東北理学療法学
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33 巻
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巻頭言
目次
研究論文
  • 鈴木 博人, 松坂 大毅, 嶋田 剛義, 我妻 昂樹, 鈴木 誠, 藤澤 宏幸
    2021 年 33 巻 p. 1-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    本研究では,動作の連合における結合動作を学習課題として取り上げ,全体法と部分法の運動学習効果の差異を明らかにすることとした。

    【対象】対象は健常青年 18 名とし,無作為に全体法群と部分法群の 2 群に割り付けた。

    【方法】学習課題としてレバー操作動作と把握動作を組み合わせた結合動作課題を採用し,被験者にはできるだけ早く正確にカーソルを操作するように求めた。練習前テストを実施した後,二日間の練習期間を設け,最後に保持テストを行った。また,データ解析としては,所要時間と標的誤差,およびそれぞれの変動係数を算出した。

    【結果】全体法群は練習前テストから練習期間を通して有意に所要時間を短縮させ,そのパフォーマンスを保持テストまで維持した。また,保持テストにおいては,部分法群よりも所要時間の変動係数が有意に小さかった。

    【結語】結合動作の運動学習において,速度を優先しやすい設定の場合には全体法が有益であることが示唆された。

  • 川上 真吾, 榊 望, 藤澤 宏幸
    2021 年 33 巻 p. 12-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    自動車アクセルペダル,ブレーキペダルの踏み換え動作における下腿回旋運動を含めた下肢運動方法を明らかにすること。

    【対象】健常成人9名とした。

    【方法】自動運転におけるペダル踏み替え動作をビデオ撮影し,大腿部の変位角および下腿回旋角を算出した。

    【結果】踵部を床面に接地してペダル踏み替え動作を行う場合,最大で25.9±7.1度の下腿外旋運動を認めた。

    【結語】頻度が多かった,踵を床面に接地した状況でのペダル踏み替え操作では,下腿回旋運動が寄与していた。

  • 鈴木 園恵, 古川 勉寛, 小林 大介
    2021 年 33 巻 p. 19-24
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    我々は,超音波エコーを用いて横隔膜厚を計測する位置に表面電極を貼付することで,横隔膜の筋活動が導出できるか試みた。方法:健常成人男性7名を対象とし,肺活量,横隔膜厚及び4位置の表面筋電図の計測を行った。結果:横隔膜の筋活動は,先行研究で使用される位置(ch 2)と新たな電極貼付位置(ch 4)間に相関が認められた(r=0.89,p<0.01)。併せて横隔膜厚の変化とch 2の筋活動間(r=0.76,p<0.05),及びch4の筋活動間(r=0.76,p<0.05)に相関が認められた。そのことから,超音波エコーで横隔膜厚を計測する位置に表面筋電図を貼付することにより,横隔膜の筋活動を計測できる可能性が示唆された。

  • ~回復期リハビリテーション病棟入棟時の因子を用いて~
    岸 広樹, 渡辺 光司
    2021 年 33 巻 p. 25-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【目的】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)に入棟した脳卒中患者を対象に長下肢装具(以下KAFO)から短下肢装具(以下AFO)へのカットダウン移行期間に関連する回復期入棟時の因子を明らかにすることを目的とした。

    【対象】回復期入棟時より歩行練習においてKAFOを必要とした脳卒中患者のうち,KAFOからAFOへカットダウンし最終的に歩行自立または監視に至った38名。

    【方法】後方視的に回復期入棟時の患者特性及びカットダウン移行期間を調査した。従属変数をカットダウン移行期間,独立変数を年齢,性別,脳卒中の既往歴の有無,Fugl-Meyer Assessment下肢項目(以下FMA-LE),半側空間無視の有無,FIM運動項目(以下mFIM),FIM認知項目とし重回帰分析を行った。

    【結果】カットダウン移行期間に関連する因子としてFMA-LE及びmFIMが抽出された。

    【結語】カットダウン移行期間の長期化には回復期入棟時のFMA-LE及びmFIMが低値であることの関連が示唆された。

  • -肩関節外旋制限モデルを用いて-
    松坂 大毅, 鈴木 博人, 我妻 昂樹, 村上 賢一, 鈴木 誠, 藤澤 宏幸
    2021 年 33 巻 p. 32-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では理学療法士のストレッチング技術について,運動指導未熟練者と比較することで,その技術特性を定量的に明らかにすることとした。

    【方法と対象】対象者は,臨床経験年数を5年以上有する者10名を理学療法士群,運動指導経験のない者10名を対照群とした。測定課題は肩関節外旋方向へのスタティックストレッチングおよびバリスティックストレッチングとした。データ解析として,角度,速度,固定性,トルク値を算出した。

