抄録
陽当りと水はけ, 清浄で豊富な水は生活の基本的な要件であって, 都市・農村を問わない。古来, 人はこのような要件のかなう土地を求めて住み, 条件の悪い土地に住むことになってしまった人々は, 要件をみたすために様々な工夫をし, 条件を改善して住みついてきた。
永い歴史をもつ農村の集落は, ひとつひとつがそれぞれの時代の技術水準に応じて, 先人がつくりあげてきた遺産の集積であるといえよう。
ところが, 近年の都市化・工業化等経済社会の急激な変化は, 農村社会にも及んで, 住民自らの対応できる限度をはるかに越えてしまい, 従来の施設, 旧来の秩序では充分に機能しえなくなったというのが現状である。したがい生活環境の保全にも種々の公的施策を必要とするようになったのである。
農村計画は, このような現状に対して, 現に問題があればそれを解決し, さらに将来を見通して, より住みよく豊かな農村とするための処方を示しうるものでなければならないであろう。
水のかかわりは普遍的で, 境界を明確にすることは至難であるが, この稿では与えられたテーマ 「 生活環境からみた水計画 」 に即して, 現にどのような問題が生じているか, その要因は何か, を検討し, 次に生活環境を主に生産環境へも視野を広げながら, どうあるのが望ましいかを展望の上現在から将来にわたる対策を求めることとしたい。