農林業問題研究
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個別報告論文
「道の駅」の経営効率性分析
―群馬県を対象として―
田村 莉久大江 靖雄
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キーワード: 道の駅, 経営効率性, DEA
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2019 年 55 巻 3 号 p. 167-173

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Abstract

This paper quantitatively investigates the efficiency of “Michino Eki,” a roadside station, and the factors influencing its efficiency. We focus on Gunma Prefecture in Japan, using DEA (data envelopment analysis) and multiple regression models for the analysis. The data were collected by conducting telephone surveys of all 31 Gunma Prefecture stations, with responses obtained from 13 stations. We also conducted interviews with the officials in charge of Michino Eki in the prefectural government and the municipality, as well as with the managers of Michino Eki. The purpose of these interviews was to verify the model estimation results. The results reveal that those stations that have facilities for a young generation were higher in efficiency than those that do not. Thus, introducing facilities such as baby care facilities, EV battery charging, and wi-fi capabilities, will be effective in improving the station’s efficiency.

1. 「道の駅」の背景

(1) 道の駅の機能

1993年に「道の駅」が全国103箇所に初めて設置されて以来,2017年11月現在でその総数は1,134箇所(国土交通省,2018全国道の駅連絡会,2018)に達しており,地方創生の有力な一手段とされている.これまで,道の駅に関する研究は,2010年以降多様な視点からなされるようになり,その成果は徐々に蓄積されてきている.具体的には,津田・麻生(2013)では,道の駅に求められる機能と役割を考察し,用途可変型の社会資本であるとしている.さらに同著者らによる道の駅の設置がある地域の農業生産性効果に及ぼす影響(津田・麻生,2017)や,その登録件数へ外生的に影響を及ぼす要因に関しての研究が行われている(麻生・津田,2015).また,浅野・石田(2017)では,高速道路開業によるストロー効果の対策として道の駅の役割が考察されている.加えて,地域の観光振興(藤澤,2018)や地方創成拠点としての研究(山本・岡本,2017)も増えてきている.平野(2017)は,道の駅の防災拠点機能について,考察を加えている.

以上のように,これまでの道の駅に関する研究は,道の駅に対する地域への多様な機能が期待されていることから,総じて地域への効果や機能についての分析が行われてきたといえる.

他方で,発足以来その数の増加で経営効率性に格差が生じ,経営成果のレベルにも差が生じていることも想定される.しかし,これまで道の駅の経営効率性に関する分析は行われていない.今後,競合する道の駅の設立がさらに増えることも予想される.このため,各道の駅をいかに効率的に経営するのかという点は,不可避の課題となると考えられる.

したがって,その経営効率性を評価する必要性は今後益々高まるものと考える.しかし,これまで道の駅の経営効率性に関して評価した研究成果は,未だ見当たらない.そこで本稿では,道の駅の経営活動としての効率性を評価するという観点から接近する.分析は,温泉以外に有名な観光資源が少ないという点で平均的な農村地域であり,全国的にも数多い「道の駅」が設置されている群馬県を対象として,効率性評価の手法として広く適用されているDEA(Data Envelopment Analysis)モデルを用いてその効率性を評価し,それを規定する要因について考察し,今後の支援課題を展望する.

2. 道の駅の現状と群馬県の特徴

(1) 全国的に見た道の駅の推移

道の駅の登録件数の推移をみると,1993年から1999年にかけての7年間は毎年60~80件程度の安定した増加を見せていた(図1).しかしそれ以降の登録件数は伸び悩み,2005年を境に20件を下回る年が出るほどに落ち込んでいる(国土交通省,2018).2017年11月現在では,全国に合計1,134件の道の駅がある.北海道の登録件数が現在時点で最も多く,121箇所となっている.また,群馬県を含む上位10道県の道の駅数に注目すると,合計461件で全体の約40%を占めている.本稿で対象とする群馬県は32箇所で,秋田県と並び全国で8位タイの道の駅登録件数を有している.

