱ)でブランド認知が有意でないが,GMMの(ⅱ)で有意であったのは,不均一分散が影響した可能性がある.それ以外の表6の結果については,表5のGMMの結果と大差なく,頑健であることが示された.

ここでは,表5,6で共通の結果が得られたもののみを検討する.ただし,2SLSの(ⅱ)で不均一分散が影響した可能性のある「ブランド認知」についても検討する.まず,「ブランド認知」や好ましい「ブランド連想」を得ることが,愛着度へつながることが示された.また「価格プレミアム」と同じく,小売店等で販売されている商品がブランド・エクイティを獲得している可能性が示された.

なお,表4から表6までの過剰識別制約のSargan検定はいずれも統計的に有意でなく,操作変数と[1]式の誤差項εiが相関していないことが棄却できないことを示す.即ち,本研究で用いた操作変数が適切と判断できることを示している.

5. 考察

本研究では日経リサーチ(2013)のデータをもとに,Keller(2001)の提示した図1のモデルに従って農産物ブランドに対する購買行動の規定要因を検証した.以下では本研究の締めとして,農産物のブランド化へ向けた取組への含意と,農産物ブランドの購買意思決定過程に関する理論的示唆を提示する.

まず農産物のブランド化へ向けた取組への含意として,「小売店等で商品を見て」が「価格プレミアム」と「愛着度」の双方に有意に正の影響を及ぼしており,流通到達度が購買行動へ強く影響することが示唆された.また,「自治体の長や職員の発言を聞いて」が「価格プレミアム」へ有意に正の影響を及ぼしており,自治体からの積極的な情報発信の重要性が示された.この他,「テレビ番組」が「④ブランド認知」や「⑤ブランド連想」へ有意な影響を及ぼしており,「(2)知識効果」の形成へ強く寄与することが示された.また,アンテナショップでの接点や魅力的なブランド名・ロゴマークが好ましい印象の形成に有用である点や,コンテストでの受賞が非日常的なイメージの形成に有用である点等,具体的な手段がどのような目的へ有効であるかが示された.

続いて,農産物ブランドの購買意思決定過程に関する理論的示唆を提示する.既述の通り,「価格プレミアム」へ「自分の趣味や好みに合う」や「日常生活にはない刺激が得られる」がプラスに有意であり,また「愛着度」へ「④ブランド認知」や「自分の趣味や好みに合う」がプラスに有意であるといったように,「④ブランド認知」や「⑤ブランド連想」が購買行動へ結びつくとするKeller(2001)のモデルが農産物ブランドにおいて実証された.先行研究では,朴他(2008)杉田・木南(2012)においてブランドイメージの形成が購買行動につながっていないとする結果が出ており,森高他(2014)でも満足から購買への効果が小さい等,地域ブランドのイメージ戦略に限界がある可能性が示唆されていた.ただし,これらの研究は一部のブランド産品に着目したものであり,ブランド全体の傾向からブランド連想の効果を検証すると,イメージの形成も重要であることが示された.また,中島(2009)斎藤(2010)が品質管理の重要性を述べ,朴他(2008)杉田・木南(2012)が知覚品質の有効性を示した点と同様に,本研究でも,「商品の品質」の魅力度が「自分の趣味や好みに合う」というブランド連想に結びつき,また「価格プレミアム」に有意に正の影響を及ぼしていた.高い品質を認知されることが購買行動へ結びつく点を,本研究でも実証した.

1  Keller(2001)は二次的連想の例として,「企業(ブランディング戦略を通じて),国や地域(原産地の表示を通じて),流通チャネル(チャネル戦略を通じて),他のブランド(成分ブランディングやコ・ブランディングを通じて),キャラクター(ライセンス供与を通じて),スポークスマン(保証を通じて),スポーツや文化イベント(スポンサーシップを通じて),ならびに第三者的な人や組織(賞や評論を通じて)」といった内容を挙げる.

2  各調査年における回答者が,異なる点に留意が必要である.

3  検定結果は,以下の通り.価格プレミアムを被説明変数とした際の不均一分散の検定では,White検定はχ2=33.55,p値=0.03で,Breusch-Pagan検定はχ2=46.03,p値=0.00であった.愛着度を被説明変数とした際の不均一分散の検定では,White検定はχ2=29.33,p値=0.08で,Breusch-Pagan検定はχ2=35.08,p値=0.02であった.

4  2SLSやGMMについては,北村(2009)等に詳しい.なお,我が国の農業経済学分野でこうした操作変数法を用いた研究として,若林(2010)草処(2010)などがあるが,農産物ブランドの購買意思決定過程に適用した研究は,私見の限り見当たらない.また既述の通り,農産物ブランドの購買意思決定過程は構造方程式モデリングで分析されることが多いが,25個の観測変数間の相互関係の検証は非常に煩雑となるため,用いなかった.

5  検定結果は,以下の通り.価格プレミアムを被説明変数とした際の内生性の検定では,Wu-Hausman検定はF=3.13,p値=0.03で,Durbin-Wu-Hausman検定はχ2=9.85,p値=0.02であった.愛着度を被説明変数とした際の内生性の検定では,Wu-Hausman検定はF=2.31,p値=0.08で,Durbin-Wu-Hausman検定はχ2=7.46,p値=0.06であった.

引用文献
 
© 2017 地域農林経済学会
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