2016 年 15 巻 2 号 p. 66-74
本論文では,デジタルイラストがレイヤーごとにオブジェクトを分けて描画されることに着目し,レイヤー構成されたデジタルイラストを立体視画像へ変換する手法を提案する.立体視画像を作成する手法としては,3DCGを用いる方法やDepth Mapを用いる方法があるが,3Dモデルを作成したり距離情報を持った画像の用意をしたりという手間が必要である.本論文では,一般的な2Dのイラストを描く技術だけを使って容易に立体視画像を作れることを目的とする.提案手法では,レイヤーを地面要素,壁要素,物体要素,その他要素という4種類の要素に分類し,それぞれの要素の位置関係に基づく幾何学変換を施して立体視画像を生成する.本手法を実装したアプリケーションを作成し,立体視画像生成実験を行い,デジタルイラストが違和感のない立体視画像に変換されることを確認した.