2021 年 33 巻 p. 68-74
平成30年北海道胆振東部地震および令和元年東日本台風において,Disaster Medical Assistance Team(以下:DMAT)の業務調整員として活動し,避難所に関する情報の取りまとめや避難所での評価を行い,理学療法士が被災混乱期から避難者に介入する必要性について検討した。医療行為が必要な避難者に対しては,DMATによる評価や介入が可能であったが,ADL低下の可能性が考えられる避難者に対しては,医師・看護師の専門領域外であるADLや環境因子などの評価が必要となるため,評価不足の項目やDMAT単独での介入が困難な事例があった。理学療法士による活動が開始されていない被災混乱期における避難者の評価は,特に身体機能やADL,環境因子に関する評価が不足しやすく,有効な介入を行うまでに時間を要する可能性が高い。リスク管理を行いながら評価し介入ができる理学療法士が,被災混乱期から避難者の評価を開始することで,医療ニーズの簡便な把握が可能であるとともに,特にADL低下の可能性や環境調整が必要と考えられる避難者に対して,より迅速な介入が可能になると考える。