2021 年 20 巻 2 号 p. 101-107
近年,日本では15 歳以上の約6割の人が運動不足だと言われている.運動不足解消には有酸素運動と無酸素運動のどちらも行うのが有効である.しかし,単調な運動は継続することが難しい.また,高齢者や何らかの障害を抱えた低体力者は,低強度で休息を許す有酸素運動に限定される.本研究では,環境を変えることが運動の継続性を高めるかを実験により明らかにすることを目的とし,バイクをこぐ有酸素運動を行う際の室内照明色を,赤,緑,青,照度3段階の白色に変化させたときの,アンケートによる心的負荷及び自覚的運動強度,心拍数を観測した.実験の結果,カルボネン方式による20%強度の低強度有酸素運動において,赤色照明が青や白色光に比べて被験者を興奮させ,逆に白色光は赤色照明よりも被験者をリラックスさせることが分かった.これらの心理的な有意差が現れた一方で,身体面(心拍数)には照明色の違いによる影響はなかった.