In this study, we examined value orientations and product information processing procedures among consumers that impact their intention to purchase dairy products produced using self-supplied feed. The results can help develop promotion strategies for consumer behavior toward such products. We performed covariance structure analysis on the date of the questionnaire survey. The analysis revealed that consumers’ “taste orientation” directly affected their sensory evaluation of dairy products. By contrast, consumers’ “safety/health orientation” impacted their evaluation of dairy products through their evaluation of feed – the primary factor differentiating one dairy product from another. Thus, promoting buying behavior in consumers with a strong “safety/health orientation” requires emphasizing that products use self-supplied feed and thus contribute to a low environmental impact, whereas promotion for consumers with a strong “taste orientation” requires a variety of media to increase familiarity with raw milk.
わが国の酪農業を持続的に発展させるには,安価な輸入飼料に過度に依存することなく,自給飼料で生産した牛乳,乳製品を差別化していくことが重要である.そのためには,「輸入飼料ではなく自給飼料を給与している」という生産プロセスやその生乳を原料乳に用いていることを消費者に訴求し,購買を促していくことが求められる.
ただ,生産プロセスに関わる「プロセスの品質」は,食味や外観等の物性的検査で確認できる「製品に体現される品質」とは異なり,消費者には製品の差異として認知されにくい(工藤,2000).乳製品の購買場面における購買意思決定の調査からは,自給飼料給与という「プロセスの品質」に関する製品情報が提示されても,それだけで消費者の購買行動が促進されるわけではないことが解明されている(澁谷・久保田,2020).つまり,家畜飼料についての消費者の知識量は総じて少ないため,自給飼料給与という情報を提示されただけでは,消費者は情報を意味づけ製品の差異として認識することは難しい.差別化には購買場面で飼料情報に対する消費者の理解を深め購買を促す方策が必要といえる.
消費者の購買行動は,個々人が「記憶」の領域で製品情報を参照し購買意思決定していく内的な情報処理プロセスととらえられる.食品購買行動において消費者は,製品表示等の外部情報を受け止め,購買の必要性など自らの「問題認識」に基づき,過去に自らが蓄積してきた情報や知識(「長期記憶」)を参照して,それら製品情報を「短期記憶」の領域で評価し購買意思決定を行う(新山他,2007).青木(1992)によると,情報処理プロセスは,「問題認識」および必要な情報を探索する「情報取得プロセス」,情報を統合し評価,意思決定を行う「情報統合プロセス」からなる.この情報処理の量と質を規定するのが,各人の情報処理能力のほか問題の相対的重要性である.
重要性の判断には個々人の価値体系が反映される.消費者が製品の特性として認知する要素と彼が人生で実現しようとする究極的価値とが直接的にリンクすればするほど,購買意思決定のための情報処理へ強く動機づけられより高い「関与」を感知することになる(Peter and Olson, 1990)1.Petty and Casioppo(1986)の「精緻化見込みモデル」(Elaboration Likelihood Model)は,この関与概念をもとに消費者が行う情報処理の多様性を体系的に説明した枠組みである.消費者の情報処理能力が高い場合,高関与であれば消費者は情報を入念に精査して態度を形成し(中心的経路),その態度を持続するのに対し,低関与であれば情報発信者の知名度など非分析的な手がかりで態度を形成し(周辺的経路),しかもその態度変容は一時的なものに止まるという.したがって,乳製品の飼料情報に対する消費者理解を深め購買を継続させるには,潜在的な販売ターゲットに対して製品が彼らの中心的価値をいかに実現できるかを訴求する必要がある.そのためには,消費者のどのような価値意識が購買行動の動機づけとなるかを明らかにすることが求められる.
そこで本研究では,イアコーンサイレージ給与牛乳のソフトクリーム(以下,「イアコーンソフト」)を対象に,アンケート調査から自給飼料給与という製品情報に対する消費者の理解を深め購買行動を促す方策を明らかにする2.イアコーンサイレージ(以下,「イアコーン」)は飼料用トウモロコシ雌穂の子実,芯,外皮を利用した濃厚飼料で,飼料自給率向上に寄与すると期待される新技術である.現在,北海道のいくつかの酪農経営でこの原料乳による乳製品が製造販売されている.このため,まず,イアコーンソフトの購買行動について上記の消費者情報処理モデルに基づく仮説を提示する.次に,調査結果から飼料に関する消費者の情報処理プロセスとそれを規定する価値意識を共分散構造分析によって明らかにし,製品への消費者理解を促す販売方策を検討する.
