2023 年 59 巻 3 号 p. 129-136
This study aims to explore and analyze the efforts made by local governments, understand the concerns of officials responsible for promoting the establishment of “Region Management Organization (RMO)”, discuss and examine the types of external support sought by local governments, and examine the challenges they face in receiving such support. This study is based on a questionnaire survey on the initiatives for establishing the RMOs of local governments in Oita Prefecture. The results indicated differences in the policies and support systems implemented for establishing RMOs of local governments. Moreover, most administrative staff responsible for RMO promotion lacked prior experience with workshops. Furthermore, the study revealed that the staff had a high level of understanding of the administrative structures. However, they displayed a lower level of understanding regarding effective methods to motivate residents to participate in RMO initiatives. In terms of external support, the staff primarily sought expertise and information to aid them in their efforts.
少子高齢化や人口減少が進むなか,農村地域では集落機能の低下が進み,住民活動などの継続が困難になりつつある.この状況に対して,小学校区などを単位に,自治会をはじめとする地域内の様々な関係主体が協議組織を設立し,地域の自治能力,課題解決能力を再生しようとする動きが拡がっている.組織は,地域自治組織,まちづくり協議会,地域コミュニティ組織など様々な名称で呼ばれているが,総務省は,これらを地域運営組織(RMO; Region Management Organization)と統一して呼称している.総務省の政策的後押しもあり,その数は,年々増加し2021年現在,全国で6,064組織にのぼる(総務省地域力創造グループ地域振興室,2022).また近年では,農水省が,農地保全や農業に関する活動を積極的に取り込む地域運営組織を農村RMOと呼び,その設立を推進している.
このように政策として取り上げられるなか,地域運営組織の設立は行政主導で促されることが多い.そのため総務省の調査研究報告書でも,地域運営組織設立における行政の役割が整理され,支援制度の整備や担当職員への意識醸成,地域住民への協議運営などの技術的支援などが課題として列挙されている(総務省地域力創造グループ地域振興室,2020).
しかしながら,現場の市町村レベルの基礎自治体は,一般に,専門とする職員は存在せず,対応能力が十分でないことが多い.実際,行政の推進体制の不備が,住民主体でない形式的な組織設立に繋がっているとの指摘もある(山浦,2017).この問題に対応するには,研修などによる職員の能力向上や,外部の専門家の支援を受けることなどが考えられるが,いずれの対応を検討するにしても,まず,現場の自治体がどのような体制をとっているのか,担当する職員が,どのような能力を有しているのかを把握することが重要である.
しかし,これまでの地域運営組織に関する研究をみると,地域運営組織そのものの体制や人材確保に関することや(石本他,2020;中塚,2020;山浦,2022),専門的な立場として支援に関わる中間支援組織の役割に関するもの(三矢他,2014;若菜,2018)などであり,推進主体となっている基礎自治体とその職員に焦点をあてたものはほとんどない.川口他(2010)や山内他(2015)は,行政職員が主業務とは別に,担当地域を受け持つ地域担当職員制度の研究を実施しているが,行政職員としての関わり方の難しさやコミュニケーション能力の必要性を言及するに留まっている.
そこで,本稿では,基礎自治体職員の人材育成を進めるため,まず,その自治体の地域運営組織設立に関する体制と職員の対応能力の現状と課題を明らかにすることを目的として研究を行うこととした.また,そのことを通して,自治体職員にとって必要な外部支援がどのようなものか,支援を受ける上での課題とともに考察することも目的とした.
調査対象は,大分県内の基礎自治体(市町村)における地域運営組織の設立に関する取り組みである.大分県は,「ネットワーク・コミュニティ推進体制整備事業」を実施し,地域運営組織の設立支援を市町村に対して進めるとともに,中間支援組織のサポートを得ながら支援体制の整備を進めている先進県の一つである.対象として大分県を選定したのは,県全体として地域運営組織の設立を進めていることから,一定の条件下で取り組みの比較や担当職員の状況を把握しやすいこと,また,県全体としては福岡県などへの転出超過が続く一方で,県内では大分市への人口集中が進むという社会状況が,地域運営組織設立に取り組む全国の地方の基礎自治体に共通する状況と考えたためである1.なお,大分県には18市町村あるが,今回対象としたのは,実際に地域運営組織の設立を進めているとした17市町村である.
