2018 年 54 巻 3 号 p. 96-102
農産物のブランド化の課題として,しばしば,多様なステークホルダーがいるために合意形成が難しく,地域内で統一的な生産管理を実施できない点が挙げられる.例えばDentoni et al.(2012)はパルマハムについて,伝統的な企業が地理的表示保護制度による規制の遵守を重視するのに対し,新規参入企業はコスト節減のためこうした規制を軽視し,認証を受けずに名称を用いる点を指摘する.こうした生産管理に関する課題は日本でも確認されており,例えば鹿児島県産黒豚においては,生産基準を設定し,基準が遵守されているか他者が確認する組織(鹿児島県黒豚生産者協議会等)がある一方で,生産基準を設定しない系列や,基準を設定してもその遵守状況を他者が確認しない系列が存在する.こうした傾向は,一定の品質のブランドの供給を困難にさせ,ブランドの保証機能を阻害し,生産基準を遵守している農家が不利益を被る可能性がある.
こうした状況の下,生産管理体制の構築を後押しするためには,第一に,生産管理体制の構築による消費者の支払い意思額(以下,WTP)への影響を確認する必要があろう.生産管理体制の構築による消費者評価を検証した文献としては,卵や生鮮野菜,ミニトマトへのトレーサビリティの効果について,それぞれ矢部他(2002),大谷・矢部(2004),合崎・岩本(2004)が選択実験で検証している.また,生産基準の設定やトレーサビリティを保証する認証制度の効果について,加藤(2010)や大石他(2010)が選択実験で検証している.しかし,生産管理体制について,生産基準の設定の効果と,基準の遵守状況に関する他者の確認の効果を分けて検証した文献は,管見の限り見当たらない.それぞれの効果を検証することで,鹿児島県産黒豚の系列等が生産管理体制の構築について検討する上で,有用な情報を提供できるであろう.
そこで本研究では,鹿児島県産黒豚における生産管理体制の構築に対する消費者評価を検証する.具体的には,アンケート調査による選択実験を行い,生産管理体制の構築によるWTPの増減を検証した.その際,生産基準の遵守状況について他者が確認する場合としない場合の限界支払い意思額(以下,MWTP)について,統計的に有意差があるか確認した.更に,どういった消費者がその生産管理体制を評価するか検証した.分析対象とする品目は,先述の鹿児島県産黒豚とした.
表1に,仮想の豚肉の特徴を示す.ここでは実際の購買状況に近付けるため,アメリカ産豚と国産豚を加えた設計とした.その際,より現実に近い分析を行うため,特別なブランド豚でないアメリカ産豚と国産豚の生産管理体制は全て「基準なし」とし,生産管理体制は鹿児島県産黒豚のみに付与される属性とした.価格については,店頭調査および農畜産業振興機構「豚肉の小売価格」を参考に,各産地・品種ごとに設定した.また,このように産地・品種によって属性や水準が異なることから,産地・品種の提示順序を固定したラベル型の選択肢集合を採用した.以上の内容のチョイス・セット例を,図1に示す.
| 属性 | 水準 |
|---|---|
| 産地・品種(提示順序は固定) | アメリカ産豚,国産豚,鹿児島県産黒豚 |
| 生産管理体制(鹿児島県産黒豚以外は全て基準なし) | 基準なし,基準あり他者確認なし,基準あり他者確認あり |
| 価格(アメリカ産豚) | 98円,124円,150円,176円,202円,228円 |
| 価格(国産豚) | 128円,162円,196円,230円,264円,298円 |
| 価格(鹿児島県産黒豚) | 268円,306円,344円,382円,420円,458円 |

チョイス・セット例
なお,全選択肢集合は,農林水産研究情報総合センターのシステムから,SASの%MktExマクロを用いて作成した.このマクロは,最も効率性の高いデザインを複数の直交計画表の候補から選ぶものである1.ここでは,産地・品種の提示順序を固定したラベル型の全選択肢集合を採用しているため,鹿児島県産黒豚の生産管理体制が3水準,産地・品種ごとの3つの価格がそれぞれ6水準であることを考慮して,D効率性基準が100%であったMA(36, 24, 31, 63)の混合水準計画を用いた.その上で,「買わない」を含む4つの選択肢から構成される36組の全選択肢集合を作成した.ただし,1人の回答者が36組を答えるのは労力がかかるため,%MktBlockマクロを用いて,9組ずつ4ブロックに分割した.なお,%MktBlockマクロは,各選択肢の各水準がブロックごとになるべく偏らないような組み合わせを提示するものである.こうした全選択肢集合の作成について,詳細は,Kuhfeld(2010)を参照されたい.