本研究では,消費者情報処理モデルをイアコーンソフトの購買行動の分析枠組に適用し(図1),アンケート調査によって「情報取得プロセス」「情報統合プロセス」「動機づけ」の変数間の因果関係を検証することとした.

第1に,情報取得プロセスの変数として「牧場ソフト購買時の各種情報への関心度」(以下,「情報への関心度」)を設定し,製品に関連する情報13項目について5段階で関心を持つ程度を尋ねた.本来ならイアコーンソフト購買時の情報取得を問うべきであるが,その販売店は限られ購入経験のある消費者は少ない.そのため,一般のソフトクリームより原料乳情報の露出が多いと考えられる牧場ソフトの購買場面を,イアコーンソフトの購買場面に準じるものと想定した3.第2に,情報統合プロセスの変数には,「イアコーンソフトの評価」(以下,「評価」)と「イアコーンソフトの購買意欲」(以下,「購買意欲」)を設定した.消費者の多くはイアコーンの知識に乏しいと考えられるため,簡単な説明を加えた上で,イアコーンソフトのイメージに関する10項目と購買意欲の強弱について7段階評価を求める設問を用意した4.第3に,「動機づけ」変数として「食ライフスタイル」を設定した.食ライフスタイルは消費者の農産物購買行動の背景となる価値意識として,消費者ニーズを探るアンケート調査などで適用されている.本研究では,磯島(2009)や若林(2004)を参考に食材の調達や調理等に関する18項目を設定し7段階での評価を求めた.
次に,分析枠組に基づきこれら変数間の関係について次の仮説を立てた.
①情報取得プロセスにおいて消費者が関心を持つ情報には,乳製品や店についての情報と原料乳や乳牛についての情報がある.これらの情報への関心が情報統合プロセスの「評価」に影響する.
②「評価」は,乳牛の飼料に由来する安全性やイアコーンが低環境負荷であること等のプラスの評価とイアコーンソフトに話題性等があるといったプラスの評価,イアコーンソフトが入手困難であることや高価格になることなどのマイナス評価からなり,これらが「購買意欲」に影響する.
③消費者の「食ライフスタイル」においては,健康や安全性を重視する志向や低価格への志向等があると仮定し,これらが「情報への関心度」と「評価」に影響すると想定した.なお,図1では消費者の情報処理の結果として購買行動が生じるとしているが,アンケートによる購買行動の実査は難しい.そこで,イアコーンソフトへの高評価が購買意欲を高め購買行動に至ることを前提に,「購買意欲」を目的変数として変数間の関係を推定する.
(2) アンケート調査の実施概要と分析手順分析データは調査会社のWebアンケートサービスを利用し,2020年7月に収集した.アンケートでは「情報への関心度」を調査することから,本調査に先立って,属性のほかソフトクリームと牧場ソフトの消費頻度を尋ねる予備調査を実施し,それぞれ年間1回以上,過去3年間に1回以上の消費経験がある回答者を本調査の対象とした.次に,北海道と首都圏(東京都,神奈川県,埼玉県)在住の20~60代の男女各30人,計600人に本調査を実施し,多段階評価を求める「情報への関心度」「評価」「食ライフスタイル」のすべての質問項目に同じ回答をした203件を除く,397件を有効回答票とした.有効回答票で属性や消費頻度の偏りはみられないが,イアコーンソフトの購入意思を示した(「ぜひ買いたい」「買いたい」「どちらかというと買いたい」と答えた)回答者の割合が63%を占め,全体の51%に比べて多かった.
分析では,まず,「食ライフスタイル」「情報への関心度」「評価」の回答に探索的因子分析を行った.因子の抽出は固有値1.0以上を基準とした.項目選択においては因子負荷量が.40未満の項目を削除し,すべての項目がこの基準を満たすまで探索的因子分析を施した.次に,これらの項目を用いて検証的因子分析を行い,適合度を確認した.適合度指標のうちGFI .90以上,RMSEA .10未満を一応の採択基準とし(小塩,2010),この基準が満たされなかった場合は適合度(カイ二乗値)の変化量によるモデル探索を行い(以下,モデル探索),項目を精選した.最後に,これらの因子と項目を手がかりに共分散構造分析を行い,潜在変数間の関係を探った.探索的因子分析には最尤法,プロマックス回転を,検証的因子分析,共分散構造分析には一般化最小二乗法を用い,SPSS社のAmosを活用している.本研究における統計的有意水準はすべて5%とした.