調査方法はアンケート調査である.期間は2022年8月から9月にかけて行った.調査にあたっては,まず県内でも先行して進める3つの市町の担当職員に対して,自治体の体制および担当として困ったことや,望まれる外部支援に関する予備的な聞き取り調査を行った.その上で,筆者が全ての市町村に電話をかけ,調査協力の要請を行い,その後,メールで質問票を送付した.
具体的な対象は,大分県内で地域運営組織設立の取り組みを行う市町村であり,その中で現在業務を担っている,または過去に担っていた職員(以下,担当職員)である.なお,大分県では,地域運営組織を「地域コミュニティ組織」と称しており,質問票でもその名称を用いたが,本稿では,地域運営組織に言い換えて用いる2.
質問票は2つのパートに分けて作成した.第1は,行政の体制についてのパートで,各市町村における地域運営組織の設立方針や進捗状況,推進体制などを各市町村の代表者1名に尋ねた.第2は,担当職員個人に焦点をあてたパートであり,基本属性や業務経験,地域運営組織業務に必要と思われる知識や技能の実態・必要度・支援ニーズなどを担当職員全員に尋ねた.知識や技能の具体的内容は,先述の総務省地域力創造グループ地域振興室(2020)の課題整理と,担当職員に対する予備調査の結果をもとに,必要と思われる事項を抽出,カテゴリー化して設定した.結果,行政体制,設立管理,支援スキルの3領域,計16項目を設定した(具体的内容は,後に,調査結果をまとめた表3で示すとおりである)3.
集計分析においては,「設立に向けた地域住民ワークショップ(WS)経験」の有無でのクロス集計も行った.これはWS経験を現場での実経験の代理変数として用いたものである.知識や技能は,住民と直接関わりながら設立を進めた実経験の有無が大きく影響するとともに,今後の自治体支援を考えたときに実経験者の意向を把握することは重要と考えたためである4.
アンケート調査の結果,大分県内で地域運営組織設立を促進する17市町村のうち15市町村から,40人の回答を得た.ただし,そのうち1市町村からは,担当職員に対する質問のパートの回答が得られなかったため,担当職員単位の質問の有効回答は39である.
概要は表1に示す.性別は男性が82.1%と高く,年代は30代,40代が64.1%と中心であるが,偏りなく分散していた.また60代以上の再任や非常勤と思われる者も存在した.在職期間や役職は,おおよそ年代に応じたもので,こちらも様々なキャリアの者が担当,回答している結果となった.
| 担当職員属性 | %(回答数) | |
|---|---|---|
| 所属市町村 | A自治体 | 5.0(2) |
| B自治体 | 7.5(3) | |
| C自治体 | *2.5(1) | |
| D自治体 | 5.0(2) | |
| E自治体 | 5.0(2) | |
| F自治体 | 2.6(1) | |
| G自治体 | 5.0(2) | |
| H自治体 | 7.5(3) | |
| I自治体 | 5.0(2) | |
| J自治体 | 7.5(3) | |
| K自治体 | 7.5(3) | |
| L自治体 | 10.0(4) | |
| M自治体 | 20.0(8) | |
| N自治体 | 5.0(2) | |
| O自治体 | 5.0(2) | |
| 性別 | 男性 | 82.1(32) |
| 女性 | 17.9(7) | |
| 年代 | 20代 | 12.8(5) |
| 30代 | 25.6(10) | |
| 40代 | 38.5(15) | |
| 50代 | 17.9(7) | |
| 60代以上 | 5.1(2) | |
| 在職期間 | 1–10年目 | 28.2(11) |
| 11–20年目 | 23.1(9) | |
| 21–30年目 | 33.3(13) | |
| 31–40年目 | 15.4(6) | |
| 役職 | 主事・主任 | 28.2(11) |
| 主査 | 33.3(13) | |
| 係長 | 17.9(7) | |
| 課長・部長 | 20.5(8) | |
| 担当業務経験 | 具体的な経験なし | 35.9(14) |
| 設立前の行政内調整 | 25.6(10) | |
| 住民代表者との調整 | 30.8(12) | |
| 設立に向けた住民協議 | 43.6(17) | |
| 組織・事業計画づくり | 23.1(9) | |
| 組織の継続発展の支援 | 30.8(12) | |
| WS経験 | 経験なし | 79.5(31) |
| 経験あり | 20.5(8) | |
1)*担当職員に対する質問パートの回答が得られなかった自治体.
