抄録
本研究は,植物になったかのような疑似体験により,観察者の共感を向上させる手法の開発を目的としている.本手法は植物が感じている刺激を視覚,聴覚,触覚情報として観察者にフィードバックするシステムを開発する.本手法の有効性を評価するために実験は2つ行い,実験1では植物の視界を体験する場合としない場合で比較した.その結果,植物の視界を体験する条件では観察者は植物との心理的な距離が接近したと報告した.実験2では,観察者にフィードバックする刺激を視覚,聴覚,触覚刺激を組み合わせた時に共感に与える影響について検証した.その結果,観察者にフィードバックする刺激を増加させることで心理的な距離が改善され,植物への共感が生起しやすい状態になっていることが示唆された.