本論文では、現実環境に情報を付加表示した拡張現実(AR:Augmented Reality)内で、エンタテインメントを求めたアクアリウムのシミュレーションシステムを提案する。WEB カメラでリアルタイムに撮影された利用環境に、コンピュータグラフィックスで作成された魚等の3D モデルを付加させた映像を、ディスプレイを通して映し出すことによりユーザがあたかも魚が身近にいるように感じられるようになっている。本論文では、エンタテインメントの要素として、「インタラクティブ性」と「コミュニケーション性」、「意外性」に着目してアプリケーションを実装している。「インタラクティブ性」に関しては、AR を用いる事で、リアルタイムに表示されるオブジェクトにユーザの操作を反映させている。 「コミュニケーション性」に関しては、ユーザどうしが魚を育成しあい、成長の過程をTwitter に書き込んで行く事で、ユーザ間の関わりができるようになっている。また、入力画像中の色情報より魚の選択が行われ、さらにユーザが発する音に応じて、虹が出現し「意外性」を表現している。評価実験により、「インタラクティブ性」、「コミュニケーション性」、「意外性」の点で、既存のアプリケーションよりも良い結果が得られた事が確認されている。