担当職員の地域運営組織の設立における担当業務経験については,予備調査に基づき担当しうる業務を5つ示し,その経験があるかを複数回答で尋ねた.結果,回答者の35.9%(14名)が,「具体的な経験なし」であり,担当職員であっても現場経験がない者が一定数いることが分かった.経験がある中では,「設立に向けた住民協議の支援」は43.6%(経験あり25名のうちでは68.0%)と比較的多くの人が経験していた.また,地域運営組織設立に関するワークショップ(以下,WS)の経験については,79.5%が「経験なし」とし,「経験あり」としたのは20.5%だけであった.
表2に回答が得られた15市町村の地域運営組織設立に関する対応の結果を整理した.自治体として地域運営組織設立に対する考え方を尋ねたところ,設立方針としては,「できる限り全域での設立を目指している」が最も多く,8市町村,53.3%と全体の約半分を占めていることが分かった.一方,「必要性が高い地区を定めて設立を目指している」,「要望や課題が出た地区のみでの設立を目指している」としたのはそれぞれ3,4市町村であった.大分県下であっても全面的な推進を目指す,設立に積極的な市町村と,部分的な推進を目指す市町村が存在していることが分かった.
| %(回答数) | ||
|---|---|---|
| 方針 | できる限り全域での設立 | 53.3(8) |
| 必要性が高い地区を定めて設立 | 20.2(3) | |
| 要望や課題が出た地区のみ設立 | 27.7(4) | |
| 進捗状況 | 順調でない | 13.3(2) |
| どちらかと言えば順調でない | 6.7(1) | |
| どちらとも言えない | 20.0(3) | |
| どちらかと言えば順調 | 13.3(2) | |
| 順調 | 46.7(7) | |
| 策定 | 政策スケジュールや計画がある | 53.3(8) |
| 政策スケジュールや計画はない | 46.7(7) | |
| 推進体制 | 一つの担当課のみ | 46.7(7) |
| 複数の課(支所含む)で分担・協力 | 60.0(9) | |
| 兼務職員(地域担当職員)が協力 | 13.3(2) | |
| 担当課はない | 0.0(0) | |
1)n=15.
また,その設立の進捗状況を担当職員の主観として,順調であるかどうかと5段階で尋ねた結果では,「順調」,「どちらかと言えば順調」と答えた市町村が9つと比較的多い一方,「どちらとも言えない」も含め,順調とは言えない市町村も一定数存在することが分かった.これらと先にみた設立に対する方針との関係をクロス集計したところ,全面推進を目指している8市町村のうち5つは「順調」,1つは「どちらかと言えば順調」,「どちらかと言えば順調でない」「順調でない」とする市町村もそれぞれ1つずつあった.他方,部分推進を目指している7市町村のうちでは,2つが「順調」,1つが「どちらかと言えば順調」であり,3つが「どちらとも言えない」,1つが「順調でない」という回答であった.全面推進している自治体の方がやや順調とする割合が高いが,設立方針と進捗状況には大きな関係性はなく,ばらつきがある実態が明らかになった.
また,設立推進の政策的スケジュール,計画などを定めているかについては,8市町村が「政策スケジュールや計画がある(○○年までに○○カ所設立など)」,7市町村が「政策スケジュールや計画がない(住民の手上げやタイミングに応じるなど)」との回答であった5.これらの結果については,設立方針や進捗状況との関係性は確認されず,例えば,全面推進であるからスケジュールや計画を立てており,その結果として進捗状況は順調,というような関係が必ずしも成り立っていないことが推察された.
さらに,自治体内の推進体制については,どのような部署が関わっているかを複数回答で尋ねた.結果,「複数の課(支所も含む)の職員で分担・協力して推進」が最も多く9市町村であり,次いで,「一つの担当課の職員のみで推進」が7市町村,「担当課の職員と“地域担当職員”などと任命された兼務職員が協力して推進」しているのが2市町村であった.また,複数の課(支所含む)で分担・協力する市町村のうち,1つは,地域担当職員などと任命された兼務職員も配置していた.これらと設立方針や進捗状況との関係性も明確に確認されなかったが,地域担当職員を設置している2つの市町村は,設立に対する方針に違いがあるものの,2つとも「順調」と回答しており,手厚い職員の配置が,一定の効果に繋がっている可能性が示唆された.