「情報への関心度」「評価」「食ライフスタイル」の探索的因子分析に用いた回答の実測値を表1に示す.どの変数においても平均値の特に高い(低い)項目は無く,標準偏差は0.90から1.60の範囲であった.
| 質問項目 | 略称 | 平均値 | 標準偏差 | 質問項目 | 略称 | 平均値 | 標準偏差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 情報への関心 | 食ライフスタイル | ||||||
| 価格 | 価格 | 3.62 | 0.90 | 栄養バランスの良い食事をとる | 栄養 | 4.68 | 1.43 |
| 店の雰囲気・アクセス | 店 | 3.60 | 0.96 | 適地適作で生物も守られる | 適地適作 | 4.63 | 1.32 |
| 味の評判 | 味 | 3.59 | 1.01 | タイムサービスで食材を買う | タイムサービス | 4.62 | 1.49 |
| 原料乳の牧場や産地 | 牧場名 | 3.59 | 0.90 | 冷凍食品などをうまく使いたい | 冷凍食品 | 4.55 | 1.30 |
| 売り場等の衛生管理 | 衛生管理 | 3.24 | 0.97 | 食品ロス等身近な環境問題に関心 | 環境問題 | 4.32 | 1.39 |
| 原料乳へのこだわり | こだわり | 3.24 | 0.97 | 毎日カロリーや塩分に配慮 | カロリー | 4.27 | 1.45 |
| 原料乳品質・安全性 | 乳品質 | 3.18 | 0.99 | 食材購入時は食品表示に注意 | 食品表示 | 4.18 | 1.46 |
| 食品添加物の使用 | 添加物 | 3.10 | 1.01 | 事前にチラシ見て安い物を買う | チラシ | 4.18 | 1.59 |
| 原料乳の殺菌・風味 | 殺菌法 | 3.10 | 0.97 | 食材毎にどの店が安いか分かる | 最安店 | 4.04 | 1.50 |
| 製造工程の映像 | 製造工程 | 3.08 | 1.01 | 野菜購入時は安全性に気をつける | 安全性 | 4.03 | 1.46 |
| 乳牛の種類 | 乳牛種類 | 3.07 | 0.99 | 食事より趣味等にお金を使いたい | 趣味 | 3.99 | 1.29 |
| 飼養風景の映像 | 飼養風景 | 2.97 | 0.92 | できるだけ地元農産物を買う | 地元産 | 3.96 | 1.44 |
| 乳牛のエサの種類 | エサ | 2.86 | 0.97 | 話題性ある食材は試しに買いたい | 話題の食材 | 3.74 | 1.56 |
| 評価 | 輸入食材のある店に行くのが好き | 輸入食材 | 3.68 | 1.67 | |||
| 価格が高そうだ | 高価格 | 4.76 | 1.33 | すぐ買える調味料でも手作りする | 手作り | 3.66 | 1.47 |
| 健康に良さそうだ | 健康 | 4.67 | 1.32 | 総菜やレトルト食品の利用が多い | 調理済み | 3.66 | 1.39 |
| 安全性が高そうだ | 安全性 | 4.64 | 1.29 | 飲食店の情報収集に積極的だ | 飲食店 | 3.63 | 1.60 |
| 環境に良さそうだ | 環境 | 4.62 | 1.34 | 調味料・香辛料を多く使い分ける | 調味料 | 3.62 | 1.49 |
| 風味が良さそうだ | 風味 | 4.47 | 1.25 | ||||
| 高級感がある | 高級感 | 4.13 | 1.28 | ||||
| 話題性が高い | 話題性 | 4.07 | 1.36 | ||||
| おしゃれ感がある | おしゃれ | 3.97 | 1.22 | ||||
| 大衆向け商品だ | 大衆向け | 3.80 | 1.12 | ||||
| 身近に手に入る | 身近 | 3.48 | 1.19 | ||||
「情報への関心度」の回答に探索的因子分析を行い,2因子を抽出した.すべての項目の因子負荷量が.40以上であった.これら2因子(13項目)をモデルとする検証的因子分析を行ったが,適合度指標が採択基準に満たなかったため,モデル探索により項目を精選した.その結果,2因子8項目のモデルが採用された.この検証的因子分析の結果は,GFI=.96,RMSEA=.08であった.