なお,鹿児島県産黒豚の生産基準については,「肉の甘味を引き出すため,出荷前の60日以上,さつまいもを10~20%含むエサを与えて生産する」,「統一した品質の豚肉を提供するため,枝肉重量や脂肪の厚さなどの一定の基準をクリアしたものを出荷する」の2点を説明した.また,他者による確認については,「生産者本人とは異なる他者(生産者の属する団体等)が上記の生産基準を守っているか確認している」と説明した.このように生産基準や他者による確認について詳細に説明したのは,生産管理体制の内容について正確に理解していない人が選択実験へ回答しても,正しい評価を得られないためである.なお,表1に記述されていない豚肉の特徴として,部位はロース(しゃぶしゃぶ用)であり,消費期限は3日間,トレーで包装されているものと仮定した.
また,選択実験の前問に,鹿児島県産黒豚の生産管理体制が多様であることを説明し,その意義を伝えるための問いを設けた2.これも,そうした取り組みの内容や意義を正しく一律に理解したことを前提とした選択実験による検証が必要なためである.
(2) 選択実験の調査対象本稿では,2017年1月に楽天リサーチ株式会社を通じて実施したWebアンケートのデータを用いた.具体的には,都道府県別・性別・年齢階層の分布に基づき,全国の18歳以上2万人へ事前調査を行った.その中で,過去1年に生鮮の鹿児島県産黒豚を購入した人を800名無作為抽出して本調査を実施し,そのうち食生活に関する複数の設問で全て,或いは1つを除いて同じ数字を選択した人を除いた747名のデータを用いた.なお表2に,回答者の概要を示す.
| 計(人) | 年代(%) | 職業(%) | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 40代未満 | 40・50代 | 60代以上 | 常勤 | パート・ アルバイト |
学生 | 専業主婦・ 主夫 |
無職 | ||
| 男 | 267 | 29.6 | 40.8 | 29.6 | 74.2 | 6.7 | 2.6 | 1.5 | 15.0 |
| 女 | 480 | 18.3 | 34.8 | 46.9 | 27.1 | 16.7 | 0.6 | 46.7 | 9.0 |
| 世帯(%) | 平均世帯員数 (人) |
一人当たり食費(%) | |||||||
| 単身 | 二人以上世帯 | 2万円未満 | 2–4万円 | 4–6万円 | 6万円以上 | ||||
| 男 | 26.6 | 73.4 | 2.52 | 39.7 | 41.6 | 12.0 | 6.7 | ||
| 女 | 12.9 | 87.1 | 2.54 | 44.6 | 44.6 | 8.8 | 2.1 | ||
ラベル型の選択肢集合を活用した本稿では,豚肉iを選択することから得られる確定効用Viを以下のように定式化した.
| (1) |
ただし,Butaiは豚肉の産地・品種(アメリカ産豚,国産豚,鹿児島県産黒豚)それぞれの選択肢固有定数項,Man1は鹿児島県産黒豚の生産管理体制である「生産基準あり他者確認なし」ダミー,Man2は鹿児島県産黒豚の生産管理体制である「生産基準あり他者確認あり」ダミー,Priceは価格である3.推定方法は,条件付きロジット・モデルを採用した.
