抄録
「『令和の日本型学校教育』」の構築を目指して」では,“主体的・対話的で深い学び”のさらなる実現に向けて,個別最適化が提唱され,“個別最適な学び”と“協働的な学び”の充実,それらの往還が求められた(文部科学省,2021)。個別最適な学びは個人差への対応,個性の伸長へのアプローチであり,すなわち,個への対応が求められている。筆者は,個の特性やつまずきを知ることが,個への援助支援の第一歩であると考える。本稿では,まず読解に焦点を当て,数理論理(情報),認知心理学の立場からの先行研究より,算数に関わる子どものつまずきとその要因についての知見を得る。次に,その知見に教科教育の立場からの解釈を加え,算数科から見たつまずきとその要因を検討する。そして,子どもが学習者として自立できるよう,教授場面での「算数における読解」に関する子どものつまずきに対する学習支援について検討する。