図1.

「道の駅」の年度別登録件数の推移

(2017年11月17日現在)

資料:国土交通省「道の駅案内」より作成.

(2) 群馬県における道の駅の特徴

2において群馬県と,群馬県を除く上位10道県の道の駅と保有施設の保有率について比較すると,いくつかの特徴を指摘できる.まずユーティリティ関連施設では,観光案内保有率の高さで,上位10道県の71.0%に対して,群馬県では93.5%とほぼ全ての道の駅が保有している.次にEV(電気自動車)充電施設保有率の高さについては,上位10道県の17.8%に対し群馬県は48.4%と3倍近くの差で保有率が高い.特に,全国最多の道の駅を擁する北海道と比較すると9倍以上の差がみられる.これは,群馬県の自家乗用車の世帯当たり普及台数が全国的にかなり上位であることも背景にあるのではないかと考えられる(一般財団法人自動車検査登録情報協会,2017).対照的にベビーベッド保有率では,上位10道県の61.2%に対して,群馬県ではわずか25.8%と半分以下でしかない.最後に,群馬県では温泉施設保有率がやや高いという点である.上位10道県の15.8%に対し群馬県は25.8%で,群馬県が全国的にも有名な草津や伊香保などの温泉を有していることが影響していると考えられる.

図2.

群馬県と群馬県を除く上位10道県の道の駅の各施設

資料:全国道の駅連絡会「道の駅公式ホームページ」を基に作成.

3. 分析方法とデータ

本稿で用いるDEAは,事業体(DMU)によって投入される資源(入力)とそこから産出される成果(出力)を比較し,投入と産出の比が大きいほど効率的と判定し,最も外側に位置する生産フロンティア上にその事業体が位置すれば,その効率性のスコア(以下,効率値)は最大値の1となる.したがって,生産フロンティアの内側に位置する事業体は,いずれも,効率値が1より小さくなるため,非効率性が存在することになる.

DEAでは,規模の経済性一定を効率性の条件とするCCRモデルと,可変的な規模の経済性を考慮するBCCモデルの2つが基本である(刀根,1994Cooper et al., 2007).この2つはさらに,出力最大化を目的とする出力指向型と,入力の最小化を目的とする入力指向型の2パターンに分けられる.本稿では,冒頭に述べた経営活動としての評価であり,その経営成果に着目するため出力指向型のモデルを採用した.規模の経済性については,道の駅の場合,その経営成果に作用するのかどうかについては,道の駅の効率性評価にDEAが適用された先行研究もないため一義的に選択はできない.そこで本稿では,CCRおよびBCCモデルによるDEAモデルの計測結果を,道の駅での聞き取りと群馬県の道の駅担当者に,専門家としての意見を求めて,実際の経営状況に関する認識と整合的な計測結果の方をもって判断することとした.

DEAモデルの入力・出力変数は,表1に示している.入力変数として,従業員数を2区分して正社員の人数,パート社員の人数,および1施設当たり面積を考慮した.従業員を正・非正規の2区分としたのには,サービス産業の特性からくる以下の理由がある.この点で,物財生産のみを行う農業生産の場合と労働力の扱いは大きく異なることになる.農業生産の場合には,伝統的に例えば正労働力を1として,パート補助労働力に0.8を掛けて実質的な貢献度を計算して,両者を合算して労働力を一本化して生産関数などの計測がなされている(大江,1993).また,農業生産が中心となる市民農園の経済性評価においても同様の労働評価が行われている(大江,2017).しかし,サービスの提供が中心となる農村ツーリズムの分野では,サービス生産にパート従業員の関与が大きく,特に道の駅では,さきにみたように道の駅ごとで多様なサービス活動を行い,パート従業員の貢献度も多様化しているという実態がある.このため,一律にパート従業員の貢献度を評価するには,少々無理がある.さらに,近年ではひっ迫する労働力需要から正規従業員より,パート従業員への実質的な依存度がさらに高くなっているという我が国サービス産業に共通する現実もある.実際,本分析事例においても正従業員ゼロとなっているケースでさえも存在している.こうした経営の実態を踏まえて,従業員を2タイプに区分することは,現実的な対応と考えられ,サービス産業の生産性分析では,非正規雇用の労働生産性は重要視されている(森川,2014).我が国の農村ツーリズムに関する研究成果では,Ohe(2011)が労働を正・非正規で2区分して,我が国の農村ツーリズム施設の生産性を評価している.また,DEAモデルにおいてもinput変数に従業員数を用いている分析例は珍しくない(例えば,Dong et al., 2019).なお,CCR・BCCモデルともに,入力変数の制約条件は非負であることから,入力変数に仮にゼロが存在してもDEAモデルの理論的な前提と矛盾することはない(Cooper et al., 2007).