また,鹿児島県産黒豚へのWTP平均および各生産管理体制に対するMWTP平均の信頼区間を,Krinsky and Robb(1986)の方法で推計した.その上で,生産管理体制へのMWTPの群間差異について,「基準あり他者確認なし」へのMWTPより「基準あり他者確認あり」へのMWTPが大きいとする対立仮説のもと,Poe et al.(2005)やAizaki(2015)が提示した畳み込みを利用した差の分布のシミュレーションによる片側検定を行った.
また,個人の異質性の規定要因を検証するため,(1)式のButaiPrice以外の変数へ個人特性や食生活の志向,鹿児島県産黒豚の購入先といった変数を乗じた交差効果モデルを推計した.このうち,個人特性変数については,女性ダミー,対数変換した年齢4,2万円刻みの一人当たり食費を変数として用いた.食生活の志向に関しては,日常の食生活について尋ねた複数の設問への回答結果について因子分析を行い,抽出された「安全性志向」と「高級品志向」の2因子の因子得点を変数として用いた.鹿児島県産黒豚の購入先については複数回答可として質問した.その上で,大部分の回答者が回答した量販店からの購入と対比させる購入先として,より差別化された商品を扱うことの多い百貨店と通信販売での購入経験を変数として用いた.
以上の推計のうち,条件付きロジット・モデルによる推計やMWTP平均の信頼区間の推計,MWTPの群間差異の検定はR3.3.2を,因子分析はSPSS Statistics 22を用いた.
まず,食生活の志向に関する設問について,最尤法・プロマックス回転による因子分析を行った結果を表3に示す.なお,食生活の志向に関する設問のうち,複数の因子で因子負荷量の高かった「高くても品質の良い食品を選ぶ」は削除し,再度因子分析を行っている.初期の固有値は,第1因子から順に,3.307,1.689,0.949,0.843,0.673……,であり,2因子解と3因子解の間で落差が確認されたため,2因子解を採用した.因子分析の結果のうち第1因子については,「食品の安全に関するニュースには気を付けている」や「食品を購入する時は国産品を選ぶ」といった項目の因子負荷量が高いため,「安全性志向」とした.第2因子は,「美味しいものにはお金をかける」,「食品にはある程度お金をかけたいと思っている」の因子負荷量が高く,また「なるべく食品を抑える」等の因子負荷量がマイナスであるため,「高級品志向」とした.なお,こうした因子分析の結果,各因子に対して絶対値0.30以上の負荷量を示した項目を構成項目とし,マイナスの因子負荷量を示した項目の得点化を逆転させたうえで,α係数を計算した.結果は,第1因子で0.791,第2因子で0.640であり,第2因子のα係数がやや低い値に留まったが,概ね内的整合性はあると判断した5.
| M | SD | F1 | F2 | |
|---|---|---|---|---|
| 食品の安全に関するニュースには気を付けている | 4.50 | 0.976 | 0.816 | –0.063 |
| 食品を購入する時は国産品を選ぶ | 4.54 | 1.068 | 0.796 | –0.063 |
| 加工食品などを購入する際,原材料の内容を確認する | 4.28 | 1.094 | 0.765 | –0.068 |
| 輸入食品はあまり好きでない | 3.89 | 1.188 | 0.590 | –0.131 |
| 食品を購入する時にJASマーク等の認証ラベルを参考にする | 3.29 | 1.172 | 0.461 | 0.131 |
| 美味しいものにはお金をかける | 4.25 | 0.973 | 0.048 | 0.716 |
| 食品にはある程度お金をかけたいと思っている | 4.05 | 0.979 | 0.257 | 0.649 |
| なるべく食費を抑える | 3.60 | 1.072 | 0.210 | –0.527 |
| 値引きされた食品を買う | 4.07 | 0.993 | 0.120 | –0.340 |
| 因子間相関 F1 | 0.435 | |||
1)いずれも,「よくあてはまる」から「全くあてはまらない」の6件法で回答を得た.
