農村計画学会誌
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緑地機能分級と用地分級
農村土地利用計画における自然立地的土地分級
石田 憲治亀山 章
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1984 年 3 巻 1 号 p. 16-25,58

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抄録

本論は, 緑地機能の評価を基礎に農業的土地利用と都市的土地利用の調整をはかる手法について考究したものである。意思決定主体の最小行政単位である市町村段階において, 土地利用計画調整をシステム的に実施する方法を整備していくことは, ゾーニングの基本的理念を実現する上で極めて重要と思われる。市町村段階における土地利用計画調整は, 主として農業的, 都市的土地利用のいわゆる線引き調整上の問題として, 両側面の土地利用適性を用地1) 単位で明らかにし, 調整の根拠とすることが提案され, その基本的考え方が整理されてきた (新農村開発センター, 1978; 北村, 1980; 石田, 1981) 。この中で, 用地分級2) を行う際に用いられる要因には自然条件, 交通条件, 社会的条件が総合的にとり挙げられてきた。ところで, 従来の用地分級手法は線引き調整という視点から, その対象空間が主として平地部であり, 土地の自然的立地条件は均一なために評価の基準になることは少なかった。しかし, 土地利用調整の問題を都市対農村の土地利用調整に限定することなく, また, 対象空間を傾斜地や山麓を含めてより幅広く考察しようとするならば, 自然的立地条件に適した土地利用, すなわち自然立地的土地利用適性の評価が積極的にとり込まれる必要がある、そこで本論では, 土地の自然潜在力の評価を行う手法として, 自然立地単位区分をもとにした用地単位を設定することとした。さらに, 自然立地適性の評価手法として, 従来の用地分級システムではとり入れることが難しかった緑地機能の評価も導入することとした。緑地機能の評価は自然立地単位区分と組み合わせることによって実現性が高められるものと考えられる。

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