表1. 入力変数と出力変数
項目 変数名 最大値 最小値 平均値
入力 正社員(人) 10 0 4.3
パート(人) 38 9 20
1施設当たりの面積(m2/施設) 734 63 207
出力 売上(千円) 2,00,000 54,740 407605
来場客数(人) 2,380,000 52,192 393,957
客単価(千円/人) 3,111 289 1,137

次に,出力変数として,ともに成果指標である売上と来場客数より求めた2016年度の客単価を考慮した.つまり,本稿では客単価の最大化を想定している.この点についても,サービス生産に特有の成果指標であるため,説明を加えておく.客単価は,共に成果指標である来客数と来客による売上から,客一人当たりの売上額として求められる.客単価の重要性は,観光経済学の世界的に定評あるテキストにおいても指摘されている(Candela and Figini, 2012).また,農村ツーリズムの経営上で客単価の重要性は,大江(2003)で早くから指摘されている.同様に,近年振興が図られ関心を引くインバウンド観光においても,来日総観光客数と,総支出額,および両者から求める一人当たり支出額について,観光庁統計で頻繁に公表が行われている.以上から,客単価を想定したモデルも販売戦略として非現実的なものではないと考える.今回用いた来客数は,購買をしないトイレ休憩などの来客数も含まれる.この来客数のデータを用いた理由は二つある.一つ目は,現実的に購買者数の人数の正確な把握が非常に困難であるため,カウントがより容易な総来客数を用いることは,データ制約への現実的対応であること.二つ目は,道の駅の場合,多くの論者が指摘するように多機能施設であり,単に物販や飲食のためのみではなく多様な用途を合わせ持っているため,むしろ来客数で評価することは,多機能性を前提とした評価という点で,よりふさわしいと考える.言い換えると,購買者数のみの評価では,道の駅の本来の機能を過小評価する危険性がある点を指摘できる.

従業員数,施設面積については,群馬県内31件(調査時)の道の駅を対象に電話によりデータ提供への協力を依頼し,うち13件の道の駅からデータを頂いた.回答率は約41.9%となっている.売上と来場客数は長期間のデータを提供いただいたところもあるが,13件全てを調査対象とするため,それぞれ2016年度のものを採用した.複数の入力変数と出力変数を組み合わせて求められる効率値から,県庁,町役場及び,道の駅への聞き取り調査(2017年10月~1月)により得た情報と比較して,最も現実に近いと考えられるCCR-O(出力指向)モデルの計測結果を評価対象とした.次に,得られた効率値を規定する要因について重回帰分析を用いて明らかにする.なお,入力変数としてこの他に経済活動を行っている施設の面積や最寄りの国道からの距離なども考慮したが,重回帰モデルで良好な結果が得られなかったため,最終的なDEAモデルでは採用しなかった.また,道の駅の経営は,所在する自治体からの指定管理者として運営されていることも少なくない.都市農村交流施設では,実質的にそれが補助金としての機能を有している場合もないわけではない(Ohe, 2016).しかし,本稿では,経営活動としての効率性を評価する観点から,こうした公的な資金に関する要因は考慮していない.