次に,担当職員個人の対応能力を把握するため,行政体制,設立管理,支援スキルの3領域,16項目についての理解度を,1点「分からない」,2点「どちらかと言えば分からない」,3点「どちらとも言えない」,4点「どちらかと言えば分かる」,5点「分かる」の5段階で尋ねた.表3は,その結果を示したものである6.5段階それぞれの回答数を割合で示すとともに,平均点を算出し,WS経験の有無に分けて集計を行った.
| 1 分からない | 2 どちらかと言えば分からない | 3 どちらとも言えない | 4 どちらかと言えば分かる | 5 分かる | 平均点 | WS経験無n=31 | WS経験有n=8 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 行政体制 | ①設立が求められる理由や背景 | 0.0 | 2.6 | 5.1 | 46.2 | 46.2 | 4.36 | 4.32 | 4.50 |
| ②役所内での政策的位置づけ | 0.0 | 5.1 | 15.4 | 33.3 | 46.2 | 4.21 | 4.19 | 4.25 | |
| ③組織の多様な形態 | 2.6 | 5.1 | 25.6 | 41.0 | 25.6 | 3.82 | 3.77 | 4.00 | |
| ④地域運営組織との望ましい協働体制 | 0.0 | 7.7 | 25.6 | 46.2 | 20.5 | 3.79 | 3.77 | 3.88 | |
| ⑤大分県政における位置づけ | 12.8 | 28.2 | 30.8 | 25.6 | 2.6 | 2.77 | 2.81 | 2.63 | |
| 設立管理 | ⑥設立の手順やスケジュール管理 | 7.7 | 17.9 | 23.1 | 38.5 | 12.8 | 3.31 | 3.10 | 4.13 |
| ⑦住民の参加意欲を高める方法 | 12.8 | 25.6 | 41.0 | 12.8 | 7.7 | 2.77 | 2.61 | 3.38 | |
| ⑧望ましい行政の活動支援体制 | 7.7 | 15.4 | 35.9 | 33.3 | 7.7 | 3.18 | 3.06 | 3.63 | |
| ⑨行政職員としての関わり方 | 2.6 | 17.9 | 30.8 | 41.0 | 7.7 | 3.33 | 3.29 | 3.50 | |
| ⑩専門家や中間支援組織の活用方法 | 10.3 | 20.5 | 43.6 | 17.9 | 7.7 | 2.92 | 2.77 | 3.50 | |
| 支援スキル | ⑪WSや会議の企画運営の方法 | 7.7 | 25.6 | 35.9 | 23.1 | 7.7 | 2.97 | 2.84 | 3.50 |
| ⑫WSや会議での対話の進め方 | 10.3 | 23.1 | 38.5 | 20.5 | 7.7 | 2.92 | 2.77 | 3.50 | |
| ⑬WSや会議での意見のまとめ方 | 10.3 | 20.5 | 41.0 | 23.1 | 5.1 | 2.92 | 2.77 | 3.50 | |
| ⑭WSや会議の報告レポートの書き方 | 10.3 | 15.4 | 46.2 | 20.5 | 7.7 | 3.00 | 2.87 | 3.50 | |
| ⑮組織体制づくりの方法 | 7.7 | 25.6 | 38.5 | 28.2 | 0.0 | 2.87 | 2.77 | 3.25 | |
| ⑯事業性確保や財源確保の方法 | 7.7 | 12.8 | 48.7 | 30.8 | 0.0 | 3.03 | 2.97 | 3.25 | |
1)平均点およびWS経験有無の点数は,5段階評価を点数化して算出.
