芸術科学会論文誌
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一般論文
「スーラブラシ」:新印象主義的点描画ブラシの実装
渡邉 賢悟宮岡 伸一郎
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2013 年 12 巻 1 号 p. 48-56

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抄録
新印象主義画家による点描画法は,現在でも多くの人々にとって魅力的な絵画技法である.しかし魅力的な技法であっても,細かな点を大量に描画する描法は画家への負担も大きく,現在ではあまり用いられていない.そこで本研究では,短時間で容易に点描を描画できる点描画ブラシの実装を提案する.ユーザが従来のペイントツール同様のブラシ描画を行うと,ストローク部分に多数の点描を自動描画するブラシを作成する.このとき描画する点描に新印象主義の表現を取り入れるため,同主義の代表的な画家ジョルジュ・スーラの2作品「春のグランド・ジャットのセーヌ川」と「ポーズする女たちの習作」,特に後者作品に着目して解析を行う.点描画共通の特徴である「筆触分割」「補色対比」に加え,スーラ独自の「太陽光の描画」と「白絵の具の混色」などの特徴を抽出し,点描画ブラシの表現に活用する.作成したブラシを用いて実際に点描画作品を制作し,その実用性および有効性を示す.
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