DEAモデルにより計測された効率値の要因を解析するために,重回帰分析に用いた道の駅の保有施設・設備の保有状況は,各道の駅のwebsiteより収集した.

4. 分析結果と考察

3はCCR-Oモデルを用いたDEAによる各道の駅の効率値をまとめたものである.最も小さい効率値は0.171で,効率値の平均値は0.484となっており,平均を上回った道の駅は最大効率値3件を含めてわずか4件のみで,その他約7割近くの道の駅で平均を下回っている.以上から,経営効率性は,道の駅によりかなりの差が存在していることが判明した.冒頭に述べた経営の効率性に,大きなばらつきが実際に生じていることを示している.オープンからの年数が3~4年程度と,他と比べて比較的短い道の駅(あがつま峡,玉村宿)で最大効率値1を示していることは,経験効果が作用していないことを示唆するが,この点は,次の要因の解析により検討してみよう.

図3.

CCR-O(出力指向)モデルを用いたDEA分析による効率値

2は,先の効率値を規定する保有施設・設備を要因として重回帰分析により評価したものである.被説明変数は,上記で計測された効率値とした.説明変数は,当初施設数を考慮したが,有意ではないことと,具体的施設の効果を明らかにすることがより重要であることから,いずれも施設・設備保有の有無により(yes=1, no=0)とするダミー変数とした.施設・設備保有は,大きく3つに区分して評価した.具体的には,レストラン・軽食喫茶の「飲食カテゴリー」,温泉施設や公園の「レジャーカテゴリー」,そして無線LAN(wi-fi),ベビーベッド,ATM,EV充電施設を含む「ユーティリティカテゴリー」である.どのカテゴリーの要因が実際に効率値に作用しているのかについては,これまでの先行研究がないため,計測結果から判断することになる.計測モデルは,サンプルサイズが13と自由度の制約が大きいため,3つの変数を入れ替えて3つの異なる変数の組み合わせで計測結果を比較した(モデルⅠ~Ⅲ).また,有意でない変数についても,最小限のコントロール変数として残している.計測方法は,通常の最小二乗法(OLS)を用いた.

表2. 計測効率値の要因に関する重回帰分析モデル
モデル
レストランダミー変数(yes=1, no=0)
軽食・喫茶ダミー変数(yes=1, no=0) 0.2245(1.58)
温泉施設ダミー変数(yes=1, no=0) 0.2396(1.32)
公園ダミー変数(yes=1, no=0) −0.0652(−0.43)
無線LANダミー変数(yes=1, no=0) 0.3542**(2.39) 0.3096*(2.08)
ベビーベッドダミー変数(yes=1, no=0) 0.3461*(2.17) 0.4441**(2.64)
ATMダミー変数(yes=1, no=0) 0.7743**(2.66)
EV充電施設ダミー変数(yes=1, no=0) 0.2913*(1.97)
定数項 0.1393(1.07) 0.2909**(2.53) 0.149(1.17)
サンプルサイズ 13 13 13
自由度修正済み決定係数 0.3738* 0.3760* 0.3718*
最大VIF 1.07 1.22 1.21

1)*,**はそれぞれ5%,10%で有意であることを示す.また,カッコ内はt値を表す.

2)計測モデルのF検定の結果,いずれも10%有意であった.

計測結果をみると,自由度が大きくないためもあり,自由度修正済み決定係数は,高くはないが,統計的に有意なパラメータが得られていることや,VIFもその値はいずれも低く,多重共線性を有していないと判断できるので,妥当と考える.ただし,自由度の小さい点を考慮して,計測モデル全体の当てはまりについての検定であるF検定を行い,10%水準で有意な結果が得られた場合のみを示している.その結果3つの計測結果が有意となった.

