エンタテインメントは私たちの生活を豊かにするとともに,経済的にも大きな影響力を持っている.近年のエンタテインメントは多様化しつつあり,従来のゲーム,アニメ,映画,体験型アトラクションなど個々が独立したものではなく,横断的に体験できるものも増えてきている.しかしアニメやゲームなどの特定分野の専門スキルを習得するカリキュラムは実施されているが,エンタテインメントは多様であるため必要となる知識やスキルも幅広く体系化が難しい.またxR(VR/MR/AR), リアルタイムCG, ゲームAI, IoT(internet of things)などの高度な技術を利用したものが増えているが,既に開発されたツールを活用するだけでなく,原理に遡って理解することや独自の新技術を開発できることも重要となる.本稿では,エンタテインメント工学教育のコンピテンシーを,基礎力,デザイン力,プロデュース力に整理するとともに,大学の学部や前期・後期課程の大学院を想定したカリキュラムの構成例について述べる.また筑波大学での2002年からの学部や大学院での授業例と研究事例を紹介するとともに,今後の課題について考察する.
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