結果,特に,理解度が高い項目は,①「地域運営組織の設立が求められる理由や背景」(平均4.36,以下同じ),②「役所内での地域運営組織の政策的位置づけ」(4.21),③「地域運営組織の多様な形態について」(3.82),④「地域運営組織と行政の望ましい協働体制」(3.79)である.一方で,理解度が最も低い項目は,⑤「大分県政策における“地域コミュニティ組織”と“ネットワークコミュニティ”の関係の内容とその違い(表中では「大分県政における位置づけ」と要約)」(2.77),⑦「組織設立に向けて住民の参加意欲を高める方法」(2.77)である.
これらの結果を,WS経験の違いによって分析してみると,WS経験有りの人が経験無しの人に比べて,⑤大分県政における位置づけ,を除く全ての項目において理解度が高い.特に,⑥「組織設立に向けた手順やスケジュール管理」においては1点以上の差がある.また,支援スキルに関する⑪「WSや会議の企画運営の方法」,⑫「WSや会議での問い方,対話の進め方」,⑬「WSや会議での意見の整理・まとめ方」,⑭「WSや会議の活動レポート(広報誌や地区計画書)の書き方」については0.6点以上の比較的大きな差があることが確認された.
(2) 現場での必要度と外部に求める支援同様に,3領域,16項目について,担当職員の現場での必要度と支援ニーズを把握するため,「現場で必要と思うこと」,「外部支援者に教えて欲しい・相談したいこと」を,それぞれ上位3つ,順位をつけて選択を求めた.表4は,その結果を示したものである.1位から3位の回答を,重み付けせず複数回答と見なしてアフターコーディングした結果を「合計」として,その割合を示し,あわせてWS経験の有無による分析を行った.
| 現場で必要と思うこと | 外部支援者に教えて欲しい・相談したいこと | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 順位 | WS経験 | 順位 | WS経験 | ||||||||||
| 1位 | 2位 | 3位 | 合計 | 無n=31 | 有n=8 | 1位 | 2位 | 3位 | 合計 | 無n=31 | 有n=8 | ||
| 行政体制 | ①設立が求められる理由や背景 | 28.2 | 12.8 | 0.0 | 41.0 | 45.2 | 25.0 | 7.7 | 2.6 | 0.0 | 10.3 | 6.5 | 25.0 |
| ②役所内での政策的位置づけ | 5.1 | 5.1 | 5.1 | 15.4 | 16.1 | 12.5 | 0.0 | 5.1 | 2.6 | 7.7 | 9.7 | 0.0 | |
| ③組織の多様な形態 | 0.0 | 2.6 | 5.1 | 7.7 | 9.7 | 0.0 | 5.1 | 0.0 | 5.1 | 10.3 | 12.9 | 0.0 | |
| ④地域運営組織との望ましい協働体制 | 5.1 | 17.9 | 23.1 | 46.2 | 48.4 | 37.5 | 7.7 | 10.3 | 12.8 | 30.8 | 29.0 | 37.5 | |
| ⑤大分県政における位置づけ | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 2.6 | 2.6 | 3.2 | 0.0 | |
| 設立管理 | ⑥設立の手順やスケジュール管理 | 5.1 | 5.1 | 0.0 | 10.3 | 6.5 | 25.0 | 5.1 | 2.6 | 5.1 | 12.8 | 9.7 | 25.0 |
| ⑦住民の参加意欲を高める方法 | 38.5 | 15.4 | 10.3 | 64.1 | 61.3 | 75.0 | 46.2 | 12.8 | 5.1 | 64.1 | 58.1 | 75.0 | |
| ⑧望ましい行政の活動支援体制 | 2.6 | 5.1 | 2.6 | 10.3 | 9.7 | 12.5 | 5.1 | 5.1 | 5.1 | 15.4 | 19.4 | 12.5 | |
| ⑨行政職員としての関わり方 | 2.6 | 7.7 | 15.4 | 25.6 | 29.0 | 12.5 | 5.1 | 12.8 | 17.9 | 35.9 | 41.9 | 12.5 | |
| ⑩専門家や中間支援組織の活用方法 | 0.0 | 0.0 | 5.1 | 5.1 | 3.2 | 12.5 | 0.0 | 2.6 | 2.6 | 5.1 | 6.5 | 0.0 | |
| 支援スキル | ⑪WSや会議の企画運営の方法 | 2.6 | 2.6 | 7.7 | 12.8 | 9.7 | 25.0 | 2.6 | 12.8 | 12.8 | 28.2 | 22.6 | 50.0 |
| ⑫WSや会議での対話の進め方 | 2.6 | 7.7 | 2.6 | 12.8 | 6.5 | 37.5 | 2.6 | 7.7 | 10.3 | 20.5 | 19.4 | 25.0 | |
| ⑬WSや会議での意見のまとめ方 | 0.0 | 0.0 | 2.6 | 2.6 | 0.0 | 12.5 | 0.0 | 0.0 | 7.7 | 7.7 | 3.2 | 25.0 | |
| ⑭WSや会議の報告レポートの書き方 | 0.0 | 2.6 | 0.0 | 2.6 | 3.2 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |
| ⑮組織体制づくりの方法 | 5.1 | 10.3 | 7.7 | 23.1 | 25.8 | 12.5 | 10.3 | 17.9 | 5.1 | 33.3 | 38.7 | 12.5 | |
| ⑯事業性確保や財源確保の方法 | 2.6 | 5.1 | 12.8 | 20.5 | 25.8 | 0.0 | 2.6 | 7.7 | 5.1 | 15.4 | 19.4 | 0.0 | |
1)「合計」は,各順位の回答があったものを複数回答として集計した値.