「評価」については探索的因子分析の結果,2因子が抽出され,すべての項目の因子負荷量が.40以上であった.検証的因子分析を行ったところ,GFI,RMSEAとも基準に満たなかったため,モデル探索により2因子7項目を抽出した.この検証的因子分析の結果は,GFIが.97,RMSEAが.08で,容認される適合度が示された.
「食ライフスタイル」については探索的因子分析により4因子を抽出した.しかし,因子負荷量.40未満の項目が3つあったため,これらを除き再び探索的因子分析を行った.そこで因子負荷量が基準に満たなかった1項目を除き,さらに分析を繰り返して3因子を抽出した5.3因子(14項目)をモデルに検証的因子分析を行ったが,適合度指標の採択基準を満たさなかったため,モデル探索で11項目を精選した.これに検証的因子分析を行った結果,適合度はGFIが.93,RMSEAが.08で容認される値が示された.
(2) イアコーンソフトに関する情報処理プロセス共分散構造分析における潜在変数の初期設定や変数間の因果関係の初期設定は,モデル探索の結果および仮説に基づいて行い,適合度指標をみながら改善した.この過程で,「評価」における「飼料の評価」因子の観測変数である「高価格」と,「食ライフスタイル」において「タイムサービス」「チラシ」「最安店」を観測変数とする「節約志向」因子は除外され,因果構造モデルは図2のように確定された.モデルでは,「情報への関心度」の因子として原料乳の殺菌方法や乳品質等の情報への関心を示す「原料乳への関心」と販売店や製品価格の情報への関心を示す「店・価格への関心」が検出された.また,「評価」においては,イアコーンソフトの原料乳がイアコーンという国産飼料で生産された安全性の高いものであるという評価や,自給飼料生産によって家畜排泄物が飼料畑に還元されることによる環境負荷低減効果への評価など「飼料の評価」を示す因子と,これとは別に,イアコーンを使用した原料乳の製品であるという話題性や高級感など「製品の評価」を示す因子が検出された.「食ライフスタイル」の因子としては,輸入食材など多様な食材や料理を楽しむことに価値をおく「食満喫志向」と安全性の高い食材の入手や健康な食生活に価値をおく「安全健康志向」が検出された.

イアコーンソフトの購買意欲をめぐる因果関係
1)GFI=.907,AGFI=.884,RMSEA=.048
2)統計的有意水準は5%.
仮説1については,①「原料乳への関心」が「飼料の評価」を介して「製品の評価」に影響するという関係,②「原料乳への関心」が「店・価格への関心」と「飼料の評価」を介して「製品の評価」に影響するという関係,③「原料乳への関心」が「店・価格への関心」を介して「製品の評価」に影響するという関係が認められ,仮説と整合する結果が得られた.ここで,「原料乳への関心」から「製品の評価」への効果は,③よりも①②がやや大きく(①は.17,②は.14,③は.09),製品としてのイアコーンソフトの評価では,「店・価格への関心」による直接的な効果より「飼料の評価」を介した効果が相対的に大きいことが示された.
仮説2については,「飼料の評価」から「購買意欲」へのパスは有意ではなかったが,「製品の評価」が「購買意欲」へ直接影響する関係が認められ,仮説は部分的に検証されたといえる.ただ,「飼料の評価」が高いほど「製品の評価」が高まる関係が示されており,「飼料の評価」に基づく「製品の評価」が購買意欲に影響していると考えられる.
仮説3については,「食満喫志向」と「安全健康志向」の両方が「原料乳への関心」に影響するとともに,「食満喫志向」が「製品の評価」に,「安全健康志向」が「飼料の評価」に直接結びつくという,仮説に整合する結果が得られた.ただ,「店・価格への関心」は「食ライフスタイル」の2つの価値意識から直接の影響を受けてはおらず,「原料乳への関心」を介して間接的に影響を受けている.情報取得プロセスでは「原料乳への関心」が重要な媒介変数となっている.
