2019 年 31 巻 p. 33-39
【目的】 成人脊柱変形(ASD)患者の歩行能力に対する脊柱アライメントの影響を検討すること。
【対象】 女性ASD患者10名。
【方法】 歩行能力は連続歩行可能であった距離を測定値として用いた。脊柱アライメントは,立位姿勢における静的脊柱アライメント(静的体幹・骨盤傾斜角)と,歩行時における動的脊柱アライメント(動的体幹・骨盤傾斜角)をそれぞれ測定した。連続歩行可能距離に対する静的および動的脊柱アライメントの影響を検討した。
【結果】 連続歩行可能距離に対して,動的体幹傾斜角が有意な影響を及ぼす因子であった (β=0.77,R2=0.54)。
【結語】 ASD患者の歩行能力には,静的脊柱アライメント不良よりも動的脊柱アライメント不良が影響を及ぼした。これは,従来までの静的脊柱アライメント測定のみでは不十分であり,実際の歩行場面での動的脊柱アライメント測定を行う必要性が示唆された。