応用地域学研究
Online ISSN : 2435-4414
Print ISSN : 1880-960X
ISSN-L : 1880-960X
招待論文
日本の地域間賃金格差における移住によるソーティング効果の測定
中島 賢太郎岡本 亮介
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 2019 巻 23 号 p. 1-23

詳細
抄録

本論文は、賃金格差に対するソーティングの効果を測定するものである。まず、日本における個票データを用いて、賃金関数を推定することで、各労働者固有のスキルを推定する。その結果、大都市圏居住の労働者は、非大都市圏居住の労働者よりも平均で9.68%高いスキルを持つことが示されたさらに、移住によるソーティングの効果を測定するため、移住が存在しない(労働者が出身地に留まる)仮想状況を想定し、その下での労働者の地域間スキル格差を計測した結果、スキル格差は5.56%となることが分かった。これは、移住が賃金格差を22.0%拡大させていることに対応する。これらの結果から、出身地による格差と移住行動の両方が賃金格差にとって重要であるということが言える。さらに本論文では、移住によるソーティングの様相が、労働者属性によって異なることも分かった。

著者関連情報
© 2020 応用地域学会
次の記事
feedback
Top