    【結果】バリスティックストレッチングにおける角度,速度,固定性にて,理学療法士群が有意に低値を示した。

    【結語】理学療法士はバリスティックストレッチングにおいて,適切に起始部を固定し,短い時間かつ小さい角度幅で実施する特徴が示された。

  • デジタルビデオ動画から測定した時間変数を用いた検討
    関 裕也, 対馬 栄輝
    2021 年 33 巻 p. 41-46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    本研究では,在宅で生活していて歩行自立度が監視レベル以上の脳卒中片麻痺者31名を対象として,至適歩行時の重複歩時間と,デジタルビデオ動画から測定した時間変数(麻痺側荷重応答期時間・麻痺側単脚支持期時間・麻痺側前遊脚期時間・麻痺側遊脚期時間)との関連を検討している。重回帰分析の結果,重複歩時間には麻痺側荷重応答期時間が最も強く関連した。この結果より,臨床における歩行分析の際,デジタルビデオ動画から測定した麻痺側荷重応答期時間は,重要な指標になると考える。

  • ~AT 値での心拍数と近似する心拍数設定~
    舟見 敬成, 根田 真澄, 佐藤 聡見, 永沼 和香子, 小野 正博
    2021 年 33 巻 p. 47-53
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【目的】β遮断薬投与中の心不全患者に対し,在宅や施設でも入手可能なモニタリング指標からCPXで算出した至適心拍数(AT値心拍数)に近似する予測式を作成すること,ならびにその式の妥当性及び信頼性を検討することである。

    【対象と方法】対象は,心不全治療の目的で入院加療されたβ遮断薬投与中の心不全症例で,運動処方として退院前にCPXを評価できた90例を対象とした。方法は,AT値心拍数に関連した因子から予測式を考案し,その予測式から求められた心拍数とAT値心拍数との妥当性及び信頼性を調査した。加えて,予測式から求められた心拍数とKarvonen法と簡便法で算出した心拍数との差の比較も行った。

    【結果】考案した予測式は,AT値心拍数と妥当性,信頼性ともに高い結果となった。また,予測式は,簡便法にとても近似した式であった。

    【結語】予測式で求められた心拍数は,CPXが実施できない施設におけるAT値心拍数に近似する至適心拍数として,臨床応用できる可能性が示唆された。

  • 佐藤 惇史, 齋門 良紀, 古川 勉寛, 小林 大介, Goh Ah-Cheng
    2021 年 33 巻 p. 54-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,本学科が設計した短期留学プログラムによって,参加者の意識や知識にどのような変化が見られるか評価を行い,今後の短期留学プログラム再設計の一助とすることである。対象は,2019年11月にMahsa大学から2週間の短期留学プログラムに参加した8名とした。調査項目は,専門的側面と文化的側面,放射線リテラシーに関する計35項目とし,短期留学の開始時と修了時にアンケート調査を行った。結果,短期留学の修了時には,専門的側面に関する項目では11項目が,文化的側面に関する項目では3項目が有意な変化を認めた。放射線リテラシーに関しては3項目中全ての項目で変化を認めなかった。短期留学プログラム実施前に中立的もしくは否定的に感じている項目に対して,プログラムの回数や実施内容など量的・質的な課題が混在しているものと予測する。今後はより効果的な短期留学プログラムになるよう,プログラムの再設計を進める。

  • 齋門 良紀, 佐藤 惇史, 古川 勉寛, 小林 大介, Goh Ah-Cheng
    2021 年 33 巻 p. 61-67
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,質問紙を用いた調査により短期留学経験者(以下,経験者)の留学前および留学後と短期留学を経験していない学生(以下,非経験者)を比較し,短期留学に参加する学生の特性および短期留学が学生に与える影響を明らかにすることである。対象は,2019年11月から12月に医療創生大学が受け入れたMahsa大学の短期留学経験者8名と非経験者8名とした。調査項目は,専門的側面,文化的側面,情報・放射線リテラシーに関する設問とした。経験者の留学前と非経験者の比較より,文化的側面に関する設問で,短期留学を希望する学生の特性として,留学先に否定的なイメージを持っていないことを示す結果を得た。経験者の留学後と非経験者の比較より,短期留学の経験により3カテゴリー全てでそれぞれに関する理解が深まる可能性が示唆された。今後は,留学による教育機会を得ることのできる学生を育成するための大学教育,より良い短期留学プログラムの設計についての検討を進める。