2)WS経験の有無は,複数回答とした「合計」をWS経験有無によりクロス集計した値.
3)「現場で必要と思うこと」,「外部支援者に教えて欲しい・相談したいこと」では,1位,2位,3位,それぞれの1位と,「合計」の上位3位を太字で表した.
まず,現場で必要と思うことで1位が最も多いのは⑦住民の参加意欲を高める方法,38.5%であり,2,3位をあわせた合計でも64.1%と最も高かった.次いで1位で多かったのは,①設立が求められる理由で28.2%であった.ただし合計をみると41.0%であり,④地域運営組織との望ましい協働体制の46.2%より低い値であった.
一方,外部支援者に教えて欲しい・相談したいことは,比較的分散する結果であるものの,1位とする数が最も多かったのは,⑦住民の参加意欲を高める方法,46.2%であり,合計も64.1%と高い値であった.これは,次に続く,⑨「組織設立における行政職員としての住民との関わり方や立ち位置,コミュニケーションの取り方(表中では,「行政職員としての関わり方」と要約)」35.9%,⑮「組織体制づくりの方法」33.3%であり,④地域運営組織との望ましい協働体制30.8%,などの2倍程度の値であった.
逆に,必要と思うことで2,3番目に高かった①設立が求められる理由や背景,④地域運営組織との望ましい協働体制といった,行政体制の領域においては,教えて欲しい・相談したいことでは,高くなかった.これは外部支援者に頼らずとも,自ら理解を高め,解決しやすい内容であるためと推察する.その他,逆に双方とも特に低かったものは,③組織の多様な形態,⑤大分県政における位置づけ,⑩「組織設立における外部の専門家や中間支援組織の活用方法」,⑬WSや会議での意見のまとめ方,⑭WSや会議の報告レポートの書き方などであった.
次にWS経験の違いについて見ると,①設立が求められる理由や背景では,比較的大きな差があり,WS経験無しの人が,現場でより必要と考える一方で,求める支援の優先度は低い.これは,その説明の必要性があると感じるものの,⑨行政職員としての関わり方など,他の項目と比較すると自らの力である程度対処できると考えた結果と推察する.
さらに⑨行政職員としての関わり方,⑮組織体制づくりの方法や,⑯「事業性確保や財源確保の方法」などは,WS経験による差が,必要度,支援ニーズとともに比較的大きく,現場経験の少なさからくる不安が反映された結果と考えられる.なお,⑪~⑬のWSの技能関連の項目では,全体の中での優先度は低いものの,WS経験有りの人の方が,その必要性を理解し,支援も求めたいとする回答が多かった.