(3) 考察表2は「食ライフスタイル」の2因子が他の潜在変数と「購買意欲」に及ぼす効果の大きさを整理したものである.2因子の「購買意欲」に対する総合効果は,それぞれ.17,.15と同程度であるが,「飼料の評価」を介した効果の大きさにはひらきがある.つまり,「食満喫志向」は多様な食材や料理を楽しむことを重視する価値意識であるが,これが「購買意欲」に及ぼす効果の7割以上はイアコーンソフトを話題性ある風味の良い高級食品として感性的に評価する直接効果に基づいており,「飼料の評価」に依拠する割合は低い.一方で,安全性の高い食材や健康な食生活を重視する「安全健康志向」が「購買意欲」に及ぼす効果の9割は,「飼料の評価」から影響を受けており,「プロセスの品質」の評価に基づく判断が下されている.製品の話題性等を評価し購入意思を示す「食満喫志向」より,安全性が高く健康や環境に良い飼料を給与しているという評価から購入意思を示す「安全健康志向」の消費者の方が,飼料に関連する情報をより精査して購買意思決定をする可能性が高いと考えられる.
| 食満喫志向 | 安全健康志向 | ||
|---|---|---|---|
| 標準化総合効果 | 原料乳への関心 | 0.24 | 0.32 |
| 店・価格への関心 | 0.14 | 0.18 | |
| 飼料の評価 | 0.10 | 0.31 | |
| 製品の評価 | 0.30 | 0.26 | |
| 購買意欲うち「飼料の評価」を介した効果 | 0.170.04(24.4) | 0.150.13(89.4) | |
| 標準化直接効果 | 原料乳への関心 | 0.24 | 0.32 |
| 店・価格への関心 | 0.00 | 0.00 | |
| 飼料の評価 | 0.00 | 0.18 | |
| 製品の評価 | 0.21 | 0.00 | |
| 購買意欲 | 0.00 | 0.00 | |
| 標準化間接効果 | 原料乳への関心 | 0.00 | 0.00 |
| 店・価格への関心 | 0.14 | 0.18 | |
| 飼料の評価 | 0.10 | 0.13 | |
| 製品の評価 | 0.10 | 0.26 | |
| 購買意欲 | 0.17 | 0.15 | |
1)括弧内の数値は%を示す.
本研究では,自給飼料給与乳製品への販売方策の提示を目的として,消費者アンケート調査結果に基づき,購買意欲に影響する価値意識と製品情報の処理プロセスを検証した.その結果,「原料乳への関心」や「飼料の評価」を介して「製品の評価」が高まり,「購買意欲」に結びつくことが明らかになった.また,価値意識に焦点を当てると,「食満喫志向」は乳製品自体の感性的な評価に作用しているが,「安全健康志向」は飼料の評価を通し自給飼料給与乳製品の評価に影響していることが明らかになった.したがって,「食満喫志向」より「安全健康志向」に基づく購買行動の方が,飼料に関連する情報への精査を伴ったものである可能性が高いといえる.
以上の結果から,自給飼料給与乳製品の販売方策として次の3点が考えられる.第1に,「安全健康志向」の強い消費者に,国産飼料を利用した原料乳を使用し,環境負荷の低い生産体系に貢献しているという情報を提供していく必要がある.こうした飼料情報の提供によって,消費者が原料乳等の情報に対する関心を強め,「精緻化見込みモデル」における「中心的経路」を通じた情報の精査を行い,継続的な購買行動を示していくことが期待できる.第2に,「食満喫志向」の強い消費者に対しては,自給飼料による環境負荷低減効果を示すとともに,乳牛の飼養風景の映像を流したり売り場に飼料を展示したりするなど多様な媒体や方法で原料乳への認知,ひいては飼料の評価を高めていく必要がある.これらの情報提供のうち,飼養風景の映像や飼料の展示は,あくまでも周辺的な手がかりで原料乳への認知を高めようとするもので,「精緻化見込みモデル」における「周辺的経路」での態度変容を促そうとするものに過ぎない.そのため,こうした情報と同時に,自給飼料の環境負荷低減効果を示していくことで,中心的経路における情報処理への移行を促していくことがのぞまれる.ただ,第3に,原料乳情報や飼料への評価は,製品への評価を介して購買意欲に影響するのであり,製品自体の評価が低ければ購買行動にはつながらない.消費者にとって「プロセスの品質」は,風味の良さや高級感といった「製品に体現される品質」の裏打ちとなる要素であり,差別化には両品質の評価の向上が欠かせない.こうした消費者の認知構造を踏まえ,消費者がより理解しやすい形で品質を訴求していくことが重要といえる.
注