美術による学び
Online ISSN : 2435-6573
造形表現活動の好き嫌いからみえてくる「自己」と「他者」に対する認識の違い
―「好き」になってもらうための教授方法について―
増本 達彦鏡原 崇史
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 3 巻 5 号 p. 1-19

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抄録

本研究では、保育士・幼稚園教諭を目指す大学生における①造形表現活動の好き嫌いの割合、②造形表現活動を好きになる要因及び嫌いになる要因を明らかにすることを目的とした。保育学生83 名に対してアンケート調査を行った結果、「好き」49 名(59%)、「嫌い」18 名(22%)、「どちらでもない」16名(19%)と、保育学生の半数以上が造形表現活動に対して肯定的なイメージを有していることが示された。また、好き嫌いの理由について計量テキスト分析を行った結果、造形表現活動における正解のなさや「他者」の存在が「好き」の要因であると同時に、「嫌い」の要因でもあることが示された。「他者」の存在は、多様性に気づく要因の一つであり、同時に劣等感の原因や「自己」の努力の成果を脅かす存在とも捉えられていた。さらに、技術的な困難も「嫌い」の要因として影響していることが明らかとなった。以上をふまえ、保育学生が造形表現活動を好きになるような教授方法についての提案を行った。

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