(3) 中間支援組織へのニーズ最後に,担当職員が地域運営組織の設立に取り組む上で中間支援組織に期待する役割について尋ねた結果を表5に示す.担当職員が中間支援組織に期待すると思われる4つの役割として,「専門的な知識や情報を提供してもらうこと」,「行政と住民の間で,中立または第三者的な立場であること」,「ペースメーカーとして設立プロセスを先導・点検してもらうこと」,「困りごとや悩みがあった時の身近な相談相手」を示し,求める順に,1位から4位まで順位を付けて回答することを求めた.
| 中間支援組織に期待する役割 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | |
| 専門的な知識や情報提供 | 53.8 | 25.6 | 15.4 | 5.1 |
| ペースメーカーとしての先導・点検 | 20.5 | 41.0 | 23.1 | 15.4 |
| 身近な相談相手 | 12.8 | 20.5 | 43.6 | 23.1 |
| 第三者的な立場 | 12.8 | 12.8 | 17.9 | 56.4 |
結果,1位として多かったものは,専門的な知識や情報提供へのニーズ,53.8%であり,半数以上の人が求めていた.次いで,ペースメーカーとしての先導・点検が,1位20.5%,2位41.0%と重視されていた.そして,身近な相談相手,第三者的な立場を1,2位とする回答は少なく,それぞれ,3位,4位で最も多い結果であった.なお,WS経験の有無による違いも確認したが,期待する役割の順位に変化は見られなかった.
以上,本稿では,大分県下の自治体やその担当職員が地域運営組織設立促進にどのような対応を行っているのか,その現状を支援ニーズとともに把握することを目指した.その結果,市町村の対応としては,ほとんどで地域運営組織の設立を促していることが分かったが,全域での設立を目指す市町村と,部分的な推進を目指す市町村が併存していることが分かった.推進の計画やスケジュール,体制も様々であり,一様でない現状が明らかになった.
なお,市町村の設立方針と進捗状況の関係から,全域での設立を推進する市町村,特別に地域担当職員を置いている市町村においては,比較的順調に進む傾向を確認できた.このことは,行政が基本的な支援体制を整えることの重要性,行政の役割の大きさを再認識させる結果であった.
(2) 担当職員の対応能力次に,担当職員の対応として,業務に関する理解度とニーズを考察する.まず結果から分かったことは,行政体制に関する領域は理解度が比較的高いこと,設立管理,支援スキルに関する領域は理解度が低いことであった.ただし,行政体制の中でも,大分県政における位置づけの理解度は低い結果であり,県による周知や研修などの対策が望まれる点である.また,特に,WSの企画や運営などの支援スキルは低い結果であったが,これは,WS経験の有無によって差が確認された.このことは逆に経験によって習得できることを示唆する結果とも言える.周辺的な参加も含めて,経験の機会を積極的に創出することが課題であろう.
(3) 自治体職員が求めている外部支援地域運営組織業務に関する知識や技能のなかで,自治体職員が最も求めているのは住民の参加意欲を高める方法であった.さらに,行政職員としてどのように地域と関わればよいかという悩みも大きく,支援ニーズが高いことが確認された.つまり,自治体職員は,住民と対話する中で,住民に地域のことを自分事として考えてもらえるような働きかけが出来るようになりたいと思っているが,どのように住民との関係性を構築すれば良いか分からず,支援を欲しているという現場の課題が浮き彫りになった結果といえる.
課題解決のためには,研修などの専門的なトレーニングを受け能力向上を図ることが求められる一方で,自治体職員という立場自体が,住民との良好な関係性構築の障害になるという構造的問題も認識する必要がある.中間支援組織,大学,コンサルタントといった第三者的な立場の者の介入を求めるなど体制として解決方法を探ることも必要であろう.ただし,行政職員としての関わり方については,WS経験者は,それほど支援を必要としていないという調査結果も確認された.不安が先行しており,実践の中で解決されるという面があることも推察される.
また,自治体職員が外部支援機関に求める役割としては,直接的には,専門的な知識や情報の提供やペースメーカーとしての先導・点検などが上位にあげられた.しかしながら,本稿で示したように,各自治体の地域運営組織設立に関する状況は多様である.当然,支援ニーズも,置かれる状況に応じて異なり,変化もすると考えられる.状況に応じた詳細なニーズ分析は今後の研究課題としたい.
なお,今回は,地域運営組織業務に関する知識や技能について,自治体職員の立場から理解度や支援ニーズを把握した.今回明らかにした結果を踏まえ,支援側の対応について研究をすすめることは今後の課題である.また,調査対象を他府県にもひろげ,事例を重ねることで結果の妥当性を高めることも今後の研究上の課題としたい.