2016 年 28 巻 p. 1-5
【目的】本研究の目的はランプ運動負荷時の連続心拍変動スペクトル解析によるheart rate variability threshold(HRVT)の判定基準の妥当性を検討することである。
【方法】運動負荷試験における対象は若年成人21名とし,検者は臨床経験5年以上の5名とした。自転車エルゴメータによるランプ運動負荷試験を実施し,呼気ガス分析により嫌気性代謝作業閾値(AT)の測定と心電波形から連続心拍変動スペクトル解析を実施した。検者は21名のスペクトル解析結果をもとに,定められた基準にしたがってHRVTを判定した。
【結果】検者間級内相関係数は0.90と高い一致をみた。AT時の心拍数と各検者が判定したHRVTの心拍数とのピアソン積率相関係数は0.58と有意な相関関係を示した。
【結語】本研究の結果から,連続心拍変動スペクトル解析を用いたHRVTの判定基準は信頼性の高いことが明らかとなった。また,AT時の心拍数とも有意な相関関係がみられたことから,解析法の妥当性についても肯定的な結果となった。