2015 年 14 巻 5 号 p. 220-228
本論文ではジェネラティブアートの生成手法としてコンピュータ駆動された蝋燭によって生じる煤を描画に利用する手法を提案し,実装を行った.Sootoidと名付けられた本システムの最大の特徴は人間のプログラミングによる蝋燭の動きと,自然現象として制御不可能な蝋燭の炎の動きの組み合わせである. Sootoidはマクロにはプログラム可能な再現性があるシステムを用いたにもかかわらず,ミクロには蝋燭の炎という再現性のない描画を利用している.そのため,従来ではジェネラティブアートにおいてシステム内の乱数を用いて行っていたノイズの生成を,システムに固有の特性として保持しており,一般に画面上では乱数によって行われていたジェネラティブアート作品の生成を実空間のゆらぎを利用して行うことが出来る.