以下,計測されたパラメータについてみてみよう.自由度の制約が大きいため10%有意水準も考慮している.まず指摘できるのは,モデルⅠ~Ⅲにおいてレストランや軽食・喫茶の「飲食カテゴリー」と温泉施設や公園の「レジャーカテゴリー」のパラメータはいずれも有意ではなかったことである.これらは,道の駅を利用する理由となると考えられるものの,今回の群馬県における計測結果では,経営効率性への影響は,確認できない.

これに対して.無線LAN,ベビーベッド,ATM,EV充電施設を含む「ユーティリティカテゴリー」では,無線LANダミー変数はモデルⅡで5%~10%,ベビーベッドダミー変数はモデルⅢで5%~10%,ATMダミー変数はモデルⅡで5%,EV充電施設ダミー変数はモデルⅠで10%と,それぞれ正で有意となっている.この結果から,こうした新たな施設・整備が有効であるといえる.このほか,内生的な要因として,開業からの年数も考慮したが,単独ではマイナスで10%有意となり,新たな施設・設備との負の相関もあること(無線LANと開業年数でスピアマン順位相関係数10%有意)や,自由度が小さく計測結果が不安定となるため用いていない.DEAモデルと回帰分析の結果を総合的に考慮すると,開業年数で示される経験効果よりも,新たな施設・設備の設置で利用者のニーズに対応することが,経営効率性には有効に作用していると考えられる.

このほかの要因として,市町村の人口や,最寄りの国道からの距離(最小0 m,最大6,000 m),オープンからの期間(年数)を説明変数とした回帰分析も行ったが,有意な結果は得られなかった.このことから道の駅の売上に関する効率性には,これらの外生的要因は寄与していることは,検出できなかった.

以上分析結果から,経営に関する効率性には道の駅により大きな差があることが分かった.そして,その経営効率性には,保有する施設の種類や内容などの内生的要因が影響していると考えられる.

具体的には,ベビーベッドダミー変数やEV充電施設ダミー変数が有意となっていることは,家族連れが車で来訪するためと考えられる.この点は実際の訪問聞き取り調査の結果と整合している.具体的には,ここ最近電気自動車で来る客層が増えており,特に若年層や家族での来場客が増加しているという事実と整合的である.さらに,無線LANダミー変数が有意であることから,スマートフォンの普及率が高いこうした若い世代の来場が増えていることが背景にあると考えられる.対照的に,従来の飲食に関するレストランや軽食・喫茶施設で統計的に有意な結果がみられなかったことから,どこの道の駅にもあるこれらの施設の有無では経営効率性に差が出ないということが考えられる.また,娯楽系の群馬県が誇る温泉施設についても有意に出なかったことから,「気楽にちょっと寄れる」がコンセプトの道の駅においてわざわざ温泉に入ることをメインの目的として訪れる人は多くはないためといえる.

5. むすび

本稿では,従来行われていない道の駅の経営効率性を評価するため,DEAモデル及び重回帰分析により解析した.その結果,客単価モデルは現状と整合的な結果で一定の説明力を有していること,効率性の格差が道の駅間でかなり大きいこと,そして外生的な要因よりも,むしろ内生的な要因が経営効率性に作用していることが判明した.具体的には,若年層向けの施設を有する道の駅において,効率値が高いことが明らかとなった.このことは「その道の駅のカラーをいかに出せるかが重要」という現地での聞き取り調査の結果とも整合的である.したがって道の駅の経営効率を高めるためには,経験値の高い周りの例をただ真似るのではなく,子連れの家族や若い客層に魅力的なユーティリティを高めるオリジナリティある施設や空間づくりが求められるといえる.

他方で,地域との連携が重要となる道の駅において,直売所で取り扱う地場産の品目数やイベントの開催なども経営効率性に大きな影響を与えると考えられるが,本稿ではそのような要因には触れられていないため今後の課題としたい.また,本稿のDEAモデルの想定などは,他の地域においてもその適用性の検証をさらに行う必要があるとともに,より多くのサンプルサイズの下でより自由度の制約の少ない状況での分析も検討する必要があると考える.

引用文献
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