2017 年 53 巻 3 号 p. 170-177
カンボジアのトンレンサップ湖では,漁業振興策として,環境保全と貧困削減を目的とする地域社会型資源管理が実施されている.この2つの目的の達成について,相異なるトレードオフの関係(win-win, win-lose, lose-lose)が住民の中で認識され,資源管理の持続性が危ぶまれている. 本研究の目的は,住民認識に基づき,8つの共用資源管理原則及び個人属性の視座から,トレードオフの関係の認識における差異を規定する要因を明らかにすることである.一つの地域社会型資源管理を事例に取り,無作為抽出した188世帯から収集したデータを使って順序ロジスティック回帰分析した結果,排除・モニタリング・組織という共用資源管理原則に関する認識が統計的に有意な規定要因として同定された.