農林業問題研究
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個別報告論文
日本の牛肉需要に関する計量分析
谷 顕子草苅 仁
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2018 年 54 巻 3 号 p. 77-81

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抄録

日本の家計では高度経済成長期に畜産物の家計消費量が増加し,この時期の20年間で消費量は約5倍となった.この要因として考えられるのは,家計所得の増加による増加分が半分の約2.5倍,残りの半分は,価格の低下,嗜好の亢進,官製食育によるものである.その後,70年代後半に日本経済が低成長に転換すると,畜産物の家計需要量も停滞傾向に転じた.畜産物の中での主要品目である牛肉について近年の国内需要についてみると,特徴的なのは,2003年12月に米国で発生したBSEの影響で豪州産が米国産に代替したが,数量ベースで輸入牛肉は39%減少した点である.一方で,国産牛肉の消費量は増加しなかった.そこで,BSE以後の牛肉の国内需要の実態を明らかにするため,牛肉を対象とした需要体系分析を行った.その結果,国産牛肉は特に品質が隣接する畜種間でこうした「つぶし合い」の効果が大きく,一方,輸入牛肉はほとんど影響を受けていないことが明らかになった.

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© 2018 地域農林経済学会
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