東北理学療法学
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研究論文
T字杖の握り部の三次元的変化に対する PT 資格の有無による前腕部の対応の違い
成田 正行上條 正義藤原 孝之
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ジャーナル 認証あり

2023 年 35 巻 p. 25-35

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抄録

【目的】試作T字杖の握り部の設定位置を変え,理学療法士としての国家資格を有し,杖による歩行介助に関する臨床経験がある方(有群)と国家資格がなく臨床経験が無い方(無群)に分け,杖を突く際の前腕筋群の杖への対応の違いを明らかにして,手関節に疼痛が生じる原因について考察すること。

【対象】健常人で理学療法士免許有群12名(女性2名)と無群8名(女性0名)とした。

【方法】研究対象者を2群に分け,変形性膝関節症による免荷歩行を模倣した実験を行い,結果を比較した。握り部の設定位置を変更した時の手関節の状態を評価するために,前腕部の筋活動量と手関節の動揺の計測およびアンケート調査による杖使用感を調査した。

【結果】免許有群では屈筋群筋総量比が規則的で広範囲に変化し適応範囲の広い統制のとれた対応になり,無群では前腕部での動揺が増加し違和感の発生につながった。

【結語】握り位置の変更に対し屈筋群筋総量比の結果から筋活動のバランスの獲得に2群間で違いが生じ,無群では動揺が大きいことから手関節の固定が不十分な状況下で杖を使用していることが分かった。

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© 2023 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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