続いて,選択実験の推計結果を表4に示す.表4のうち,まずは主効果モデルについて説明したい.
| 主効果モデル | 交差効果モデル | |||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主効果 | 主効果 | 交差効果 | ||||||||||||||||
| 個人特性変数 | 食生活の志向 | 鹿児島県産黒豚の購入先 | ||||||||||||||||
| 女性ダミー | ln(年齢) | 一人当たり食費 | 安全性志向 | 高級品志向 | 百貨店 | 通信販売 | ||||||||||||
| 選択肢固有定数項(ASC) | ||||||||||||||||||
| アメリカ産豚 | 1.21 (7.06) |
*** | 8.86 (10.77) |
*** | –0.50 (–3.67) |
*** | –1.82 (–8.65) |
*** | –0.19 (–2.25) |
** | –0.70 (–8.49) |
*** | 0.12 (1.36) |
|||||
| 国産豚 | 2.97 (28.36) |
*** | 5.69 (8.51) |
*** | –0.21 (–1.95) |
* | –0.62 (–3.60) |
*** | –0.03 (–0.53) |
–0.28 (–4.50) |
*** | 0.31 (4.68) |
*** | |||||
| 鹿児島県産黒豚 | 3.56 (22.79) |
*** | 4.37 (4.92) |
*** | –0.14 (–0.99) |
–0.22 (–0.99) |
0.21 (2.64) |
*** | –0.04 (–0.43) |
0.54 (5.85) |
*** | 0.28 (2.48) |
** | –0.20 (–1.59) |
||||
| 鹿児島県産黒豚の生産管理体制 | ||||||||||||||||||
| 基準あり他者確認なし | 0.41 (6.26) |
*** | –1.16 (–1.27) |
–0.02 (–0.13) |
0.37 (1.59) |
–0.01 (–0.12) |
0.08 (0.86) |
0.07 (0.69) |
0.09 (0.58) |
0.39 (2.23) |
** | |||||||
| 基準あり他者確認あり | 0.74 (11.46) |
*** | 0.39 (0.44) |
0.21 (1.43) |
0.07 (0.30) |
–0.03 (–0.39) |
0.20 (2.12) |
** | 0.13 (1.30) |
–0.21 (–1.34) |
0.49 (2.83) |
*** | ||||||
| 価格(円/100 g) | ||||||||||||||||||
| アメリカ産豚 | –0.008 (–7.24) |
*** | –0.009 (–7.90) |
*** | ||||||||||||||
| 国産豚 | –0.006 (–12.96) |
*** | –0.006 (–13.20) |
*** | ||||||||||||||
| 鹿児島県産黒豚 | –0.007 (–16.03) |
*** | –0.007 (–17.02) |
*** | ||||||||||||||
| 回答者数 | 747 | 747 | ||||||||||||||||
| 観測値数 | 26892 | 26892 | ||||||||||||||||
| 最大対数尤度 | –7268.88 | –6778.41 | ||||||||||||||||
1)上段が推計したパラメータ,下段のカッコ内がt値を示す.また***,**,*はそれぞれ,1%,5%,10%水準で有意であったことを示す.
主効果モデルでは,「基準あり他者確認なし」ダミーと「基準あり他者確認あり」ダミーの両方とも統計的に有意にプラスの結果を得た.生産管理体制の構築が,消費者効用へ正の影響を及ぼすことが示された.
