農村計画学会誌
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論文
気候変動に関するインドネシア農民の認識
-インドネシア中部ジャワ州カランアニャル地区における事例研究-
ロザキ ズフッドコマリアスマニシ・デウィ ウィデイヤットミ吉山 浩平伊藤 健吾千家 正照
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2017 年 36 巻 1 号 p. 59-66

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抄録

人間生活に与える気候変動の影響は避けがたく,とくに農業への影響は顕著である。ほとんどの国民が農業に従事しているインドネシアでは,多くの農家が気候変動の影響を感じ始めている。そこで,現在と過去における害虫による被害,水の充足,収穫被害の頻度に関する認識について,農家にインタビュー調査を実施し,集計したデータを統計分析した。その結果,雨季の初めの降雨がしばしば不安定であるため,農家は第1作目の作付け時期を遅らせており,そのため,第2作目の途中から乾季となり収穫が不安定になっていることが示された。本研究はこうした結果を踏まえて,農家が水不足の懸念なく雨季の初めから第一作目を開始できるよう圃場内に小規模貯水池を建造することを提案し,このような小規模貯水池は,収穫不良の原因となる雑草や害虫が発生しないよう水田内を湛水状態に維持するための用水を供給することもできる点を指摘した。

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