  • -被災混乱期での避難者に対する活動経験から考える理学療法士の役割-
    髙平 真澄, 岩井 章洋
    2021 年 33 巻 p. 68-74
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    平成30年北海道胆振東部地震および令和元年東日本台風において,Disaster Medical Assistance Team(以下:DMAT)の業務調整員として活動し,避難所に関する情報の取りまとめや避難所での評価を行い,理学療法士が被災混乱期から避難者に介入する必要性について検討した。医療行為が必要な避難者に対しては,DMATによる評価や介入が可能であったが,ADL低下の可能性が考えられる避難者に対しては,医師・看護師の専門領域外であるADLや環境因子などの評価が必要となるため,評価不足の項目やDMAT単独での介入が困難な事例があった。理学療法士による活動が開始されていない被災混乱期における避難者の評価は,特に身体機能やADL,環境因子に関する評価が不足しやすく,有効な介入を行うまでに時間を要する可能性が高い。リスク管理を行いながら評価し介入ができる理学療法士が,被災混乱期から避難者の評価を開始することで,医療ニーズの簡便な把握が可能であるとともに,特にADL低下の可能性や環境調整が必要と考えられる避難者に対して,より迅速な介入が可能になると考える。

その他
  • 小玉 岳, 会津 直樹, 佐藤 房郎
    2021 年 33 巻 p. 75-81
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    化学放射線療法中に運動療法が十分に施行できなかったがん患者一例に対し,廃用症候群進行の予防を目的としてベルト電極式骨格筋電気刺激法(以下,B-SES)を施行したのでその経験を報告する。症例は胸部食道がんに対する手術後に7週間の化学放射線療法を施行,その期間中に運動療法に加えてB-SESを行った。化学放射線療法の副作用により運動療法が困難な日が15日間あったが,B-SESは実施困難な日はなく35日間継続して施行できた。化学放射線療法期間の前後で,膝関節伸展筋力と下肢周囲径は維持し,窒素バランスはマイナスからプラスへ変化し,Performance statusは3から1へ改善した。患者からは,B-SESは運動療法より負担が少ないため抵抗なく実施できたとの発言があった。このようにB-SESは化学放射線療法中に運動療法が困難な状況でも運動療法の補助として用いることができ,身体機能や身体活動低下の予防に寄与する可能性を示した。

  • 大森 允, 有本 貴範, 沓澤 大輔, 高窪 祐弥, 石川 雅樹, 荒川 忍, 渡辺 昌文, 髙木 理彰
    2021 年 33 巻 p. 82-89
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    症例は50代女性。20年前から持続する心房細動により心拡大が徐々に進行し,重度の僧帽弁閉鎖不全症を呈していた。前医でガイドラインに従った慢性心不全の内服処方を受けていたものの,受診が不定期で徐々に病状が悪化していった。1か月前から自宅内での生活も困難となり,慢性心不全の増悪に対しての治療介入と多職種での患者教育が必要と判断され,入院した。入院直後からβ遮断薬,ACE阻害薬,利尿剤の内服の見直しと運動療法を中心とした心臓リハビリテーション(心リハ)によって心不全症状は徐々に改善した。その後,僧帽弁閉鎖不全症に対して心臓手術を施行され,術後は早期離床と症状に応じた心リハを進め,心不全再発予防の指導を入院時から一貫して行い退院となった。退院後は,連携病院で心肺運動負荷試験の結果に基づいて3回/週,3か月外来心リハを継続した。その結果著しい左房拡大の改善と,嫌気性代謝閾値および最高酸素摂取量の改善を認め,復職を許可された。

    本症例は内科的,外科的治療と並行して急性期から病期と症状に応じて心リハを行い,退院後も外来心リハを継続したことが,アドヒアランス改善・運動耐容能の改善・社会復帰につながったと考えられた。

  • 及川 真人, 野口 隆太郎
    2021 年 33 巻 p. 90-94
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル フリー

    【目的】研究の目的は,Life-space Assessment(以下,LSA)を用いた生活空間分類より,日本語版-改訂 Gait Efficacy Scale(以下,mGES)の合計点及び各項目の違いについて明らかにすることである。また,生活空間の広狭を分類する基準値の算出を試みることである。

    【対象】対象は,外来に通院している生活期脳卒中片麻痺者で,屋外歩行が自立している62名とした。

    【方法】LSA最大自立範囲から,最大自立範囲が居近隣・近隣の者を狭範囲活動群(狭群 24名),町内・町外の者を広範囲活動群(広群 38名)と定義した。広狭群におけるmGES合計点及び各項目について群間比較を行った。また,Receiver Operating Characteristic(以下,ROC曲線)を用い,広狭群を分類するmGESのカットオフ値を算出した。

    【結果】狭群と広群のmGES合計点に有意差を認めた。また,mGESの10全項目の群間に有意差を認めた。ROC解析の結果,カットオフ値は68.0点であった。

    【結語】歩行自己効力感を高めるアプローチを行う事で,生活空間に広がりをもたらす可能性があると考えると,今回算出したカットオフ値は,臨床における屋外移動の目標設定に活用できるのではないかと考える。

  • 2021 年 33 巻 p. 95-111
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/18
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