次に,表4の交差効果モデルについて述べる.本稿で調査対象とした生鮮の鹿児島県産黒豚の購入者は,女性であるほど,アメリカ産豚や国産豚を評価しない傾向にあった.世帯で食料品の買い物を担うことの多い女性が,価格に対して厳しい目を有していた可能性がある.また,年齢が高いほどアメリカ産豚や国産豚をより低く評価していた.高年齢層ほど,より品質の高い豚肉を購入する機会が多いようである.一人当たり食費については,高いほど,アメリカ産豚を評価せず,鹿児島県産黒豚を高く評価する点が確認された.これは,食費に余裕があるほど高価な豚肉を評価する傾向にある可能性が示唆される.食生活の志向では,安全性志向であるほど,アメリカ産豚と国産豚の評価が低く,また「基準あり他者確認あり」への評価が高かった.生産管理体制の構築が,安全性志向の高い消費者への訴求に繋がる点が示された.また,高級品志向であるほど,品質が高いと考えられる国産豚や鹿児島県産黒豚を高く評価していた.鹿児島県産黒豚の購入先では,百貨店での購入者ほど,鹿児島県産黒豚を高く評価していた.一般に高級品が販売されることの多い百貨店の利用者が,ブランド豚肉を高く評価したものと考えられる.また,通信販売で購入する人が,生産管理体制をより高く評価していた.これは,通信販売が品物を目で確かめることができない購入方法であるため,生産管理体制の構築をより高く評価した可能性がある.
なお,交差効果モデルでは鹿児島県産黒豚の生産管理体制の主効果が有意でなかった.生産管理体制の構築について,全体としては効用を感じられていないが,交差項の係数が有意であった特性を持つ個人に対しては有効であることが示された.
(3) WTP平均と生産管理体制に対するMWTP平均の信頼区間の推計結果主効果モデルにおける,鹿児島県産黒豚に対するWTP平均と生産管理体制に対するMWTP平均の信頼区間の推計結果を,表5に示す.表に示した全ての変数が,95%有意水準で統計的に有意であった.MWTP平均を見ると,「基準あり他者確認なし」のMWTPが62.3円,「基準あり他者確認あり」のMWTPが112.4円であった.鹿児島県産黒豚に対するWTP平均は546.3円であるため,生産管理体制によるMWTP格差率は,「基準あり他者確認なし」が11.5%,「基準あり他者確認あり」が20.7%であった.またPoe et al.(2005)やAizaki(2015)が提示した手法でMWTPの群間差異について検定したところ,「基準あり他者確認なし」よりも「基準あり他者確認あり」は1%水準で統計的に有意に大きいことが示された.
| 2.50% | 50% | 97.50% | |
|---|---|---|---|
| 鹿児島県産黒豚 | 515.8 | 543.6 | 576.8 |
| 基準あり他者確認なし | 42.5 | 62.3 | 84.3 |
| 基準あり他者確認あり | 90.7 | 112.4 | 136.8 |
以上,本研究では,鹿児島県産黒豚の生産管理体制の構築に対する消費者評価を,選択実験を用いて検証した.
そこでは,生産基準の設定と基準遵守の体制を整備することで,消費者のWTPが増大することが確認された.またPoe et al.(2005)の提示した手法により,基準が守られているか他者が確認した場合としない場合それぞれのMWTPの群間差異を検定し,統計的に有意に他者が確認する方が高い評価を得た点を確認した.このように本稿では,鹿児島県産黒豚における生産管理体制の構築の意義を示すことができた.また,こうした生産管理体制について,安全性志向が高い人や,通信販売を用いる人がより高く評価する点を確認した.
ただし,今後残された課題として,次の点がある.第一に,今回は価格の高い鹿児島県産黒豚において生産管理体制が構築された場合のMWTPを推計したが,農産物ブランド全般に適用できるか否か,例えば,他の産品との価格差が小さいような農産物ブランドにも応用可能かの検証が必要となる.第二に,鹿児島県産黒豚については,今回の消費者へのアンケート調査だけではなく,生産系列ごとの実際の価格データを用いた分析が必要である.即ち,生産管理体制の構築がきちんと価格に反映されているか,それとも地理的表示の使用のフリーライダーが起きているのか,実態を把握することが求められる.第三に,生産管理体制を整備したとしても,整備のための費用が利益を上回ってしまうと意味がない.具体的な事例について,生産管理体制の整備のための費用と利益を比較する研究が必要となる.